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第2版まえがき

「21世紀は環境の世紀である」とよく言われる。
この言葉には、環境破壊の20世紀を振り返って、21世紀こそは環境の世紀にしなければならないという思いがこめられている。
この思いを共有しながら、環境問題を考えるささやかな研究会として、環境・環境教育研究会が発足したのは、1998年 6 月のことである。参加者は高校や大学の教師、研究者、大学院生、留学生、市民などさまざまであるが、ほぼ月1回のペースで、常時10名程度の参加を得て、研究会を重ねてきた。そして、2009年 2 月で100回を数えた。
研究会では、今世紀に入って、「環境読本」をつくろうという議論をおこない、2003年10月に本書初版を上梓した。それから、およそ6年。このたび第2版を出すことになった。改訂にあたっては、温暖化問題など、環境問題をめぐる状況の変化にともない、大幅に加筆し、データを最新のものに更新して第2版とした。
環境関連の著作が数多く刊行されているにもかかわらず、私たちが本書をまとめようとしたのは、コンパクトに、今日の環境問題の全体を見渡した書物が意外と少ないことに気づいたからである。その理由は、環境問題は、自然科学と社会科学とが学際的にかかわらざるをえない総合的性格をもっており、1人でその全体をカバーすることがなかなか難しいということにも起因しているように思われる。それゆえ、本書をまとめるにあたっては、自然科学的視点と社会科学的視点との両方の視点を踏まえた総合性ということに、とりわけ留意した。
環境読本は、総合的な視点とともに、環境破壊の現状がどうなっているのかという事実認識をきちんと踏まえたうえで、どうしたらこれ以上の環境破壊を防ぎ、環境を保全していくことができるのかということにも応えるものでなければならないであろう。
環境問題をどのように解決していくのかということを考えた場合、社会的レベルと個人的レベルがともに重要となる。
社会的レベルとしては、環境破壊の要因を分析し、その要因を取り除くような、しっかりとした環境政策を提起して、遂行することである。個人的レベルとしては、環境意識の水準を高め、環境保全のための行動を主体的におこなうことである。もちろん、環境政策やその遂行は、国民の環境意識や行動に支えられているし、国や自治体の環境政策や環境保全運動は、国民の環境意識を高めることにもなっており、両者は密接に関連し合っている。
環境意識の水準を高めるためには、また環境教育が重要となる。私たちの研究会の名前を「環境・環境教育研究会」と名づけたのも、そのような認識を踏まえてのことである。環境教育はさまざまなかたちでおこなわれる必要があるが、本書がそのための一助となれば、幸いである。
本書の刊行には、リベルタ出版の田悟恒雄氏に大変お世話になった。完成が遅れたにもかかわらず、根気よく待っていただいた氏のご尽力に、記して感謝したい。

            2009年11月 7 日     
               研究会を代表して  
                     岩佐 茂