空気を読ま(め)ない本たち

北八ツ・ニュウ山頂から白駒池を望む(17.08)

零細出版人の遠吠え

09/21 日本時間のけさ未明、アベ首相が国連総会で一般討論演説をしました─。

北朝鮮の「脅威はかつてなく重大で、眼前に差し迫ったものだ」、対話の試みは「無に帰した」、核・ミサイル開発放棄のため「必要なのは圧力だ」(共同)と。

まあ何と「単純かつ空疎な演説」なのでしょう!? そんな訴えが人々の心に響かないのはおそらく、きのうから122カ国が署名手続きに入っている「核兵器禁止条約」の採択にさいし、「唯一の被爆国」政府が、核兵器保有国とともにこれをボイコットしたからでしょう。

先日、NHK-BS1ドキュメンタリーで、この条約の採択推進に身を粉にしてこられたカナダ在住の "ヒバクシャ" サーロー節子さん(85歳)のご活躍を知りました(「核なき世界へ/ことばを探す/@サーロー節子」8/12放送、9/18再放送)。
「単純かつ空疎」のお口直しに、歴史的な条約が採択された日、同じ国連本部でサーローさんが行なった感動的な演説を引かせていただきましょう(朝日新聞7月9日)─。

 「亡くなった数十万の人々。彼らはみな、それぞれに名前を持っていました。そして、みな誰かに愛されていました。…
 私はこの日を70年以上待ち続けていました…
 我々は取り返しのつかない環境汚染を繰り返しません。将来世代の命を危険にさらすことを続けません。世界各国の指導者たちに懇願します。もしあなたがこの惑星を愛しているのなら、この条約に署名してください…
 核兵器はこれまでずっと、道徳に反するものでした。そして今では、法律にも反するのです。一緒に世界を変えていきましょう!」

そして、日本政府の不参加表明に厳しい批判を投げ掛けます─。

「自分の国に裏切られ、見捨てられ続けているという思いを強くしました」と。

09/20 28日臨時国会召集→「問答無用」の首相所信表明演説→即解散→10/22投開票─。そんなタイムスケジュールが、既定事実のように永田町を駆け巡っています。
つい先だって旗揚げしたばかりの「仕事人内閣」とやらも、結局、何かすることもなくお開き。共産党の小池書記局長だったか、「仕事しない閣」(「仕事師内閣」)に座布団2枚!

ところで、けさの朝日新聞オピニオン欄に登場のタレント、サッシャさんの話は興味深く読めました。
「どこそこでは…」といった類いの「出羽守」のお話はいささか食傷気味なのですが、ドイツ人は「究極に空気を読まない人たち」にはギョッ。この欄の天辺に似たような標語を掲げたばかりのことでしたから─。

「ドイツ語の warum と wieso は、どちらも『なぜ』『どうして』という意味ですが、ドイツ人が一番好きな単語じゃないかな」

そういえば学生の頃に好んで歌ったマルシュネルの「小夜曲」(「シュテントヒェン」も、「Warum bist du so ferne…」(あなたは何でそんな遠くにいるのか…」で始まりました。

「人間の本質は簡単に変えられないけど、集団行動のルールは変えられる。従順で扇動されるような子どもにしない。その考えが教育に出ていると思います。子どもを変えるのは、社会の未来を変えること。いちいちなぜを問い、それを尊重する。ドイツ社会の常識、行動の基盤です。」

なーるほど。このタレント氏の言うことは奥が深い。

09/19 ここ数日、さまざまな「疑惑の主人公」らが、恥じる様子もなく公衆の面前に姿を現わし始めました。
まずは、「疑惑の元締め」のようなアベ首相夫妻。各地に甚大な被害をもたらした台風18号の通過を見届ける間もなく、突然「解散風」を吹かせ、NYへ。「モリやカケもどこ吹く風」、政府専用機のタラップの上で満面の笑みをたたえて手を振っていました。
私にゃそれが、どうにも「モリよカケよ、サイナラ、サイナラー」とでも言っているように思えてなりませんでした。
で、その「選挙の争点」について、「戦後初めて目の前で安全保障上の危機が迫っている。安全保障法制がどう機能するかを含め、国民に理解してもらうことが必要だ」などと講釈を垂れたのが、これまた「疑惑の渦中の時の人」萩生田光一幹事長代行。テレビ画面いっぱいにデッカイ顔を曝していました。
そして3人目が、「このハゲーッ!」で知られる豊田某議員。こっちも負けず劣らず破廉恥なのですが、これにはもう論評を加える気も失せてしまいます。
それにしても、「臨時国会開催→冒頭解散」、しかも「解散・総選挙の理由なんて、後で取って付けりゃいい」というのでは、国民もすっかりナメられきったもの。

09/14 結局、原子力規制委員会はきのうの会合で、「東京電力に、柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)を運転する資格がある」との判断で一致したんですって。
東京電力・小早川智明社長が先月提出した文書に、「主体的に関係者に向き合い、廃炉をやり遂げる」「福島の廃炉と柏崎刈羽の安全性向上を両立する」と書かれてあったので、「及第」となったそうです。「大甘も大甘、大甘もいいところ」です。
「福島第1原発事故を起こした東電と他の電力会社とは違う」という原子力規制委員会がこれまで掲げてきた看板は、田中俊一委員長退任直前のどさくさに紛れて取っぱずしてしまおう、といった魂胆なのでしょう。
で、衆院新潟5区補選に自民党から出ることにした泉田さんですが、この10日に東京で同氏を「囲む会」があったそう。「リテラ」から、ジャーナリスト・横田一さんのリポートを引かせていただきましょう─。

「泉田氏は『外野からいくら言っても変わらない』原発防災対策について『与党から変える』との思いから、自民党からの出馬要請を受けたというのだ。…
 しかし原発推進の総本山の経産官僚が要職を占める“原子力ムラ内閣”の安倍政権が、一国会議員の主張を受け入れて政策転換をするとはとても思えない。…
 経産省時代の先輩の古賀茂明氏は『寝言を言っているようなもの』と実現可能性は皆無と指摘。『野党系候補として出馬すべき。自民党から出たら落選運動を呼びかける』とも公言もしている。」 

09/13 きのうの東京新聞によると、原子力規制委員会は、13日に予定していた東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の審査書案の取りまとめを見送ることにしたそうです。
その心は?

「規制委は、福島第1原発事故を起こした東電の原発事業者としての適格性に一貫して厳しい姿勢だったが審査の最終盤で一転して容認。前回6日の定例会合で審査書案の取りまとめに入る方針を示したが、ごく短い議論で適格性を認めたことに批判が相次ぎ、かわす狙いがあるとみられる。」

と、そんなとき、10月22日の衆院新潟5区補選に泉田裕彦・前新潟県知事が、なんと自民党公認で出馬することを受諾したという。このお方は、突如知事職を投げ出したときといい、今回の身の振り方といい、支離滅裂。
その一方で、「福島事故の検証と総括がなければ〔柏崎刈羽原発〕再稼働の議論はしない」と言ってきた泉田氏の立場を踏襲するとして跡を襲った米山隆一・現知事は、県がきのう開いた再稼働問題に関する検証のための「健康・生活委員会」で、次のようにあいさつしています─。

「〔福島の〕事故の総括をここでしないと、いつするのか。検証を、日本全体、さらには海外にも共有していくという志をもって進めたい。…検証には3、4年かかると思う。さまざまな立場から科学的な議論をし、原発立地県をはじめ日本全体、海外にも結果を共有してもらう志で、じっくり検証してほしい」と。

2人の知事の立ち居振る舞いに、「政治家の矜持と節操の違い」を見てしまった気がいたします。

09/12 きのうは、10日の『信毎』社説を取り上げました。奇しくもその日は、かつて同紙で健筆を振るった桐生悠々の命日だったことから、『東京』社説も、この「反骨のジャーナリスト」を引きあいに、「桐生悠々と防空演習」を書いています。
桐生の鋭い言論活動の中でも特筆されるべきは、1933年8月11日付の社説「関東防空大演習を嗤う」でしょう。敵機を東京上空で迎え撃つことを想定した陸軍の「防空演習」に対して、木造家屋が多い東京を「一挙に焦土たらしめるだろう」と喝破したのでした。
これが軍部の怒りを買い、『信毎』を追われることとなるのですが、その後の経緯は桐生の言ったとおりになりました。

 「非現実的な想定は無意味なばかりか、有害ですらある」

ということです。
では、今回の「北のミサイル」騒ぎについてはどうでしょう?
政府は「Jアラート」を使って頻繁に「避難」を呼び掛けていますが、「どこに逃げるか、どのように身を隠せばいいか。どうしていいか分からない」との声は多い。『東京』社説は、こう問題を投げ掛けています─。

「〔政府は〕軍事的な脅威をあおるよりも、ミサイル発射や核実験をやめさせるよう外交努力を尽くすのが先決のはずです。そもそもミサイルが現実の脅威なら、なぜ原発を直ちに停止し、原発ゼロに政策転換しないのでしょう。
 万が一の事態に備える心構えは必要だとしても、政府の言い分をうのみにせず、自ら考えて行動しなければならない。悠々の残した数々の言説は、今を生きる私たちに呼び掛けているようです。」