back number 2017-11(November)

たなびく雲の先に霞む南アルプスの山々(17.10)

11/09 「自民圧勝」の衆院選が終わって、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が2月に提起した「選挙報道における公平性」の問題が、議論を呼んでいます(「衆院選とテレビ」毎日新聞、11月9日)─。

「候補者や政党で取り上げる時間をそろえる『量的公平性』ではなく、取材で知り得た事実を偏りなく報道し、明確な論拠に基づき評論する『質的公平性』を」

BPO「選挙報道についての意見書」はそう求めているのですが、果たしてどうだったのか?─

たとえば、投票日前夜にNHKが放送した選挙特集「党首奮戦〜密着12日間の熱戦〜」は、放送時間の約3割を自民党に割いています。
これに対して上智大の水島宏明さんは、「明らかに自民党重視の配分。NHKほど安倍晋三首相ばかりを露出させた局はなく、NHKはより大胆に与党寄りになった印象がある」と手厳しく槍玉に挙げます。
どうやらNHKは、「改選前の議席数」を目安として機械的にバランスをとっているつもりのようなのですが、これではBPO提言がどう生かされたのか、窺えません。
水島さんは、「どんな論理で公平性を図っているかNHKは説明すべきだ」と指摘していますが、まさにごもっとも。

11/08 またまた「カナロコ」ネタで恐縮です。ホントはきのう、これを採り上げるつもりでいたのですが、話の流れから、横田早紀江さんのお話を優先させていただいた次第です。
で、今回は、人様の「不倫問題」には並々ならぬ関心を寄せる「やじ馬ジャーナリズム」(週刊誌、スポーツ紙、TVワイドショーなど)の餌食にされた山尾志桜里さんのこと。
このたび衆院選で当選した山尾さんが、関係を噂された弁護士を事務所の政策顧問に選任したことをもって、「やじ馬」たちは相変わらず下世話な関心を振り撒いているのですが、「カナロコ」の場合は、もちろん違います。
熾烈なメディアスクラム(集団的過熱取材)を受け、一時は「孤高の境地」に立たされた山尾さんから、「女性政治家ゆえにプライバシーに土足で踏み込まれる風潮に真っ向から抗う」決意を聞き出しています─。

 「選挙後、国会に向かう通勤中の路上で、週刊誌の記者を名乗る男からいきなり、『家の前から後をつけてきました』と声をかけられた。レコーダーを突き付けられてこう問われた。
 『男女の関係はあったのですか』『本当に関係はなかったのですか』。さらに『離婚はしたのですか』─。
 数多くの一般の人々が行き交う衆人環視の下、大きな声でしつこく繰り返し問われた。私はこれまで通り電車で通勤している。普通に考えてみてもらいたい。歩いていて、突然レコーダーを突き付けられ、そんな私的なことを問われる異常さを。
 いったい何の目的で、何の情報を、誰に提供しようと考え、私にそうしたことを問うているのか。
 つまりは『むき出しの好奇心を満たせ』『まだ満たされていないのだ。だから満たせ』と繰り返しているわけだ。
私へのその問いは、どのようにして社会の役に立つのだろうか。政治家としての私を評価する上で、一体何の判断基準になるというのか。」

「むき出しの好奇心になど屈しない」と決然と語る山尾さんに、惜しみない拍手を送ります。

11/07 「日米同盟」なんて言うけれど…。なあーんだ結局、「北の危険」を煽るだけ煽っておいて、落とし所は、どうやら「トランプ商会」の虫のいい武器セールスにあるようじゃないですか!?

「首相は米国からさまざまな防衛装備を購入することになる。そうすれば〔北朝鮮の〕ミサイルを撃ち落とすことができる。日本は大量に買うべきだ。〔そうすれば〕多くの雇用が私たちのために生まれるし、日本がもっと安全になる」

とは、「笑ゥせぇるすまん」(死の商人)の露骨な売り込み口上。
で、一方こちらは、「非常に重要なのは、日本が膨大な兵器を追加で買うことだ」なんて唆されて、自ら進んで「振り込め詐欺のカモ」になろうとする浅はかな客の答辞─。

「日本は防衛装備品の多くを米国から購入している。北朝鮮情勢が厳しくなる中、日本の防衛力を質的に、量的に拡充しないといけない…〔すでに購入が決まっているステルス戦闘機や弾道ミサイルを迎撃するミサイルに加え、イージス艦も〕米国からさらに購入するだろう」

嗚呼「属国根性ここに極まれり」といったところですが、零細出版人としては、同じ日、トランプ氏に面会した拉致被害者家族・横田早紀江さんのお話の方が、よっぽど気になります(神奈川新聞「カナロコ」)─。

−以前から「戦争には反対」と言っていたが。
「拉致被害者が北朝鮮に残されているという理由だけでなく、戦争は全体の破壊、地球の破壊ですから」
−トランプ大統領には伝えたか。
「きょうは喉の調子が悪く、声が出なくて」
−思いは変わらないか。
「戦争は一番いけない。何であんなことをしているのかといつも思う。破壊しているだけ。殺戮をしても何にもならない。生命も何もみんなが無になるだけ」
−本当は伝えたかった。
「いろいろ言いたかったけれど。…私が話せば時間がなくなってしまう」

「軍事力行使も厭わずとする日米両政府の強硬な態度を危ぶむ早紀江さんのお気持ちが、ひしひしと伝わってくるようです。

11/06 きのう大統領専用機「Air Force One」で米軍横田基地に乗りつけたトランプ氏、さっそく同基地内で米兵・自衛隊員2000人の前で演説、北朝鮮のへの軍事的措置の可能性をちらつかせ、こう続けたそう─。

「米軍と自衛隊が肩を並べ、自信に満ち、結びつき、これまでにないほどの能力を持ち、ここに立っている。我々、同盟国の心に自信を吹き込み、同時に、敵の心に恐怖心を食らわす。こうあるべきだと思わないか」と。

米軍総司令官の前に頭を垂れる日本国自衛隊、いかにも「日米同盟」の内実を象徴するような光景じゃないですか?
そしてトランプ氏は、大統領専用ヘリ「マリーン・ワン」に乗って、近所の「霞ケ関カンツリー倶楽部」へ。
そこで日本国宰相が用意していたゴルフ帽には、「日米同盟をより偉大に」という刺繍が施されていたそうです。いかにも木下藤吉郎か、サンチョ・パンサあたりが思いつきそうな「オ・モ・テ・ナ・シ」じゃないですか?
そんな「ドナルド・シンゾー蜜月演出」が、遠からず「ドナルド・シンゾー心中物語」へと変わることを懸念するのは、石破茂氏だけではないでしょう。

11/02 きのう第4次安倍内閣が発足。全閣僚が再任されました。
3カ月前に発足した第3次内閣は、「仕事人内閣」の触れ込みでしたが、結局、仕事らしい仕事を何もしないまま「国難総選挙」へと突入。共産党の小池書記局長から揶揄されたように、「仕事し(師)ない閣」に終わったということ。
この国の憲政史上、そんな先例はなかったわけで、そのあとどうするのか注目していたのですが、結局、何も変わるところがありませんでした。
ならば、600億円からの税金を投じたあの騒ぎは、いったい何だったのでしょう? どう考えても、「モリ・カケ隠し」以外に、思い当たる節がありません。
野党からの臨時国会召集要求を無視し、いっさいの国会審議を必死になって拒み続け、まんまと「国難選挙」に大勝すれば、こんどは特別国会の会期を極力短縮しようとしてみたり、野党の質問時間を大幅削減しようとしたり…。
何だか「幼児性とも思える姑息な動機」が見え見えなんですよねぇ。
で、あれほど騒ぎ立てていた「国難」ってのは、選挙が終われば消え去ってしまうものなんですかね? まるで「元寇」みたいなもんですね?
そうか、それで台風一過のグリーンの上で、「ロシア疑惑」に追われる大統領と、「疑惑」のよしみでゴルフに興じようって算段なのですね?

11/01 不公正な選挙制度と野党のオウンゴールのおかげで、まんまと衆院選に大勝したアベ自民党、選挙直後には、心にもないと思われる「うちゅくしい言葉」を乱発していました(Cf.10/24)。
おそらく言った当人も、もうすっかり忘れてしまっているようなので、再度、引かせていただきましょう─。

「今まで以上に謙虚な姿勢で、そして真摯な政権運営に全力を尽くさなければならない」

ん? その舌の根も乾かないうちに…

「これだけの民意をいただいた。我々の発言内容にも国民が注目している」

なんて言って、こんどは国会での野党への質問時間配分を「見直す」、つまりは「減らす」よう指示したそう。
たった10日前に殊勝な顔して言ったことを、駄々っ子がおもちゃ箱を引っ繰り返すかのように平然と反古にしてしまう。その、いったいどこが「謙虚な姿勢」で、どこが「真摯な政権運営」なのか!?
「モリ・カケ疑惑」も何のその、選挙に勝てば何でもあり。かくしてこの国は、「アベ・ジョンウン体制」の確立に向けてまっしぐら、といったところか?