back number 2017-10(October)

靄に霞む入笠湿原(17.09)

10/31 台風22号に見舞われた日曜日、山梨県北杜市の「浅川伯教・巧兄弟資料館」を訪ねました。
白状すれば筆者、友人に連れられ、ただくっついて行っただけなのですが、女性館長さんの丁寧な解説で兄弟の功績を知るにつけ、「へえー、あの時代にこんな人たちがいたのかぁ…」と深く感銘させらました。
この2人が何をしたかといえば─。日本統治時代の朝鮮に渡った兄・伯教(のりたか)は、白磁など朝鮮工芸の美に惹かれ、各地の陶芸の窯跡を精力的に調査し、これを世界に伝えました。
一方、兄を追って彼の地に渡った弟・巧は、林業試験場の技師としてチョウセンマツなどの養苗の研究に携わり、半島のはげ山の緑化に多大な足跡を残しています。
そのような功績もさることながら、2人がいまでも高く評価されるのは、彼の地で先に亡くなった巧の葬儀で、朝鮮の人々が我も我もと棺を担がせてくれと申し出たと伝えられるように、兄弟が現地の人々と深く交わり、高い尊敬を集めていたことではないでしょうか。
近隣諸国の人々への「ヘイト」が横行する昨今の日本で、帝国主義の時代に民衆レベルでの日韓友好に尽力した浅川兄弟に思いを馳せるのは、大変意義深いことだと思います。
そして、こうした地味な展示のために立派な施設を造ってくれた山梨県北杜市に敬意を表します。

10/27 共同通信の試算によると、今回の衆院選でもしも野党候補の一本化が実現していれば、62の小選挙区で与野党逆転が起こっていたといいます。
すると、与党の議席は310から248へと減り、自民党単独過半数の233を14議席下回っていただろう、と。つまりは「野党候補乱立」が自民大勝の主因という話です。
なお念のため、この「皮算用のタヌキ」には、色はついておりません。
でも、「暴言・失言常習居士」の麻生太郎副総理兼財務相が、きのうまたやらかしてくれた発言にも、かなり有力な根拠がありそうです─。

「〔自民党が大勝したのは〕明らかに北朝鮮のおかげもある」と。

「マンガ副総理」も捨てたものじゃありません。案外、事の本質をポロリと(ひょっとして「しっかりと」?)吐露してしまったのかもしれません。
きのうも書いたように、いまにも北朝鮮のミサイル攻撃が始まるかの「危機感煽り」をさんざんやっておいて、最後は「強いリーダーシップを!」と我田引水したのが功を奏した、というわけです。やれやれ。

10/26 先般の「北朝鮮のミサイル発射」騒ぎのとき、落下予想地点からはるか遠く離れているのに、なぜか「Jアラート」がけたたましく鳴り響いた長野県北軽井沢町で、きのう「弾道ミサイルの飛来を想定した住民避難訓練」が行なわれました。
その様子を『信濃毎日新聞』がこう伝えています─。

「防災行政無線のサイレンが鳴り、『ミサイルが発射されたもようです。建物の中、または地下に避難してください』との音声が流れると、訓練用ベストを着た参加者は、小走りで駅併設の町施設『さわやかハット』内へ。近くの店舗に駆け込んだり、階段裏に潜んだりする人もいた。」

へっ、こんなものが備えになるなんて、国や地方自治体の本気度を疑ってしまいます。参加された50人の住民には悪いのですが、ばっかみたい。
で、こんなことを進める政府の本当の狙いが「危機煽り」にあるのは見え見え。これを口実に青天井の軍備拡張、そして「日米〔軍事〕同盟の深化」を図ろうとするわけ。
そんなとき『琉球新報』が伝える「1959年の那覇基地ミサイル誤射事故」についての元米軍整備兵証言は、とても重い意味を持っています─。

「〔「戦争指令」で〕誤射したミサイルには広島に落とされた原子爆弾と同規模の威力を持つ核弾頭が搭載されていた。もう1基の高性能爆薬搭載のミサイルは準備途中で指令が解除になった。誤射事故で兵士1人が即死、もう1人が1週間後に死亡した」と。

しかし、事件の詳細はいっさい秘匿され、「ミサイルは海中から極秘に回収された」ということです。怖いですねぇ、ホントにおっかないですねぇ。

10/25 けさの東京新聞Web版の「振付師なく『敵役』に/小池氏 過信が生んだ排除発言」は、とても読ませる記事でした。
記事は、9月末「三都物語」をブチ上げた後の記者会見で小池氏が、前日「排除発言」を引き出したフリー記者・横田一さんを「あてないで」と書いたメモを、そっと司会者に差し出したシーンから始まります。
実は小池氏、都議選のときにも「排除の論理」を持ちだしているのですが、その「選別作業」には周囲の「振付師」たちが水面下で進めたので、表沙汰にはなりませんでした。
ところが今回の衆院選では、裏方の態勢を整える時間がなく、ヒロイン自ら「緑のタヌキ劇場」の舞台設営にあたるハメに。それで、ついうっかりホンネを出してしまったのだと。
そう、「風」を期待するあまり、せっかく頭上に載せた木の葉まで吹き飛ばしてしまい、通り掛かりの人を化かすこともできなくなった、というわけです。
でも、事の本質を鋭く衝いているのは、小池氏が師と仰ぐ細川護熙さんの次の言葉かもしれません─。

「小池さんが昨年の知事選で大勝できたのは、彼女が自民党に排除されたことを見て、有権者が味方になってくれたからでした。にもかかわらず、今回自分が排除する側に回ってしまいました。それではうまくいくわけがありません。おごりがもたらした結果でしょう」(朝日新聞インタビュー)。

蛇足ながら、ここで前都知事・舛添要一さんにも久々のご登場を願うとしましょう─。

「小池都知事はパリで会見している〔敗戦の弁〕が、希望の党の代表としての行動なら、都の出張費用を使うべきではない」(ハフポスト)なんて、ね。

舛添さんて、意外と公金の使い方に厳しいお考えをお持ちだったんですねぇ?

10/24 今回の衆院選で「まさかの単独過半数&与党で3分の2議席」を手にしたアベ首相、さっそく「同じ総裁の下で3回続けて勝利を得たのは立党以来60年あまりの歴史の中で初めてのことだ」なんて胸を張る一方で、こうも言っています─。

「国民からより一層厳しいまなざしが注がれる。そのことをすべての与党議員が強く意識しなければならない。今まで以上に謙虚な姿勢で、そして真摯な政権運営に全力を尽くさなければならない」

持ち前の「驕り」を反省しているのじゃないか?と早とちりする向きもあるようですが、決してそんなものではありません。このお方のこれまでの言動と行動を思い起こしてみれば、これが「取って付けたイチジクの葉」にすぎないことは、すぐにバレてしまうのです。
たとえば「モリカケ疑惑」─。このお方の言い分では、「これまでも丁寧に説明してきたし、これからも国会で質問されれば丁寧に答えたい」ということになるらしい。
でも、野党やメディアの追及から必死に逃げまくり、ついには突如国会解散までしてのけた、というのがこの間の真実じゃないですか!?
「謙虚」や「真摯」だの「丁寧」だの、どうみてもご当人には似つかわしくない「うちゅくしい言葉」を連発していると、もう誰にも相手にしてもらえなくなりますよ。

10/23 「超大型台風」の直撃を受け、きょうは始動が遅れてしまいました。
あれだけ不正の数々が明るみに出ても、あれだけあからさまな情報隠しが行なわれても、そして何もかも最後は力づくで強行されても、一向に揺らぐことのなかった「自公強権岩盤支配」…。

「首相が一番嫌われていたが、小池さんが追い抜いて首相は2番になった。小池さんに感謝しないといけない」

選挙後、自民党幹部がそう語ったと言われるように、今回のドタバタ選挙は、「ちょいと出ました緑のタヌキ」に、すっかり引っ掻き回されてしまったようです。
でも、そんな筋書きを最終的に選択したのは、他でもない私ら選挙民だ、ということを忘れてはいけません。

「安倍のご都合主義に騙されて自民党に1票を投じるなんて、まるで、肉屋を支持するブタみたいなもんだ」

『日刊ゲンダイ』は、そう吠えまくっていますが、そこにご登場の精神科医・和田秀樹さんの警告には、ギョッ─。

「結婚詐欺師もそうですが、騙されている間は気付かないものです。数十年後には『安倍長期政権が日本を破滅させた』と認定されるのでしょうが、渦中にいる人は気が付かない。ひと昔前は、自民党が悪いことをすれば、選挙で“お灸をすえる”という民意が働いたのに、それもなくなった。…
 国民が北朝鮮化しているのです。こうした集団洗脳は解けるのに時間がかかる。…落ちるところまで落ちないと、目が覚めないのかもしれません」

10/20 きょうは『日刊ゲンダイ』の「直撃インタビュー」から─。インタビューに答えるのは、早大法学学術院教授・長谷部恭男さん。
話題の中心は、この5月アベ首相が唐突にぶち上げた「憲法9条の見直し」について。そう、9条2項はそのままにして、3項に「自衛隊の現状を書き込む」というやつです。

「自衛隊の現状を書き込むというのであれば、2014年の閣議決定で曖昧な解釈変更〔集団的自衛権の容認〕をした前の状態に戻してもらわなければならない。その書きぶりもどうなるのか分かりませんね。具体的な条文案が何も出てこない。ぼんやりしたまま、とにかく賛成ですか反対ですかと言われても有権者は判断しようがありません」

おまけに首相は、改憲そのものを自己目的化していて、あれこれ取って付けたような理由を持ちだしては、憲法を変えようとします。

「言うことがころころ変わる。96条を変えると言って、すぐ引っ込めたり。場当たり的に言うことが変わるので、予測不能です」

そんな首相は、「目的が分からないだけ不気味だ」と長谷部さんは言います─。

「いやしくも首相という職に就いているのであれば、何か実現したいことがあってしかるべきでしょう。そのために改憲がひとつの手段であれば分かるが、…改憲で何をしたいのかが見えないのです」と。

そうなんです。中身が空っぽというのは、ひょっとして「不気味」なだけでは済まないのかもしれません。

10/19 3日後に迫った衆院選は、改憲勢力が定数の3分の2(310議席)を占めそう、といった見方がもっぱらの大勢。
となれば、いよいよ国会で「憲法改正」が発議され、その是非を問う「憲法改正国民投票」が行なわれることになります。
しかし、そこには「制度上の致命的欠陥がある」と訴えているのは、最近、岩波ブックレット『メディアに操作される憲法改正国民投票』を出版した作家・本間龍さん。
そんな本間さんに「メディア黒書」の主宰者・黒薮哲哉さんがインタビューを試みています(「憲法改正と電通、国民投票の危険な欠陥」)。
本間さんが第1に指摘するのは、国民投票法には広報活動に関する規制がほとんどないこと。というわけで、

「資金さえあればテレビCMをどんどん流し、新聞広告を好きなだけ出稿することができます。また広報活動のための寄付金をどこから受けてもいいし、寄付額の上限もありません。経理明細の報告義務すらないのです。」

結果、資金力の潤沢な改憲派が優位に立つことになるのは、目に見えています。そこに大手広告代理店・電通が介在し、圧倒的な広告・宣伝戦略を展開します。
ということは、マスメディアにとっても「大特需」となります。おのずとその論調も、よりたくさんの広告費を出してくれる改憲派になびくことになるのでしょう。
そうしたことを避けるには、「広告費の上限を設けて資金量による不公平をなくすこと、テレビCMの放映に制限を加え、両派の放映回数を平等にすること」が急務だ、と本間さんは強く訴えます。

10/18 「思想や信条を理由として、俳句を月報に掲載しないという不公正な取り扱いをしたことにより、女性の利益を侵害した」─。

先日、さいたま地裁が下した、近年にしては珍しくまっとうな判決です。

「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」─。

集団的自衛権の行使を容認する「戦争法案」(安保法制)に国じゅうが揺れた3年前、さいたま市の一女性が詠んだ俳句です。
これを地域の公民館が、「公平・中立の立場から掲載は好ましくない」との理由で、それまでの慣例を破って公民館の月報への掲載を拒否。それに対して、裁判所が「違法」の判断を下したのでした。
判決でさらに注目されるのは、掲載拒否を決めた公民館職員がいずれも元教員だったことから、次のような推認を加えている点です─。

「教育現場において、国旗国歌に関する議論、憲法に関する意見の対立を目の当たりにして、辟易しており、一種の『憲法アレルギー』のような状態に陥っていたのではないか」と。

憲法99条で「憲法の尊重・擁護義務」を負っているはずの閣僚や国会議員らが、率先してこれをないがしろにしている昨今、この指摘はきわめて重大な意味を持っていると思います。

10/17 先日、テレビニュースでチラッと見た立憲民主党・枝野幸男代表の街頭演説会に、えらく熱気を感じるところがあったので、もっとその様子を知りたいと思っていたら、「Biz-journal」にライター・長井雄一朗さんの記事を見つけました。
「有権者に『排除』され始めた小池百合子氏…希望の党候補者が小池氏の意向を無視し批判開始」とのタイトルで、この14日、新宿での「伝説になるかもしれない」演説会の様子を伝えています。
応援に駆けつけた漫画家・小林よしのり氏の演説が、また何ともふるっています─。

「枝野氏は前の仲間を悪く言わないが、ワシは立候補していないから、あえて言う。小池氏と前原氏は、腹を切るべきである」と。

これには聴衆から「そうだっ!」の声や笑い声が起こったそうです。
また、新右翼「一水会」元最高顧問の鈴木邦男氏も、「昔は、改憲すれば日本はよくなると思っていたが、今はそうは思わない」と続けます。

「応援団」の顔ぶれも多彩ですが、トリの枝野氏の演説も、なかなか気合が入っていました─。

「国民に最大限納得してもらう努力をしない民主主義は、民主主義ではない。立憲主義と民主主義が動くことで政治は健全になる。こんな上からの政治は社会の分断を図り、政治離れが起きる。今こそ、草の根の民主主義が必要だ」

これぞ「元祖 "愚直" を地で行く正攻法」、「愚直」にかけては決して引けを取らない零細出版人も、すっかり感服。
けどこの言葉、いちばん似つかわしくない強シンゾー氏にだけは、使ってほしくない。

10/16 衆院選の投票日まであと1週間、大方のマスメディア予測では、「自民党は300議席を超える可能性がある」(13-15日実施の毎日新聞特別世論調査)そうです。
しかし、同じ調査で「衆院選後も安倍晋三首相が首相を続けた方がよいと思うか」と問うたところ、47%が「よいとは思わない」と答えたとのこと。
この落差は、疑惑まみれの「アベ政治」に嫌気がさしているものの、それに代わる確かな選択肢を見出しえない選挙民の迷いを反映しているのかもしれません。
そんな状況をもたらしたのは、直前まで追求してきた「野党協力」をご破算にしたうえ、事実上解党してしまった民進党の不甲斐なさでしょう。「緑のタヌキ」にまんまと計られ、細川護熙元首相も危惧していたように「名も実も魂も」すっかり取られてしまったのでした。
にわか仕立ての「希望の党」の「希望」はそげ落ち、早くも「失望」や「絶望」へと変わりつつあります。なぜなのでしょう? 朝日新聞「Web Ronza」の2論文が、そのことを明らかにしています。
ひとつは、弁護士・郷原信郎さんの「希望の党は反安倍の受け皿としての『壮大な空箱』」で、同党が、小池氏主導で公約などを決定し、党組織としてのガバナンスが存在しない点を鋭く突いています。
そしてもうひとつが、上智大学教授・中野晃一さんの「本当は怖い小池百合子氏のリセット」です。小池氏がポピュリズムで進める「新右派転換」によって、戦後リベラルの価値観・規範が崩壊の瀬戸際に追いやられていることに、強く警鐘を鳴らしています。
多くの選挙民はいま、こうしたことに薄々気づきはじめているのかもしれません。「緑のタヌキ」に化かされ、しこたま「木の葉」を掴まされかけた方々が、一刻も早く正気に戻られるよう、零細出版人は強く「希望」します。

10/13 おとといのテレ朝「報道ステーション」党首討論での「森友問題」に対するアベ首相発言には、びっくりを通り越して呆れ果ててしまいました─。

「籠池さん自体が詐欺で逮捕され、起訴されました。…こういう詐欺をはたらく人物のつくった学校でですね、妻が名誉校長を引き受けたことは、やっぱり問題があったと。こういう人だから騙されてしまったのだろうと」

そこには、この人物の「卑怯者ぶり」が、余すところなくさらけ出されています。あからさまな「トカゲのシッポ切り」はもとより、自分に都合の悪いことはすべて「妻が、妻が…」で逃げ切りを図るつもり。
もう記憶も薄らいでしまったことでしょうから、ご参考までに、疑惑が発覚し始めた頃の「遠吠え」を引っぱり出しておきましょう─。

 02/22 「もっと傑作、かついかがわしいのは、寄付金を募ったときのその名です。ナなんと『安倍晋三記念小学校』ですって!
 『悪い冗談』というのはふつう、このへんでお終いとなるのですが、これにはさらに続編があるのです。ナナなんと、記念に名を冠された宰相の妻・安倍昭恵氏が『名誉校長』を務めるんだそうです。
 このことを国会で質された『記念政治家』氏、血相を変えて『関係していれば総理も国会議員も辞める』などと息巻いていましたが、『妻から学園の先生の教育への熱意はすばらしいという話は聞いている』などともおっしゃっています。」

 02/24 「くだんの『小學院』の『名誉校長』にめでたく就任された安倍昭恵氏が、同学園傘下の幼稚園で行なった講演から─。
『こちらの教育方針は大変、主人〔シンゾー氏〕も素晴らしいと思っている。(卒園後)公立小学校の教育を受けると、せっかく芯ができたものが揺らいでしまう』」

 02/27 「世間様がくだんの学園の異常さに気づき、疑惑の目を向け始めたからなのでしょう、せっかく『名誉校長』に就任あそばされたファーストレディを辞任させ、いつの間にか『名誉校長 安倍昭恵先生 安倍晋三内閣総理大臣夫人』の写真も挨拶文も、学園HPから削除してしまいました。
これを『隠蔽じゃないか』と国会で追及した民進党議員に、当のご仁はブッちぎれ─。
『隠蔽というのはですね、隠蔽というのは、隠蔽というのは、じゃあ、私が隠蔽したんですか! 私がですね、私が森友学園のHPに対して隠蔽しようがないじゃないですか!』」

もう支離滅裂。ばっかばかしいったら、ありゃしない。

10/12 前文科省事務次官・前川喜平さんが、日本ジャーナリスト会議(JCJ)機関紙『ジャーナリスト』9月25日号に登場。そのインタビュー記事が、いまあちこちで評判になっています─。

「〔『告発』に至った理由を問われ〕『告発』という言葉がその時の状況を的確にあらわしているとは思えないが、成り行き上、そうなった。意を決して立ち上がったみたいな、潔さとか悲壮感はなかった」

どこまでも謙虚で楽天的な方です。しかしこれは、どうみても「権力の私物化」に他ならず、「国民が知るべき事実ではないか」と考えたようです。
で、政権による「権力の私物化」は「メディアの私物化」にまで及びます─。

「〔『メディアの私物化』は、〕読売について特にその感がある。NHKも記者があれだけ取材しているのに報じない。しかも他社がどんどんと報道しているにもかかわらずまだ報じない、どうなっているのかと思った」と。

そして、仰天!─、

「私は、安保法制は憲法違反だと思っているし、集団的自衛権行使容認は現憲法で認められるとはとうてい思えない。行政府が勝手に法制局の見解とか閣議決定で憲法の中身を変えるなど、あってはならない。私も現役でしたが、いたたまれず15年9月18日、国会前の安保法制反対デモに参加した」と。

実に率直で正義感の強い方でもあります。インタビュアーが現在の収入を問うと、「定期的なものはない。最近は講演料、多くて3万円」だということでした。
そして、きわめつきが─、

「現役時代、政治家と付き合うのは嫌で嫌で仕方なかった」

でした。

10/11 米大統領が、「北朝鮮に対して効果があるのはひとつだけ」だの、「嵐の前の静けさ」だの、軍事的対応を示唆する発言を続ける中、属国根性丸出しのアベ首相が口にするのは、「対話より圧力」ばかり。
そんなとき元中国大使・丹羽宇一郎さんが、近著『戦争の大問題』(東洋経済新報社)の出版を機に、『日刊ゲンダイ』の「注目の人直撃インタビュー」に答えています。
この本は、「戦争を知らない世代に戦争の真実を活字で残す」ことが自分らの世代の義務だという思いから、「戦争のリアルを知る」戦争体験者や軍事専門家に直接、話を聞き歩き、「戦争の真実」に迫っています─。

「戦争は人を狂わせます。だから体験者は皆『戦争だけはやらないでくれ』と口をそろえるのに、戦争をイメージできない世代には『やろう』と粋がる人が多い。こんな怖いことはない」

昨今の北朝鮮をめぐる状況がまさにそれで、

「米国は原爆を落とされたことも、本土爆撃や侵略された経験もない。『戦争の怖さ』を知らない人ばかりの国と、世界唯一の被爆国のトップが同じ『イケイケ』の考えでは、世界的な信用を失います」と。

そして、アベ首相には「あなたの民主主義とは何ですか」と問いかけます─。

「今の政治は『民の声』が反映されていません。日本は議会制民主主義の国とはいえ、選挙に勝てば何でも許されるわけではない。民主主義とはオールウェイズ(常に)民が主です。『力対力』では民が犠牲となる戦争を近づけるだけです。…今度の選挙は民主主義の根幹が問われているのです」と。

10/10 そんな中、希望の党が選挙公約で「2030年までの原発ゼロ」をぶち上げ、一部のメディアや論者にも、これを高く持ち上げる向きもあるようです。
でも、それをどこまで真に受けてよいものやら、その本気度を疑ってしまうような発言も、当の小池百合子代表サイドから漏れてきます─。

「規制委員会がですね、客観的に科学的に総合的に判断されている再稼働については、これに異論を唱えることはございません」(3日、鹿児島での記者会見)。

えっ、なーんだそれじゃ、「規制委員会が "合格" と言っているから安全だ」なんて言って、続々再稼働を強行している政府や自民党とおんなじじゃないですか!? しかも─、

「2030年ということを目処にしながらですね、どのようにしてフェードアウトしていくのかというのを考えるのも国家としてのエネルギー政策のひとつではないかということを提唱しているわけでございます」と。

何だか、いつぞや維新の会の橋下徹代表(当時)が「脱原発」を掲げて大阪市長に当選しながら、翌年の衆院選ではこれをあっさり投げ捨て、「2030年代までにフェードアウト」などと変えてしまった故事を思い出してしまいますね?
ことほど左様に、この新党の公約には、耳障りのよい思いつき的なものが多く見られます。

10/05 衆院解散・総選挙のどさくさに紛れて、原子力規制委員会(更田豊志委員長)はきのうの定例会合で、東電柏崎刈羽原発6、7号機が原発の新規制基準に「適合」しているとする「審査書案」を了承しました。
これについては、7月には「福島の廃炉をやりきる覚悟と実績を示すことができなければ原発を運転する資格はない」とまで言っていた田中俊一委員長(当時)が、退任直前の9月になって一転、東電が提出した文書をもって「資格あり」としたのでした。
では、東電経営陣はどんな「誓約」をしたというのでしょう?

 「主体的に関係者に向き合い、廃炉をやり遂げる」
 「福島の廃炉と柏崎刈羽の安全性向上を両立する」

えっ!? ただの「決意表明」じゃないですか? これを保証する具体策は何もありません。高校運動部の不祥事でも、この程度の「始末書」では堪忍してもらえないんじゃない?
で、いちばんの問題は、規制委員会が「最低限の基準を満たしているかどうか」を審査するだけだというのに、その判断をもって国が、「規制委が安全を全面的に保証した」かのようにすり替えてしまうことです。
そして今回も、国はこれで再稼働を強行しようとするのでしょうし、目先の選挙公約でリップサービスのように「脱原発」を唱えている勢力も、結局はこれを容認してしまうことになるのでしょう。
しかし、米山隆一知事を先頭とする新潟県民は、これをたやすく受け入れてしまうことはないでしょう。
詳しくは、「核」と対峙する地域社会:巻町から柏崎刈羽、そして韓国へをお読みください。

10/04 昨夕ようやく「希望の党」第1次公認候補者リストが発表されました。
うち110名を占めるという民進党出身候補者たちも全員、あの「あまりにブラック過ぎる奴隷契約書」に署名したということなのでしょう。そのいくつかをピックアップしてみると─、

2、現下の厳しい国際情勢に鑑み、現行の安全保障法制
  については、憲法にのっとり適切に運用する。その
  上で不断の見直しを行い、現実的な安全保障政策を
  支持する。
4、憲法改正を支持し、憲法改正論議を幅広く進める。
9、希望の党の公認候補となるに当たり、党に資金提供
  をする。
10、選挙期間が終了するまで、希望の党が選挙協力の協
   定を交わしている政党への批判は一切行わない。

要するに、アベ政権が強行した一連の安保法制に楯突くことなく、どこをどう変えるのかも不明な「憲法改正」を支持し、おとなしく "みかじめ料" を持参して、選挙期間中はつべこべ言わずに "議論の自由" を封印せよ、と言っているにほかなりません。
いったいこれのどこが、「寛容な改革」を標榜する政党のめざす方向なのでしょうか?
おまけに、つい先だってまで派手に打ち上げていた「脱原発」のスローガンは、はや「線香花火」に終わってしまった、ということなのでしょうか?
つくづく、「この党には夢も希望もない」と考えざるをえません。「奴隷契約書」を結んでしまった民進党のみなさん、一刻も早く「悪夢」から覚め、クーリングオフされることを祈ります。

10/03 民進党・枝野幸男代表代行が、リベラル新党を立ち上げることに。
ん、「立憲民主党」? どこかで聞いたような… あっそうか、ロシア革命期のブルジョア政党「カデット」(コンスチトゥツィオンナヤ・ヂェモクラチーチェスカヤ・パルチヤ)です。彼らが掲げた理想は、政治的に後れたロシアに議会制民主主義を定着させることでした。
「カデット」消滅から100年。いまこの国にも「立憲民主党」が…とは、いったいどういうことでしょう?「立憲主義、民主主義を守る。理念、政策は譲れない」─。枝野さんは、そう言います。
裏を返せばこの国は、100年前のロシア同様、いまさらながらに「立憲主義、民主主義の擁護」を叫ばなければならない「政治的後進国」に後退してしまった、ということになるのではないでしょうか?

で、突然ですが、今を時めく小池百合子氏の「日本新党以来の師匠」細川護熙元首相が、新党「希望」をめぐる昨今の動きについて、面白い発言をしています(毎日新聞デジタル版)─。

「同志として小池氏を手助けしたいと考えてきたが、排除の論理を振り回し、戸惑っている。公認するのに踏み絵を踏ませるというのはなんともこざかしいやり方で『寛容な保守』の看板が泣く」と。

事のついでに、同じく「日本新党以来の弟子」前原誠司・民進党代表についても、

「名を捨て実を取ると言ったが、状況をみていると、名も実も魂も取られてしまうのではないかと心配になる」と。

「名も実も」までは零細出版人と同じ(Cf. 09/29)。しかし「魂」までもとは…さすがは老練なお師匠さんです。

10/02 「民進党(民主党)のお人好しぶり」でも、どうしても忘れることができないのが、同党政権末期の消費税率引き上げをめぐる「3党合意」から国会解散への一連の流れでしょう。
"正直じいさん" にあやかったのか、「ウソつきと思われたくない」野田首相は、解散に踏み切り、たちまち政権から転落したのでした。
それに対して、まんまとその跡を襲ったアベ首相は、あれこれ「堂々とその場しのぎのウソや言い逃れを連発」しながら、長期政権を維持することになります。
精神科医の和田秀樹さんは、これをこのように読み解いています─。

「普通の家庭に育てば、『ウソをついてはいけない』と親から教えられる。安倍首相の場合は、『ウソをついてでも権力を維持することが大事だ。どうせ大衆はすぐに忘れる』と家庭で教えられてきたんじゃないでしょうか」(「解散は詐欺師の手口:和田秀樹氏が懸念する感情的な日本人」『日刊ゲンダイ』)。

心理学の研究テーマとして「詐欺師」について究めたことのある和田さんは、「人を騙すのに必要なのは理論ではなく、感情に働きかけることだ」と言います。たとえば「振り込め詐欺」の極意は、次の3つのテクニックで構成されるそうです─。

 1)不意打ちにして考える時間を与えない
 2)不安感情で揺さぶる
 3)情報の遮断

これです。そして今回の解散・総選挙は、

「この3つの詐欺テクニックそのものですね。不意打ちで即断即決を迫り、北朝鮮のミサイル危機を煽って不安感情に訴えれば、国民はコロッと騙されると考えているのでしょう」と。

で、蛇足ながら、現局面からすると、和田さんの研究対象には、もう一方(ひとかた)加えるべきなのかもしれません。「それは緑のタヌキ」なんてことは、口が裂けても言いませんがね。