back number 2017-10(October)

靄に霞む入笠湿原(17.09)

10/13 おとといのテレ朝「報道ステーション」党首討論での「森友問題」に対するアベ首相発言には、びっくりを通り越して呆れ果ててしまいました─。

「籠池さん自体が詐欺で逮捕され、起訴されました。…こういう詐欺をはたらく人物のつくった学校でですね、妻が名誉校長を引き受けたことは、やっぱり問題があったと。こういう人だから騙されてしまったのだろうと」

そこには、この人物の「卑怯者ぶり」が、余すところなくさらけ出されています。あからさまな「トカゲのシッポ切り」はもとより、自分に都合の悪いことはすべて「妻が、妻が…」で逃げ切りを図るつもり。
もう記憶も薄らいでしまったことでしょうから、ご参考までに、疑惑が発覚し始めた頃の「遠吠え」を引っぱり出しておきましょう─。

 02/22 「もっと傑作、かついかがわしいのは、寄付金を募ったときのその名です。ナなんと『安倍晋三記念小学校』ですって!
 『悪い冗談』というのはふつう、このへんでお終いとなるのですが、これにはさらに続編があるのです。ナナなんと、記念に名を冠された宰相の妻・安倍昭恵氏が『名誉校長』を務めるんだそうです。
 このことを国会で質された『記念政治家』氏、血相を変えて『関係していれば総理も国会議員も辞める』などと息巻いていましたが、『妻から学園の先生の教育への熱意はすばらしいという話は聞いている』などともおっしゃっています。」

 02/24 「くだんの『小學院』の『名誉校長』にめでたく就任された安倍昭恵氏が、同学園傘下の幼稚園で行なった講演から─。
『こちらの教育方針は大変、主人〔シンゾー氏〕も素晴らしいと思っている。(卒園後)公立小学校の教育を受けると、せっかく芯ができたものが揺らいでしまう』」

 02/27 「世間様がくだんの学園の異常さに気づき、疑惑の目を向け始めたからなのでしょう、せっかく『名誉校長』に就任あそばされたファーストレディを辞任させ、いつの間にか『名誉校長 安倍昭恵先生 安倍晋三内閣総理大臣夫人』の写真も挨拶文も、学園HPから削除してしまいました。
これを『隠蔽じゃないか』と国会で追及した民進党議員に、当のご仁はブッちぎれ─。
『隠蔽というのはですね、隠蔽というのは、隠蔽というのは、じゃあ、私が隠蔽したんですか! 私がですね、私が森友学園のHPに対して隠蔽しようがないじゃないですか!』」

もう支離滅裂。ばっかばかしいったら、ありゃしない。

10/12 前文科省事務次官・前川喜平さんが、日本ジャーナリスト会議(JCJ)機関紙『ジャーナリスト』9月25日号に登場。そのインタビュー記事が、いまあちこちで評判になっています─。

「〔『告発』に至った理由を問われ〕『告発』という言葉がその時の状況を的確にあらわしているとは思えないが、成り行き上、そうなった。意を決して立ち上がったみたいな、潔さとか悲壮感はなかった」

どこまでも謙虚で楽天的な方です。しかしこれは、どうみても「権力の私物化」に他ならず、「国民が知るべき事実ではないか」と考えたようです。
で、政権による「権力の私物化」は「メディアの私物化」にまで及びます─。

「〔『メディアの私物化』は、〕読売について特にその感がある。NHKも記者があれだけ取材しているのに報じない。しかも他社がどんどんと報道しているにもかかわらずまだ報じない、どうなっているのかと思った」と。

そして、仰天!─、

「私は、安保法制は憲法違反だと思っているし、集団的自衛権行使容認は現憲法で認められるとはとうてい思えない。行政府が勝手に法制局の見解とか閣議決定で憲法の中身を変えるなど、あってはならない。私も現役でしたが、いたたまれず15年9月18日、国会前の安保法制反対デモに参加した」と。

実に率直で正義感の強い方でもあります。インタビュアーが現在の収入を問うと、「定期的なものはない。最近は講演料、多くて3万円」だということでした。
そして、きわめつきが─、

「現役時代、政治家と付き合うのは嫌で嫌で仕方なかった」

でした。

10/11 米大統領が、「北朝鮮に対して効果があるのはひとつだけ」だの、「嵐の前の静けさ」だの、軍事的対応を示唆する発言を続ける中、属国根性丸出しのアベ首相が口にするのは、「対話より圧力」ばかり。
そんなとき元中国大使・丹羽宇一郎さんが、近著『戦争の大問題』(東洋経済新報社)の出版を機に、『日刊ゲンダイ』の「注目の人直撃インタビュー」に答えています。
この本は、「戦争を知らない世代に戦争の真実を活字で残す」ことが自分らの世代の義務だという思いから、「戦争のリアルを知る」戦争体験者や軍事専門家に直接、話を聞き歩き、「戦争の真実」に迫っています─。

「戦争は人を狂わせます。だから体験者は皆『戦争だけはやらないでくれ』と口をそろえるのに、戦争をイメージできない世代には『やろう』と粋がる人が多い。こんな怖いことはない」

昨今の北朝鮮をめぐる状況がまさにそれで、

「米国は原爆を落とされたことも、本土爆撃や侵略された経験もない。『戦争の怖さ』を知らない人ばかりの国と、世界唯一の被爆国のトップが同じ『イケイケ』の考えでは、世界的な信用を失います」と。

そして、アベ首相には「あなたの民主主義とは何ですか」と問いかけます─。

「今の政治は『民の声』が反映されていません。日本は議会制民主主義の国とはいえ、選挙に勝てば何でも許されるわけではない。民主主義とはオールウェイズ(常に)民が主です。『力対力』では民が犠牲となる戦争を近づけるだけです。…今度の選挙は民主主義の根幹が問われているのです」と。

10/10 そんな中、希望の党が選挙公約で「2030年までの原発ゼロ」をぶち上げ、一部のメディアや論者にも、これを高く持ち上げる向きもあるようです。
でも、それをどこまで真に受けてよいものやら、その本気度を疑ってしまうような発言も、当の小池百合子代表サイドから漏れてきます─。

「規制委員会がですね、客観的に科学的に総合的に判断されている再稼働については、これに異論を唱えることはございません」(3日、鹿児島での記者会見)。

えっ、なーんだそれじゃ、「規制委員会が "合格" と言っているから安全だ」なんて言って、続々再稼働を強行している政府や自民党とおんなじじゃないですか!? しかも─、

「2030年ということを目処にしながらですね、どのようにしてフェードアウトしていくのかというのを考えるのも国家としてのエネルギー政策のひとつではないかということを提唱しているわけでございます」と。

何だか、いつぞや維新の会の橋下徹代表(当時)が「脱原発」を掲げて大阪市長に当選しながら、翌年の衆院選ではこれをあっさり投げ捨て、「2030年代までにフェードアウト」などと変えてしまった故事を思い出してしまいますね?
ことほど左様に、この新党の公約には、耳障りのよい思いつき的なものが多く見られます。

10/05 衆院解散・総選挙のどさくさに紛れて、原子力規制委員会(更田豊志委員長)はきのうの定例会合で、東電柏崎刈羽原発6、7号機が原発の新規制基準に「適合」しているとする「審査書案」を了承しました。
これについては、7月には「福島の廃炉をやりきる覚悟と実績を示すことができなければ原発を運転する資格はない」とまで言っていた田中俊一委員長(当時)が、退任直前の9月になって一転、東電が提出した文書をもって「資格あり」としたのでした。
では、東電経営陣はどんな「誓約」をしたというのでしょう?

 「主体的に関係者に向き合い、廃炉をやり遂げる」
 「福島の廃炉と柏崎刈羽の安全性向上を両立する」

えっ!? ただの「決意表明」じゃないですか? これを保証する具体策は何もありません。高校運動部の不祥事でも、この程度の「始末書」では堪忍してもらえないんじゃない?
で、いちばんの問題は、規制委員会が「最低限の基準を満たしているかどうか」を審査するだけだというのに、その判断をもって国が、「規制委が安全を全面的に保証した」かのようにすり替えてしまうことです。
そして今回も、国はこれで再稼働を強行しようとするのでしょうし、目先の選挙公約でリップサービスのように「脱原発」を唱えている勢力も、結局はこれを容認してしまうことになるのでしょう。
しかし、米山隆一知事を先頭とする新潟県民は、これをたやすく受け入れてしまうことはないでしょう。
詳しくは、「核」と対峙する地域社会:巻町から柏崎刈羽、そして韓国へをお読みください。

10/04 昨夕ようやく「希望の党」第1次公認候補者リストが発表されました。
うち110名を占めるという民進党出身候補者たちも全員、あの「あまりにブラック過ぎる奴隷契約書」に署名したということなのでしょう。そのいくつかをピックアップしてみると─、

2、現下の厳しい国際情勢に鑑み、現行の安全保障法制
  については、憲法にのっとり適切に運用する。その
  上で不断の見直しを行い、現実的な安全保障政策を
  支持する。
4、憲法改正を支持し、憲法改正論議を幅広く進める。
9、希望の党の公認候補となるに当たり、党に資金提供
  をする。
10、選挙期間が終了するまで、希望の党が選挙協力の協
   定を交わしている政党への批判は一切行わない。

要するに、アベ政権が強行した一連の安保法制に楯突くことなく、どこをどう変えるのかも不明な「憲法改正」を支持し、おとなしく "みかじめ料" を持参して、選挙期間中はつべこべ言わずに "議論の自由" を封印せよ、と言っているにほかなりません。
いったいこれのどこが、「寛容な改革」を標榜する政党のめざす方向なのでしょうか?
おまけに、つい先だってまで派手に打ち上げていた「脱原発」のスローガンは、はや「線香花火」に終わってしまった、ということなのでしょうか?
つくづく、「この党には夢も希望もない」と考えざるをえません。「奴隷契約書」を結んでしまった民進党のみなさん、一刻も早く「悪夢」から覚め、クーリングオフされることを祈ります。

10/03 民進党・枝野幸男代表代行が、リベラル新党を立ち上げることに。
ん、「立憲民主党」? どこかで聞いたような… あっそうか、ロシア革命期のブルジョア政党「カデット」(コンスチトゥツィオンナヤ・ヂェモクラチーチェスカヤ・パルチヤ)です。彼らが掲げた理想は、政治的に後れたロシアに議会制民主主義を定着させることでした。
「カデット」消滅から100年。いまこの国にも「立憲民主党」が…とは、いったいどういうことでしょう?「立憲主義、民主主義を守る。理念、政策は譲れない」─。枝野さんは、そう言います。
裏を返せばこの国は、100年前のロシア同様、いまさらながらに「立憲主義、民主主義の擁護」を叫ばなければならない「政治的後進国」に後退してしまった、ということになるのではないでしょうか?

で、突然ですが、今を時めく小池百合子氏の「日本新党以来の師匠」細川護熙元首相が、新党「希望」をめぐる昨今の動きについて、面白い発言をしています(毎日新聞デジタル版)─。

「同志として小池氏を手助けしたいと考えてきたが、排除の論理を振り回し、戸惑っている。公認するのに踏み絵を踏ませるというのはなんともこざかしいやり方で『寛容な保守』の看板が泣く」と。

事のついでに、同じく「日本新党以来の弟子」前原誠司・民進党代表についても、

「名を捨て実を取ると言ったが、状況をみていると、名も実も魂も取られてしまうのではないかと心配になる」と。

「名も実も」までは零細出版人と同じ(Cf. 09/29)。しかし「魂」までもとは…さすがは老練なお師匠さんです。

10/02 「民進党(民主党)のお人好しぶり」でも、どうしても忘れることができないのが、同党政権末期の消費税率引き上げをめぐる「3党合意」から国会解散への一連の流れでしょう。
"正直じいさん" にあやかったのか、「ウソつきと思われたくない」野田首相は、解散に踏み切り、たちまち政権から転落したのでした。
それに対して、まんまとその跡を襲ったアベ首相は、あれこれ「堂々とその場しのぎのウソや言い逃れを連発」しながら、長期政権を維持することになります。
精神科医の和田秀樹さんは、これをこのように読み解いています─。

「普通の家庭に育てば、『ウソをついてはいけない』と親から教えられる。安倍首相の場合は、『ウソをついてでも権力を維持することが大事だ。どうせ大衆はすぐに忘れる』と家庭で教えられてきたんじゃないでしょうか」(「解散は詐欺師の手口:和田秀樹氏が懸念する感情的な日本人」『日刊ゲンダイ』)。

心理学の研究テーマとして「詐欺師」について究めたことのある和田さんは、「人を騙すのに必要なのは理論ではなく、感情に働きかけることだ」と言います。たとえば「振り込め詐欺」の極意は、次の3つのテクニックで構成されるそうです─。

 1)不意打ちにして考える時間を与えない
 2)不安感情で揺さぶる
 3)情報の遮断

これです。そして今回の解散・総選挙は、

「この3つの詐欺テクニックそのものですね。不意打ちで即断即決を迫り、北朝鮮のミサイル危機を煽って不安感情に訴えれば、国民はコロッと騙されると考えているのでしょう」と。

で、蛇足ながら、現局面からすると、和田さんの研究対象には、もう一方(ひとかた)加えるべきなのかもしれません。「それは緑のタヌキ」なんてことは、口が裂けても言いませんがね。