back number 2017-09(September)

朝靄の白駒池(17.08)

09/29 きのうの民進党両院議員総会で前原誠司代表が提案した「事実上の新党への合流=民進党解党」方針は、これといった反対もなく、すんなり了承されたようです。

「自己責任型社会を変え、安心できる支え合いの社会をつくるため、名を捨てて実を取る。好き勝手な安倍政権を終わらせるため、二大政党をつくるためだ」

前原氏はそう述べていますが、果たしてそんなことが言えるのでしょうか?
というのは、一方の小池氏は小池氏で、きのうもこう述べているのですから─。

「"希望の党" で戦いたいと申し込みがあって初めて候補者として選ぶ。一人一人話を聞く。…安保法制に賛成しないという方は、アプライ〔申し込み〕してこないと思う」

そんなとき、「名を捨て」イチジクの葉1枚となった民進党離党の候補者たちは、露骨な選別をされた末、どれほどの「実を取る」ことができるというのでしょう? 結局のところ、「名も捨て実も捨て」といったことになりはしまいか?
たとえそんな「アクロバット的手法」が功を奏したところで、この国を破滅に導いた戦前の「大政翼賛会」の再来にしかならないでしょう。
返す返すも「民進党って、どこまでお人好しなんだろう?」と思うばかりです。

09/28 衆院解散を前にして、きのうはあちこちで「政界ドタバタ喜劇」が上演されました。
喜劇のヒーローは民進党・前原誠司代表。きのう開かれた同党議員との会合で、「民進党の公認候補は出さない。希望の党の公認を得てほしい」と、小池新党への事実上の「合流」、いえいえハッキリいえば「解党」の方針を出したそう。
きのうの「とうとうここまで来たか」は、決して零細出版人の「早とちり」ではなかったようです。
どうせ「離党ドミノ」を止められないのなら、丸ごと移っちまえば簡単、「これぞ一発逆転満塁ホームラン」とでも考えたのかもしれません。
けど、事はそれほど簡単ではありません。押し掛けられる側のヒロイン・小池百合子都知事の方の関心は、もっぱら100億円ともいわれる民進党の政治資金、頭数としての候補者、それに弱体ながらも一応は存在する全国組織にしかないのです。

「党と党で手を組むことは全く考えていない。一人一人が仲間として戦えるか、こちらで決める」

というわけで、丸裸になった民進党離党者は、すぐさまヒロインによる「身体検査」、っていうか露骨な「思想調査」に掛けられます。
「憲法」なんぞもってのほか。「リアルな安全保障政策」ということで、あれほど反対してきた「安保法制」の泥沼にズブズブ引き込まれてゆくことに。いったい、そんなところに「希望」を見出せるとでも言うのでしょうか!?
とどのつまりはこうです─。たとえ「アベ政治」を終わらせることができたとしても、それ以上に危険な「ウルトラライト政治」へと持って行かれる、というのが関の山なのかもしれません。

そんなとき『日刊ゲンダイ』に、12年前に作られた短編映画「希望の党☆」の監督・金子修介氏のインタビュー記事が載っていました。
そもそもコレ、「政治に無関心だとこうなりますよ」というメッセージを込めた啓蒙作品なのですが、政権を握った「希望の党」なる政党が、次々斬新な手を打つうち、気がつけば「ある日、徴兵令が敷かれ、娘も戦場に…」といったストーリー。
「悪夢が現実にならないことを祈るばかりだ」とのインタビュアーの締めの言葉に、零細出版人も強く共感。

09/27 きのうの「ハフポスト」に、「菅直人元首相、小池新党に『大いに協力したい』 民進党については『困ったものだ』」とあり、ギョッ。
「とうとうここまで来たか」と早とちりしてしまいそうな見出しですが、そういうわけではありません。小池百合子氏に「日本のメルケルになって、原発ゼロを実現してほしい」というのが、その趣旨のようです。
それにしても小池氏は、新党「希望の党」の結成を発表した一昨日になって突如、「原発ゼロを目指す」とぶち上げたわけですが、いったいどこまで信用してよいものやら?
というのは小池氏は、昨年7月の都知事選で原発問題が争点のひとつとなっていたのに、態度を明確にせず、再稼働が進む原発に関して「安全性の確保が第一だ」と言うにとどめていたからです(東京新聞、27日朝刊)。
それが今回初めて「原発ゼロ」を明言したのですから、そのかぎりにおいては歓迎したいと思います。なにせ野党第1党の民進党が、連合への配慮から、いまだに「脱原発」を表明できないでいるのですから。
その意味では菅氏の言うのももっともなのですが、ただ他人事のように、「困ったものだ」で済まされるものでもないでしょう。

09/26 昨夕の地上波TVニュースは、どこも横並びで「アベ首相記者会見」。勘弁してほしい。もう、うんざりです。
でも、「何を言いだしたのか、一応は知っておかなくては」と後で思い直してNHKにすると、「ニュースウオッチ9」のスタジオにもあの男がいる。
しばらく居眠りしていたら、「あなた、あの人、嫌いなんでしょ」と連れ合いの声。ご丁寧にも「アベギンチャク記者」まで顔出ししていたのでした。プッツン。
そして蛇足ながら、いつものテレ朝「報道ステーション」。な何と、こちらでも見たくもない顔を見せられるとあって、ついにきのうは、視聴忌避。
そんなわけで、首相のお声は拝聴していないのですが、新聞報道によると、今回は「国難突破解散」なんだそうで、「少子高齢化と北朝鮮情勢への対応について国民に信を問いたい」だとか、「消費税の使い道を見直すので、すみやかに国民の信を問わねばならないと決心した」だとか、まるで取って付けたようなことを言い散らしています。
冗談言っちゃいけません。「最大の国難はアベ政治」そのもの」じゃあないですか!? これを「突破」(葬ることが)できるかどうかが、真の争点なのです。
選挙前には耳障りのいいことばかり並べて「信を問う」などと大言壮語し、喉元過ぎれば、これまでおくびにも出さなかった悪事を次々強行する─。
そんな常套手段はもう懲り懲りです。今度こそ、愚弄され続けてきた選挙民の賢い判断を期待したいものです。

09/25 21日のアベ首相の国連演説は、つくづく噴飯物だったと思います。
なにせ、トランプ米大統領が前日の演説で、「米国と同盟国を守ることを迫られれば北朝鮮を完全に破壊する以外の選択はない」と、これまでになくあからさまに大規模軍事攻撃を示唆したのに対し、その尻馬に乗っかって、「全ての選択肢はテーブルの上にあるという米国の立場を一貫して支持します」とまで、恥ずかしげもなくやったのですから。
その「噴飯物加減」は、他の主要国政府の理性的なリアクションを並べて見れば、はっきりと浮き立ってきます─。

 メルケル独首相:「こうした警告には賛同できない。ドイツはいかなる軍事行動も完全に不適切であると考えており、外交的な解決を主張する」

 マクロン仏大統領:「フランスはこれ以上の緊張の高まりを許さず、対話へのあらゆる扉を閉ざさない。平和への条件を整える。今の状況を見てほしい。対話を避けて北朝鮮の状況を改善できたか。少しもできていない」

 王毅中国外相:「危険な方向にこれ以上進まないよう北朝鮮に促す。まだ平和への期待はあり、あきらめてはいけない。交渉こそが唯一の道である」

 ラブロフ露外相:「ヒステリックな軍事行動は袋小路のみならず大災難になる。熱くなった頭を冷やし、立ち止まって何らかの接触を試みる必要がある」

なかでも、「老いぼれ」氏と「Small Rocketman」氏との激烈な非難の応酬を「幼稚園でのけんか」に喩え、朝鮮半島の核問題を解決するのは「政治的、外交的手段以外にない」と訴えたラブロフ氏の冷静さは、他の思惑もあるとはいえ、光っています。
「幼稚園でのけんか」に紛れ込んだ「もうひとりの幼稚園児」は、世界の笑いものになるだけです。

09/21 日本時間のけさ未明、アベ首相が国連総会で一般討論演説をしました─。

北朝鮮の「脅威はかつてなく重大で、眼前に差し迫ったものだ」、対話の試みは「無に帰した」、核・ミサイル開発放棄のため「必要なのは圧力だ」(共同)と。

まあ何と「単純かつ空疎な演説」なのでしょう!? そんな訴えが人々の心に響かないのはおそらく、きのうから122カ国が署名手続きに入っている「核兵器禁止条約」の採択にさいし、「唯一の被爆国」政府が、核兵器保有国とともにこれをボイコットしたからでしょう。

先日、NHK-BS1ドキュメンタリーで、この条約の採択推進に身を粉にしてこられたカナダ在住の "ヒバクシャ" サーロー節子さん(85歳)のご活躍を知りました(「核なき世界へ/ことばを探す/@サーロー節子」8/12放送、9/18再放送)。
「単純かつ空疎」のお口直しに、歴史的な条約が採択された日、同じ国連本部でサーローさんが行なった感動的な演説を引かせていただきましょう(朝日新聞7月9日)─。

 「亡くなった数十万の人々。彼らはみな、それぞれに名前を持っていました。そして、みな誰かに愛されていました。…
 私はこの日を70年以上待ち続けていました…
 我々は取り返しのつかない環境汚染を繰り返しません。将来世代の命を危険にさらすことを続けません。世界各国の指導者たちに懇願します。もしあなたがこの惑星を愛しているのなら、この条約に署名してください…
 核兵器はこれまでずっと、道徳に反するものでした。そして今では、法律にも反するのです。一緒に世界を変えていきましょう!」

そして、日本政府の不参加表明に厳しい批判を投げ掛けます─。

「自分の国に裏切られ、見捨てられ続けているという思いを強くしました」と。

09/20 28日臨時国会召集→「問答無用」の首相所信表明演説→即解散→10/22投開票─。そんなタイムスケジュールが、既定事実のように永田町を駆け巡っています。
つい先だって旗揚げしたばかりの「仕事人内閣」とやらも、結局、何かすることもなくお開き。共産党の小池書記局長だったか、「仕事しない閣」(「仕事師内閣」)に座布団2枚!

ところで、けさの朝日新聞オピニオン欄に登場のタレント、サッシャさんの話は興味深く読めました。
「どこそこでは…」といった類いの「出羽守」のお話はいささか食傷気味なのですが、ドイツ人は「究極に空気を読まない人たち」にはギョッ。この欄の天辺に似たような標語を掲げたばかりのことでしたから─。

「ドイツ語の warum と wieso は、どちらも『なぜ』『どうして』という意味ですが、ドイツ人が一番好きな単語じゃないかな」

そういえば学生の頃に好んで歌ったマルシュネルの「小夜曲」(「シュテントヒェン」も、「Warum bist du so ferne…」(あなたは何でそんな遠くにいるのか…」で始まりました。

「人間の本質は簡単に変えられないけど、集団行動のルールは変えられる。従順で扇動されるような子どもにしない。その考えが教育に出ていると思います。子どもを変えるのは、社会の未来を変えること。いちいちなぜを問い、それを尊重する。ドイツ社会の常識、行動の基盤です。」

なーるほど。このタレント氏の言うことは奥が深い。

09/19 ここ数日、さまざまな「疑惑の主人公」らが、恥じる様子もなく公衆の面前に姿を現わし始めました。
まずは、「疑惑の元締め」のようなアベ首相夫妻。各地に甚大な被害をもたらした台風18号の通過を見届ける間もなく、突然「解散風」を吹かせ、NYへ。「モリやカケもどこ吹く風」、政府専用機のタラップの上で満面の笑みをたたえて手を振っていました。
私にゃそれが、どうにも「モリよカケよ、サイナラ、サイナラー」とでも言っているように思えてなりませんでした。
で、その「選挙の争点」について、「戦後初めて目の前で安全保障上の危機が迫っている。安全保障法制がどう機能するかを含め、国民に理解してもらうことが必要だ」などと講釈を垂れたのが、これまた「疑惑の渦中の時の人」萩生田光一幹事長代行。テレビ画面いっぱいにデッカイ顔を曝していました。
そして3人目が、「このハゲーッ!」で知られる豊田某議員。こっちも負けず劣らず破廉恥なのですが、これにはもう論評を加える気も失せてしまいます。
それにしても、「臨時国会開催→冒頭解散」、しかも「解散・総選挙の理由なんて、後で取って付けりゃいい」というのでは、国民もすっかりナメられきったもの。

09/14 結局、原子力規制委員会はきのうの会合で、「東京電力に、柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)を運転する資格がある」との判断で一致したんですって。
東京電力・小早川智明社長が先月提出した文書に、「主体的に関係者に向き合い、廃炉をやり遂げる」「福島の廃炉と柏崎刈羽の安全性向上を両立する」と書かれてあったので、「及第」となったそうです。「大甘も大甘、大甘もいいところ」です。
「福島第1原発事故を起こした東電と他の電力会社とは違う」という原子力規制委員会がこれまで掲げてきた看板は、田中俊一委員長退任直前のどさくさに紛れて取っぱずしてしまおう、といった魂胆なのでしょう。
で、衆院新潟5区補選に自民党から出ることにした泉田さんですが、この10日に東京で同氏を「囲む会」があったそう。「リテラ」から、ジャーナリスト・横田一さんのリポートを引かせていただきましょう─。

「泉田氏は『外野からいくら言っても変わらない』原発防災対策について『与党から変える』との思いから、自民党からの出馬要請を受けたというのだ。…
 しかし原発推進の総本山の経産官僚が要職を占める“原子力ムラ内閣”の安倍政権が、一国会議員の主張を受け入れて政策転換をするとはとても思えない。…
 経産省時代の先輩の古賀茂明氏は『寝言を言っているようなもの』と実現可能性は皆無と指摘。『野党系候補として出馬すべき。自民党から出たら落選運動を呼びかける』とも公言もしている。」 

09/13 きのうの東京新聞によると、原子力規制委員会は、13日に予定していた東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の審査書案の取りまとめを見送ることにしたそうです。
その心は?

「規制委は、福島第1原発事故を起こした東電の原発事業者としての適格性に一貫して厳しい姿勢だったが審査の最終盤で一転して容認。前回6日の定例会合で審査書案の取りまとめに入る方針を示したが、ごく短い議論で適格性を認めたことに批判が相次ぎ、かわす狙いがあるとみられる。」

と、そんなとき、10月22日の衆院新潟5区補選に泉田裕彦・前新潟県知事が、なんと自民党公認で出馬することを受諾したという。このお方は、突如知事職を投げ出したときといい、今回の身の振り方といい、支離滅裂。
その一方で、「福島事故の検証と総括がなければ〔柏崎刈羽原発〕再稼働の議論はしない」と言ってきた泉田氏の立場を踏襲するとして跡を襲った米山隆一・現知事は、県がきのう開いた再稼働問題に関する検証のための「健康・生活委員会」で、次のようにあいさつしています─。

「〔福島の〕事故の総括をここでしないと、いつするのか。検証を、日本全体、さらには海外にも共有していくという志をもって進めたい。…検証には3、4年かかると思う。さまざまな立場から科学的な議論をし、原発立地県をはじめ日本全体、海外にも結果を共有してもらう志で、じっくり検証してほしい」と。

2人の知事の立ち居振る舞いに、「政治家の矜持と節操の違い」を見てしまった気がいたします。

09/12 きのうは、10日の『信毎』社説を取り上げました。奇しくもその日は、かつて同紙で健筆を振るった桐生悠々の命日だったことから、『東京』社説も、この「反骨のジャーナリスト」を引きあいに、「桐生悠々と防空演習」を書いています。
桐生の鋭い言論活動の中でも特筆されるべきは、1933年8月11日付の社説「関東防空大演習を嗤う」でしょう。敵機を東京上空で迎え撃つことを想定した陸軍の「防空演習」に対して、木造家屋が多い東京を「一挙に焦土たらしめるだろう」と喝破したのでした。
これが軍部の怒りを買い、『信毎』を追われることとなるのですが、その後の経緯は桐生の言ったとおりになりました。

 「非現実的な想定は無意味なばかりか、有害ですらある」

ということです。
では、今回の「北のミサイル」騒ぎについてはどうでしょう?
政府は「Jアラート」を使って頻繁に「避難」を呼び掛けていますが、「どこに逃げるか、どのように身を隠せばいいか。どうしていいか分からない」との声は多い。『東京』社説は、こう問題を投げ掛けています─。

「〔政府は〕軍事的な脅威をあおるよりも、ミサイル発射や核実験をやめさせるよう外交努力を尽くすのが先決のはずです。そもそもミサイルが現実の脅威なら、なぜ原発を直ちに停止し、原発ゼロに政策転換しないのでしょう。
 万が一の事態に備える心構えは必要だとしても、政府の言い分をうのみにせず、自ら考えて行動しなければならない。悠々の残した数々の言説は、今を生きる私たちに呼び掛けているようです。」

09/11 このところメディア報道のトップは、北朝鮮のミサイルと核実験の話。しかし、そんな騒ぎに対する正面切った批判というのは、あまり目にすることがありません。
そんなとき、きのうの『信濃毎日新聞』の社説「ミサイルと国民保護/非常時が染み込む日常」は異彩を放つものでした。
くだんのミサイルが北海道襟裳岬上空を通過するころ、遠く離れているというのに、どういうわけかJアラートが作動し、緊急メールとサイレン音で飛び起こされた長野県民だからでしょうか、批判の舌鋒はことのほか鋭いように思えます─。

国民の『保護』と『動員』はいつの時代も表裏を成している。いったん有事を招けば基本的な人権や地方自治は後回しにされ、統制と動員態勢が強化されるのではないか。特定秘密保護法、安保法制、共謀罪とこのところ矢継ぎ早にノ整備された法体系を考え合わせれば懸念は膨らむ」と。

そして、「〔パリ同時テロ後〕西洋民主主義国家の間で、基本的人権など『法治』よりも『安全』が重視される国家への転換が進んでいる」

とするイタリアの哲学者ジョルジョ・アガンベンの論考を引きながら、こう警鐘を打ち鳴らします─。

「日本の政治も安全、安心をスローガンにしてきた。憲法に緊急事態条項を設けるのが首相が目指す改憲の一つの柱だ。避難訓練は日常に非常時を染み込ませる。安全国家はすぐそこに迫っている。 」

09/08 昨夜のニュース報道で、民進党・山尾志桜里議員の記者会見の様子を覗きました。「この問題は私なぞが口を挟むべきことでもないな」と思いながらでしたが、あれだけ気っ風のいい人が下を向いて用意した原稿を読むのを見て、正直、何だか気の毒にも思えてきました。
「不倫」をきっぱり否定しながら、「誤解を生じさせるような行動で様々な方々にご迷惑をおかけしたこと、深く反省しおわび申し上げ…離党する決断をいたしました」というのも、いささかわかりにくい話なのですが、もしも本当に「誤解」だったら、取り返しのつかないことになってしまう、と。
零細出版人は決して「不倫容認論者」ではありませんが、それはあくまでも個人の範疇の問題であって、社会的なバッシングの対象とすべきではないだろう、と考えてきました。
その点、けさの朝日新聞の記事「不倫報道、なぜ過熱する? テレビでは笑いがわく場面も」は、大変示唆に富むものでした。
「写真週刊誌の報道合戦が終息してから下火になった "不倫報道" が、いま何で息を吹き返して盛んになったのか? などと思っていたのですが、その要因のひとつが「ネットとテレビの相乗効果」だと聞いて、なんとなく納得できたような気になりました。

09/07 元中国大使・丹羽宇一郎さんの豊かな見識には、いつもながら強い共感を覚えます。
けさの朝日新聞オピニオン欄「(安保考)第1部・同盟とは:下 同盟、どう向き合うか」でのお話(「戦争近づける影も直視して」)は、ともすると政治もメディアも「日米同盟強化一辺倒」になりがちな最近の日本の風潮に、強い懸念を表明します─。

「圧力だけをかけても、出口はない。出口なき戦略の先にあるのは戦争です。…
 安全保障とは、防衛力を向上させることだと思っている人が多いですが、それは違います。軍事力は安全保障の手段の一つにすぎない。軍事力より外交力、それを実現する国際政治こそが大事です。」

実は、ごくあたりまえのことを述べているだけなのですが、それを言える人士が昨今少ない。さすがは、多難な日中関係を裁きながら中国大使を務めた方です─。

「同盟の光ばかりを享受できると思い込み、…同盟の影、つまり自らも戦争に近づいてしまう部分を考えていない。…同盟の意味、特に影の部分が何なのかを考え、戦争には絶対に近づかないようにする。軍事力だけでなく、むしろ国際政治の力で戦争を避ける。それこそが安全保障です。」

09/06 視聴者、放送研究者、放送労働者らで構成される「放送を語る会」が、このほど「共謀罪法案国会審議・テレビニュースはどう伝えたか」という報告書をまとめました。
今年3月1日から6月16日にかけて、いわゆる「共謀罪法案」についてのTVニュース報道5番組を、会員が手分けしてモニタリングし、まとめたものです。
全体をフォローするにはあまりに膨大ですので、ここではNHK「ニュースウオッチ9」だけを取り上げ、同番組が「重要な審議内容を伝えず、ネグレクトした例」を、いくつか紹介させていただきましょう─。

4/17 衆院法務委。民進党・山尾志桜里議員の質問「保安林でキノコを採るのもテロの資金源か」とそれを肯定する政府答弁。
4/19 山尾議員の質問に金田法相が答えられず、刑事局長が答弁。民進党・逢坂誠二議員の「捜査が一般人に及ばなかったら犯罪集団かどうかはわからないのではないか」との質問に対し、金田法相が「犯罪集団が関与していることについての嫌疑が必要」というズレた答弁。(「報道ステーション」の後藤謙次コメンテーター「呆れてものが言えない」とコメント)。
4/21 金田法相が「一般人は捜査の対象にならない」と繰り返し答弁したのに対し、盛山法務副大臣が「対象にならないとは言えない」と相反する発言。「組織的犯罪集団に該当するかどうかは捜査当局が判断する」という金田法相答弁。
4/28 共産党・藤野保史議員の「花見をしているのか犯罪の下見をしているのかどう見分けるのか」との質問に対し、「花見なら弁当やビールを持ち、下見であれば双眼鏡や地図を持っているという外形的事情がありえる」などという金田法相答弁。
5/9 民進党・蓮舫代表の「ラインやメールなどで合意したとどうやって確定するのか」との質問に対して金田法相は「嫌疑がある場合には捜査を行う」としたが、直後に「そういうデジタル情報については監視しない」。「答弁になっていない」と議場騒然。
6/1 参院法務委員会。民進党・小川議員の質問に対する林刑事局長の答弁「組織的犯罪集団の構成員でなくても計画主体になりうる」。金田法相の答弁「構成員でなくても計画に関与した周辺者についてはテロ等準備罪で処罰はあり得る」など。この日「周辺者」という概念が示された。

以上の質疑は、法案のあいまいさや危険性を浮き彫りにするものだっただけに、ネグレクトは大いに問題。

09/05 前にこの欄で、昨今の「政と官」の関係を批判する福田康夫元首相の発言を取り上げました(Cf.08/04)─。

「各省庁の中堅以上の幹部は皆、官邸(の顔色)を見て仕事をしている。恥ずかしく、国家の破滅に近づいている」と。

歴史家・磯田道史さんが、これとは別の角度から「国家の破滅」に言及しています(「公文書を隠蔽すれば『国家が死ぬ』」)。
「自衛隊PKO日報問題」でも、「森友疑惑」でも、このところ大事な文書が「廃棄」されたり、後になって出てきたりと、「民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」たる公文書の粗雑な扱いが、次々明らかになっているとき、磯田さんの次のような考えには大いに共感させられます─。

「『記録』というのは、病状に対する『カルテ』という意識を持っていないといけません。公文書というのは国民にとっての『カルテ』なんです。それは国民の財産で、政府は開示すべきものです。…
カルテをなかったことにしたり、隠蔽したり、改ざんすることは、例えば重篤な病気や悪性の病気を『良性です』と改ざんすることです。そんな風に記録をいい加減に扱えば、国家は死にます。『国家が死ぬ』ということは、国民が死にかねないということです。」

真相解明に役立つ証拠文書を「怪文書」と断じた官房長官氏、あるべき大事な公文書を「廃棄」してしまったり、「廃棄したことにしてしまったり」の防衛大臣、財務官僚ら…。そんな連中のひとりを「ウソをつき続けた論功行賞」で国税庁長官に栄転させたり…。
昨今のアベ政治には、あまりに虚偽や不正が多すぎる。

09/04 つい先だって、北日本上空を通過する弾道ミサイルを発射したばかりの北朝鮮が、きのう6回目の核実験を強行しました。爆発の規模は前回の5倍以上だということですから、水爆実験だったことはほぼ確実。
完成した核弾頭らしきものをキム・ジョンウン氏が視察する写真も公開されているところから、北朝鮮は核弾頭の小型化にも成功したようです。
これを先の「大陸間弾道ミサイル」(ICBM)らしきものに装着すればどうなるかは、推して知るべし。世界は、「キューバ危機」時の「ダモクレスの剣の恐怖」を、追体験させられようとしているのかもしれません。
そんなとき、自民党の竹下亘総務会長が、先に北朝鮮がグアム島周辺への弾道ミサイル発射計画を表明し、島根、広島、高知の上空を通過すると名指ししたことについて、「我々は『えっ』。広島は人口がいるけど島根に落ちても何の意味もない、という思いを持っていた」と発言したそう(朝日新聞、09月3日)。
ご自分の選挙区に落ちても「何の意味もない」という物言いも酷い話ですが、そこには松江原発があることをお忘れなのではないでしょうか?
北朝鮮の「挑発」がエスカレートするにつれ、ますます原発の存在が危険を極限にまで高めています。別に核弾頭なぞ装着していなくとも、ミサイルが原発に落ちるだけで、核弾道ミサイルと同じ「効果」が期待できるのでしょうから。

09/01 「コロンビア革命軍(FARC)の武装解除はとてもうまくいった。すべての武器が国連に引き渡され、破壊した上で溶かされて平和に役立つものに加工される」(コロンビア・サントス大統領単独会見)

へぇー、どこかの国では、戦時中に家庭の鍋釜からお寺の梵鐘までも溶かして武器に加工したという話がありましたが、その反対ってぇのもあるんですね? そして─、

「どんなに複雑であろうと、いかなる状況も対話によって解決できる。コロンビアでは誰も戦争が終わるとは思っていなかった。我々は不可能と思われたことを可能にした。双方の意志によって、対話を通じ、明確な目標を持つことで、武力紛争や戦争の終結へ、合意に至ることができる」

決して「夢物語」ではありません。実際にそれを成し遂げた人の言うことですから、重みがあります。
そんなとき、「万世一系」キムさんちのお若いのの「火遊び」にかこつけて、これ幸いとばかりに、一気に「過去最大、5兆2551億円の防衛費」の概算要求に突っ走る国もあるようです。