「旅する蝶」のように ある原発離散家族の物語

  岩真 千 著 

放射能雲に追われ、沖縄へ避難した身重の妻と幼な子。ひとり身となった夫は、2000kmの距離を往ったり来たり。原発事故への怒りと涙の "半難民生活"。「5年半に及ぶ別居生活でみえてくる避難をめぐる軋轢、いじめ、そして沖縄問題。自主避難の理不尽が胸に迫る…それが正しかったかどうかなんて誰にもわからない」(文芸評論家 木村朗子氏)

人の世もかく清楚なものでありたい(17.05)

零細出版人の遠吠え

05/29 「加計学園疑惑」が明るみに出るや、「森友」の影は薄くなり、ほどなくして、ともに報道の表舞台から消え去っていく。そして何事もなかったかのように、疑惑の渦中にあった夫妻が、政府専用機のタラップからにこやかに手を振る光景を、いやというほど見せつけられる…
「何かがおかしい!?」と痛感するのですが、そんなふうに思うのは、「非国民」くらいのものなのかも。けさの朝日新聞の世論調査結果解説「加計・森友問題、それでも崩れぬ『安倍支持』の理由」には、正直、脱力感を覚えざるをえませんでした─。

▽相次ぐ閣僚の失言、森友学園や加計学園の問題が噴出しても
 内閣支持率は47%と、大きく崩れない。
▽第2次安倍内閣以降、年代別支持率では20代が最も高い。
▽職業別では、事務・技術職でも製造・サービス業従業者層で
 も、農林漁業者や自営業者層に迫る水準の支持。

その「強さ」の背景にはこうした支持の広がりがあり、支持する理由は「ほかに適当な人がいないから」というわけです。これには、準備不足のまま政権に就いてしまった民主党政権のていたらくがあったことは否めないでしょう。
しかし、何があろうが、いつまでも「他よりよさそう」で思考停止していたのでは、「社会の浄化作用」も停止してしまいます。その結果がどんなことになるかは、すでにその強い兆候が出始めているのではないでしょうか?

05/26 きのうの前川喜平さんの記者会見は圧巻でした。この問題で「誰が真実を語り、誰がウソをついているのか」ハッキリ示してくれました。

まずは、松野文科相が省内調査の結果「文書の存在は確認できなかった」と言い張り、いまだに官邸が「出所不明の怪文書」などと強弁し続ける「文科省文書」の信憑性について─。

 「この間の経緯を示す文書は、実際に私が在職中に共有していた文書であり、存在していた。…大臣も含めて文科省の人たちは気の毒。あるものをないと言わざるを得ない状況に追い込まれている。」

ここですでに「勝負あった!」。文科省で獣医学部新設問題に携わってきた事務方トップの証言は重い。さすがは官僚社会の裏を知り尽くした人物です。文科省が十分な調査をしないことの背景についての言及も鋭く、説得的─。

「十分な根拠がなく規制緩和が行われて、本来、赤信号のところを、とにかく青信号だと考えろといわれて青にさせられた。官邸など政権中枢からの意向、要請といったものに逆らえない状況がある。」

防衛省のように、「あった」はずのものが、いつの間にか「廃棄」されてしまう。今回のように、「ある」ものも「ない」ことにされてしまう。
まるで「隠し事のお好きな東京電力」、いえいえ、どこかの独裁国家みたいじゃありませんか!?

05/25 「ロシアゲート事件」で尻に火がついた大統領は初の外遊に出ましたが、「"加計ゲート" で火だるま状態の首相」の方も本日、シチリア島はタオルミーナで開かれるG7へと向かいます。
ところが「火だるま」の火元となった「加計学園疑惑」は、松野文科相が「内部調査で確認できなかった」などと強弁したにもかかわらず、動かぬ証拠となる「文科省文書」が次々出現、もはや下手な弁解などやっていられない事態に。
で、首相お出かけのはなむけに(?)、『週刊文春』が号砲1発。文科省前事務次官・前川喜平さんの独占インタビューを掲載しています─。

 「『総理のご意向』文書は本物です」

公平のために付記しておきますと、目下、中吊り広告問題で『週刊文春』と険悪な関係にある『週刊新潮』も、「加計学園疑惑」を扱っています─。

 「安倍官邸が暴露した『文書リーク官僚』の風俗通い」

こちらの方の主眼は「場外乱闘」にありますが、全体のトーンとしては、「下半身問題」そのものよりも、「読売スクープ」の出所が官邸だったこと、その目的が、前川さんの「実名告白」報道の牽制にあったこと、に力点をおいているようです。
けさの朝日新聞は「前川氏の一問一答」を報じていますが、昨夜のテレビ朝日『報道ステーション』は、おとといの参院決算委員会で共産党の小池晃議員が暴露した「新たな文科省内部文書」を、ようやく1日遅れで伝えたばかりでした。
朝日新聞の「首相動静 5月24日」に、「6時41分、東京・赤坂の日本料理店『古母里』。テレビ朝日の早河洋会長、篠塚浩報道局長と食事。」とありましたが、まさかそれで丸め込まれたってわけじゃないでしょうね。
このタイミングでの、このお食事会。マスメディア幹部は、誤解を生むような行動は厳に慎んでもらいたいものです。

05/24 それでも「御用、御用新聞」が報じた「怪しげなスクープねた」(下半身スキャンダル)は、それなりに成果を挙げたようです。
昨夜のテレビ朝日『報道ステーション』は、前川喜平前次官の「実名証言」を予定していると言われていましたが、前川さんの出演そのものがお流れになっただけでなく、昼間の参院決算委員会で共産党の小池晃議員が暴露した「新たな内部文書」について報じることもありませんでした。
その「内部文書」のひとつが、「今後のスケジュール(イメージ)」と題されたもの─。16年10月段階で書かれたその文書には、「第2回今治市分科会」が組み込まれているなど、加計学園が開学を予定する18年4月までの段取りが、すでにはっきりと示されています。
そしてもうひとつは、2016年11月9日の国家戦略特別区域諮問会議(議長・安倍首相)での「獣医学部設置の制度改正」を決めた「政府原案」に文科省が修正を求めたもの。
諮問会議の最終決定文は、次のようになっています─。

「現在、広域的に獣医師系養成大学の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とする」

「原案」では「現在、獣医師系養成大学等のない地域において獣医学部の新設を認める」としか書かれていなかったところに、下線部の2つの限定句を加えることによって、加計学園同様、獣医学部新設計画を推進していたライバル京都産業大学を、まんまと振り落としてしまったのです。
この「国家戦略特別区」が、どう見ても「オトモダチファースト」の、「加計学園ありき」で進められてきたかが分かろうというものです。

05/23 「いま新聞は、政権を応援する社と、批判的な社に、かつてないほど極端に分かれています。それが総体として、健全な批判機能を発揮しにくくしている」─。

けさの朝日新聞「オピニオン&フォーラム:報道 これでいいのか」での、元自民党副総裁・山崎拓さんの重みある発言です。さすが老練な政治家の鋭い見識に感服。
そんな山崎さんの見方を立証するかの記事が、きのうの読売新聞朝刊社会面に載っていました─。

 「前川前次官/出会い系バー通い/文科省在職中、平日夜」

どういうことかと言いますと、こうです。
この前川喜平さん、まだ記憶に新しい「文科省天下りあっせん問題」の責任を取って辞職に追い込まれたお役人なのですが、加計学園疑惑の「総理のご意向」文書が明るみに出て以来、官邸周辺では、「ネタ元は前川じゃないか」とささやかれていたそう。
ところが前川さんは、「ネタ元説」をきっぱり否定したうえ、「あの文書は本物」と実名で証言する準備をしていたとのこと。
そこで、狡猾さにかけては人後に落ちない官邸が、「三河屋のサブちゃん」には悪いのだけれど、「御用、御用の読売新聞」の空いた口に「怪しげなスクープねた」を放り込んだ、というのがどうやら真相のよう─。

「見出しだけみると、天下りを仕切っていた悪徳官僚が業者にたかって接待を受けていたとか、出会い系で未成年に買春行為を働いたとかそういう印象を受けるが、記事にはそういう記述は一切出てこない」(「リテラ」)。

前川さんの名誉のために、このことだけは添えておかなければならないでしょう。