back number 2017-05(May)

山梨県北杜市から望む甲斐駒ケ岳(17.05)

05/19 それにしても、今回明るみに出た「文科省文書」は、加計学園獣医学部新設計画をめぐる内閣府 vs 文科省のやりとりを、実に生々しく明かしてくれました─。
片や、加計学園のために「岩盤規制にドリルで穴を空け」、遮二無二獣医学部新設の早期認可を求める内閣府、他方、「準備が整わない」と渋りまくる文科省。
そんな確執に決着をつけたのは、「内閣府がかざした葵の御紋」でした─。「これは官邸の最高レベルが言っていること」「総理のご意向だと聞いている」…云々。その後、事態がトントン拍子で進んだのは言うまでもありません。
何やら、森友学園のカゴイケセンセの「神風が吹いた」挿話と瓜二つですね。これを「忖度」と言わず、何としましょう?

「安倍首相はもはや言い逃れはできません。森友問題では、忖度の事実や優遇などがさらに明らかになってきました。その上、今回の加計問題でも、特例措置や斟酌が明らかです。イエローカードが2枚、つまりレッドカード。安倍首相は疑惑に対する説明責任を果たした上で、退場するべきです。『関与があったら辞める』と言ったのですから、トップリーダーは言行一致の規範を示すべきです。」

そう指弾するのは、政治学者の五十嵐仁さんです(「日刊ゲンダイDigital」)。

05/18 落語「将棋の殿様」を引いて「やっかいな主君がいたものである」と書く、けさの朝日新聞「天声人語」。私ゃてっきり、FBI長官のクビを取ったばかりの「海の向こうの暴君」のお話かと、早とちり。
実はコレ、前にもここで言及した「第2の森友学園疑惑」とも言える「加計学園疑惑」(Cf. 03/07-09)の前振りでした。
スキャンダラスな2つの「田舎芝居」には多少のキャストの入れ替えはあっても、「主演男優」「助演女優」はおんなじ。そのストーリーも、ほぼ似たり寄ったり。
第1の「忖度劇」では、問題の土地取得にあたり、近畿財務局による「ゴミ撤去費用」名目での8億1900万円からの大盤振る舞いがあり、第2の「忖度劇」では、時価37億円の今治市市有地が無償提供されたうえ、愛媛県と今治市による最大96億円の助成が決まっている。言わずもがな、それらすべては国民の血税。
そこにはどうやら、「オトモダチ度の違い」が色濃く反映しているようです。なにせ「主演男優」と加計学園の理事長・加計孝太郎氏は、「第2次安倍内閣発足以降、13回にわたって会い、ゴルフを4回、夕食を9回ともにしている」(東京新聞調べ)ほどの親密さだそう。
その水面下のやりとりを赤裸々に明かす文書が、何と文科省から出てきたのですから。菅官房長官は「怪文書みたいではないか。出どころも明確になっていない」などとして、アベ首相の関与を全面否定するのに躍起となっていますが、政権中枢はさぞかし大慌てしていることでしょう。
これまで隠されていた事実がここまであからさまにされたのでは、今度という今度は、タダでは済まないでしょう─。

 「驕り驕れる一強支配の断末魔、それも一興」

といったところか?

05/17 沖縄の米軍基地反対運動の中でよく歌われた歌に「沖縄を返せ」があります。1956年9月、全司法労働組合福岡高裁支部が作詞作曲し、その後、労働者作曲家・荒木栄氏によって行進曲風にアレンジされた歌です。
実はその歌詞の一部が、時代によって少しずつ置き換えられているという話が、Digital Asahi に載っています(「『沖縄を返せ』変わる歌詞/本土との関係、時代を映す」)。
そのひとつが、先だって高江のヘリパット建設予定地で不当逮捕され、長期間不当に拘禁され続けた山城博治・沖縄平和運動センター議長によるもので、「♪民族の怒りに燃ゆる島」を「♪県民の怒りに燃ゆる島」と換えて歌います─。

「私たちは日本本土から切り捨てられ、犠牲を強いられた。それなのに日本民族の怒りなのか」

というわけです。
もうひとつは、沖縄へ:歩く、訊く、創るで鈴木耕さんが紹介している(Cf. pp.31-40)民謡歌手・大工哲弘さんによるもので、末尾の「♪沖縄返せ」のリフレイン部分を「沖縄返せ」と換えるもの─。

「日本人になりたいと復帰を求めたのに、日本国という母から見捨てられた」との思いから、「元の沖縄に、平和な沖縄にしてくれ」という思いを込めたのでした。

また、岩真千さんの「旅する蝶」のように:ある原発離散家族の物語にも、長らく沖縄に住み続けてきたNさんの「気圧されるような」言葉が引かれています─。

「…本土の人間に総じて言えるのは、沖縄の歴史に対する無知ゆえの、思い上がりがあるということです。沖縄のことは、沖縄人が語る。彼らの痛みをもたらしてきた元凶が自分たちであるということも自覚せず、自分たちの問題を語るための口実として『沖縄』を持ちだすべきではない。それをやるのなら、せめて日本が沖縄にしてきたことの歴史を最初から学びなおさなくてはならないんじゃないですか?」

と、Nさんは、「ヌチドゥタカラ」(命こそ宝)という沖縄の言葉の「重い意味」について語ります。

05/16 もちろん今回の「電波ジャック」は、NHK地上波の一番組が乗っ取られたというレベルの話ではありません。人々の鼻先にそんな「非日常的な事態」を突き付けては、危機感を煽ろうとしているのではないでしょうか?
こうして目下の「共謀罪」も、3年後に照準を据えた「改憲」もやりやすくなるよう、せっせと「地ならし」をしている、と見るべきでしょう。
そうれ、さっそくお出ましです。北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、アノ稲田朋美防衛相が、「わが国全域を常時防護しうる能力を強化するためにも、将来の弾道ミサイル迎撃態勢の検討を進めていきたい」などとブチ上げました。
それは前から導入を検討していた「イージス・アショア」とかいう新システムで、要するに海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を陸上に置くもののよう。1基700〜800億円にもなるそうです。
「安倍政権はことさらに "危機" を強調しようとするが、これはアメリカの武器を買うためのいつもの口実だ」と言う『日刊ゲンダイ』は、軍事ジャーナリスト・世良光弘氏のコメントを引きながら、こう書いています─。

「弾道ミサイル防衛(BMD)強化のため、新システム導入を急いでいる安倍政権にとっては、"待ってました" だろう。政府は地上配備型迎撃システム(THAAD)と、地上配備型イージス『イージス・アショア』を軸にBMD強化を進めようとしている」と。

05/15 毎週日曜日の朝、NHK地上1の「自然百景」と「小さな旅」を楽しみにしている零細出版人なのですが、きのうは「小旅」が始まったばかりの8時02分、突如「プツッ」と放送中断。旅人の女性アナウンサーの映像は、「世の中にこれ以上つまらないことはない」といった表情で鬱陶しそうにしゃべる官房長官の記者会見へと切り替わってしまいました。
で、「北のミサイル発射」について、記者が次々質問するのですが、官房長官氏はますますつまらなそうに、「それはまだ調査中」を繰り返すだけ。「じゃあ何でいま、そんな問答を聞かされなきゃいけないんだっ!?」と、何だか無性に腹が立ってきました。
その程度の話なら、通常番組を中断させることなく、ストレートニュース枠で伝えるだけで十分じゃないですか? だって、「北のミサイル」なるものは、とっくに日本の排他的経済水域の外に落下していて、これからこっちに向かって翔んでくるといった話じゃないのですから。
そういえば先月末の「北ミサイル発射失敗騒ぎ」では、東京のメトロが全路線で10分間運転を見合わせ、1万3000人に影響したなんてこともありました。
「そもそも」この手の「重大情報」が、ことさら大げさに流布されだしたのは、忘れもしません、3月10日のことでした─。あの日、森友学園・カゴイケセンセの記者会見がいよいよ佳境に入らんとするとき、突如、「南スーダンPKO撤収」のテロップが入り、カゴイケセンセそっちのけで、「アベ首相独演会」へと切り替えられ、まんまと官邸は「電波ジャック」に成功したのでした(Cf. 03/13)。
マスメディアは官邸のそんな思惑に簡単にノセられないよう、返す返すも注意していただきたいもの。こんな馬鹿げたことを続けていると、いまに「狼少年」のようになってしまうのがオチじゃないか、と憂える次第。

05/12 「誰が文化を『殺す』のか」とは、あまり穏やかではありませんが、「表現の自由」にとっては、それほどに由々しき問題なのです。
実はこれ、『週刊金曜日』5月12日号の「著作権法改正案」特集のタイトルで、続くリードにはこうあります─。

「作家やジャーナリストをはじめとした著作権者を置き去りにしたまま、著作権法が改正されようとしている。しかもその改正内容は、著作権者に対して一方的に犠牲や面倒を強いるばかりか、外交問題まで引き起こす恐れがあるものだ。早ければ今の通常国会に同法の改正案が提出されようとしている。」

5年前の「グーグルブック検索騒動」をご記憶でしょうか? グローバルな検索大手グーグル社が、1000万冊以上の書籍を著者にも出版者にも無断で全文デジタルスキャンして、一部をネット上に公開したという事件です。
さすがこれには、著作権者団体や出版者団体らから強い抗議が巻き起こり、日本の著作権者は「和解案」から除外されることになったのですが、ところがどっこい、いまになってそれとほとんど同じことが、今度はニッポン国文化庁の音頭で進められているのです。
曰く、「文化の発展のためには "著作物の利用円滑化" が求められており、"柔軟性のある権利制限規定" の整備を行う必要がある」というわけです。
これは「頓挫したTPPの延長線上にある」とも言えるのでしょうが、要するに、「著作権を人格権として守ってきたものから、財産権としてビジネスユースの道具に変質させ」、著作者が「継続して創造的な作品を生み出す環境を壊すことに繋がりかねず、ひいては表現の自由にも影響を与える」(専修大学教授・山田健太氏)という結果を招きかねません。
こんなものが「文化の発展のために」なるなんて、冗談も休み休みにしていただきたいもの。

05/11 8日の衆院予算委で民進党・福島伸享議員が掲げた「黒塗り文書」には度肝を抜かれました─。
問題の文書は、森友学園が近畿財務局に提出した国有地取得要望書類のようですが、「設立趣意書」のタイトルも、内容を記した部分もすべて黒塗り。これでは、何が何だか皆目わかりません。
しかし、申請した当のカゴイケ氏が、「開設予定の校名として『安倍晋三記念小学校』と記載した」と言っている(朝日新聞)のですから、財務省のやっていることは、「頭隠して尻隠さず」を地で行く滑稽かつ不審な挙動にしか見えません。
福島議員は学園の新理事長(カゴイケさんの長女・町浪氏)に開示の同意を得たうえで政府に説明を求めたものの、財務省・佐川宣寿理財局長は、毎度おなじみ、人を食ったようなドヤ顔で、「学校の運営方針に関わることなので、情報公開法の不開示情報になっている」と平然と答えます。
カゴイケさんらの同意を得ても、学園が目下民事再生手続き中なのだから、開示には「管財人への確認が必要」というわけです。
さらに、「タイトルがなぜ不開示情報なのか」と追及されれば、「その下に書いてある学校の経営方針と一体となっているため」などと、どこまでも不誠実な答弁に徹します。
この男、おそらく、きょうのこの日のためだけに一所懸命勉強してきたのでしょう。「少しでも政権に都合の悪い情報は身を挺しても守り抜く」といった「埴輪精神に満ち満ちた財務官僚の固い決意」のほどを見るにつけ、何か哀れみすら覚えてしまうのです。

05/10 それにしても、首相の口から出た「読売新聞熟読推奨」発言ほど、昨今のこの国の政治の歪みを端的に表すものはないのではないか、と思います。
そもそも、国会論戦で野党議員から問われた首相が、質問に対してまともに答えず、「一新聞のインタビュー記事を読め」ということからして国会軽視の極みなのですが、「そう言われて(おそらく)喜んでいる報道機関」があることは、それと同じくらいおかしな話。
「権力監視」(Watch dog)という「ジャーナリズムのレゾンデートル」をかなぐり捨てたマスメディアが、この国の民主主義をどれだけ壊してしまったか、改めて深く考えてみる必要があろうというものです。
そんなとき、けさの新聞の週刊誌広告に、おやっと思わせる見出しを見つけました─。

 「被害女性が告発! 『警視庁刑事部長』が握り潰した
 『安倍総理』ベッタリ記者の『準強姦逮捕状』」

『週刊新潮』5月18日菖蒲月増大号の全5段広告です。このところスクープを続ける『週刊文春』に触発され、『新潮』もおおっぴらに「権力批判」のスタンスを強めたということなのでしょうか?

「安倍総理がもっとも信頼しているジャーナリストは誰か? 現時点では、元TBSワシントン支局長にして、『総理』の著書もある山口敬之氏(51)に違いない。だが、連日、テレビで安倍官邸の動向を解説する彼には、人に言えない過去があった。2年前、婦女暴行の嫌疑を掛けられ、逮捕状まで発付されていたのだ。逮捕の寸前、彼を救ったのは、安倍官邸で重用され、大出世した刑事部長。一強の権力者への忖度は犯罪まで消してしまうのか」と。

かつての『週刊新潮』のスタンスを知る者としては、これは大変驚愕すべき事象なのですが、週刊誌というメディアが「やじ馬ジャーナリズム」という本来的な使命を取り戻しつつあるのだとすれば、大いに歓迎すべきことです。
となれば、いつまでも「オトモダチ新聞」に安住している読売新聞は、やがて読者から見放されていくことになるのかもしれません。

05/09 憲法記念日に大々的に「2020年改憲」を打ち出したアベ首相(いえいえあれは、「自民党総裁として」言ったことなんだそう)、きのうの党役員会でも、「本年いよいよ歴史的な一歩を踏み出したい」と、いよいよもって前のめり。
それにしても、「二つの顔」を持っているというのは、コンビニも顔負けするほど便利なことこの上ない─。
で、衆院予算委員会の集中審議でくだんの発言の意図や具体的な改憲項目について問われた「かい人二面相」氏、「首相としてこの場に立っているので詳細は控える」などと、今度は都合よくスルリと逃げの一手。そればかりか、「総裁としての考えは読売新聞を熟読していただきたい」などと、「オトモダチ新聞」の拡張員のような答弁までして、予算委員会委員長に注意される始末。

「『2020年に新憲法施行を』とまで明言したのは首相本人だ。ところが国会で質問されると、首相と総裁の立場を使い分け、『後は与野党で』とゲタを預けてしまう。
 これではあまりに無責任でご都合主義だ。首相が狙ったという『憲法議論の活性化』も阻むことになる。」

「首相答弁に改めて驚」いたのは、毎日新聞社説子だけではないでしょう。

05/08 日本国憲法施行70年を迎えたこの5月、アベ首相はついに「"死んだふり" から "宣戦布告" へ」と舵を切ったよう─。

「機は熟した。今求められているのは具体的な提案だ。理想の憲法の具体的な姿を自信を持って国民に示すときで、しっかりと結果を出さなければならない… この節目の年に必ずや歴史的一歩を踏み出す。新しい憲法を作っていくことに全力を傾けると誓う」と。

そして、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と、改憲へ向けての具体的なタイムスケジュールを、初めて公にしました。
そう、「半世紀ぶりに夏季のオリンピック、パラリンピックが開催される2020年を未来を見据えながら日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけにすべきだ」などとして、そこをターゲットに据えたのでした。
「共謀罪」法案にも急遽「テロ防止」のお題目を取ってつけ、「これがないと、オリンピック、パラリンピックが開催できないと言っても過言ではない」などと強弁していたのですが、これにさらに「改憲」を加え、五輪を契機にこの国のかたちを一気に変えてしまおうという魂胆のよう。
「フクシマはアンダーコントロールにある」などと、世界に向けてぶっ放した「ブェノスアイレスの大ウソ」の意味が、いまここにハッキリとしてきました。
アベ首相は「護憲派の国民は少数になった」などと豪語していますが、いえいえどうして、たとえば朝日新聞調査では、「変える必要はない」が50%、「変える必要がある」が41%と反対が上回り、NHK世論調査でも、改憲が「必要ない」とする人は02年の23%から34%へと増えているくらい。

「〔首相の唐突な決意表明は〕改憲派の会合での一方的なメッセージである。見過ごすことはできない。首相は自身の考えを国会できちんと説明する必要がある。」

4日の信濃毎日新聞社説はこう書いていましたが、まったく同感。

05/01 昨年末、南スーダンPKO派遣の陸上自衛隊部隊に「駆け付け警護」が付与されたのに続き、このたび稲田朋美防衛相が、自衛隊が平時から米国の艦艇などを守る「武器等防護」の実施を命令しました。
これは、「安全保障関連法」(戦争法)にもとづく新任務だそうで、さっそくきょう、横須賀基地の海自護衛艦「いずも」が米海軍補給艦を四国沖まで「護衛する」とのこと。
先日、このところの北朝鮮情勢の緊迫をうけ、「共同訓練」の触れ込みで海自艦船が米原子力空母カール・ビンソンに付き添う映像をニュースで見ましたが、これは「護衛」というより、「米艦のお供をする奴さん」のように見えてしかたありませんでした。
ところで、昨夜のNHKスペシャル「憲法70年/"平和国家" はこうして生まれた」は、新たに発掘された資料にもとづき、「憲法誕生の知られざる舞台裏」に光を当てていました─。
敗戦直後の1945年9月4日、昭和天皇が勅語で「平和国家の確立」を明らかにし、憲法改正の調査を命じていたこと、そして衆議院の憲法制定小委員会での社会党・鈴木義男議員の提案に始まる議論から、「国際平和を誠実に希求」するという条文が9条に盛り込まれていったことなどが明らかにされました。
まだ敗戦の記憶の冷めやらないとき、新たな「平和国家」を創設するために、党派を超え真剣な眼差しで議論する人々の熱情が、生き生きと伝わってきました。
当時の政治家たちの熱い思いを知るにつけ、いま「壊憲」に血道を上げる政治屋たちの振る舞いの異常さを、改めて思わざるをえませんでした。