back number 2017-02(February)

ウメの香りをシソの香りと間違えちゃいけません(17.02)

02/28  2月もきょうでお終い。「年度末」なぞ、零細出版人にとっては何の関わりもないと思えるのですが、実はそうでもありません。
印刷屋さんや製本屋さん、学校や図書館など、「3月末までに…」といった周囲の「年度末騒ぎ」に、しばしば巻き込まれることがあるのです。
それにしても、今回は参りました。「恨み辛みの年度末」になってしまいました。せっかく首尾よく印刷を終えた新刊本の「刷り本」でしたが、何と2週間も寝かせておかなければならなくなってしまったのです。
通常ならば、1週間ほどで製本を終え、翌月半ばには取次店に搬入できるはずなのですが、それが叶わなくなってしまった、というわけです。いったいなぜ?
つい先だって、「村上春樹さん7年ぶり大作発売 本屋で徹夜で読む催しも」という話題が、マスメディアを賑わわせました。そう、村上さんの新作長編「騎士団長殺し」(新潮社)が、全2巻、計130万部で発売になったのでした。
これだけの部数を一気に作るには、何軒もの製本屋さんを動員しなければできません。しかし、あいにく「出版不況」が言われる昨今、町の製本屋さんは、次々廃業に追い込まれてしまいました。
こうしてこの2月は、どこの製本屋さんも早くからパンク状態。零細版元の新刊本なぞ、入り込む余地すらなくなってしまった、というわけです。

02/27  たった1週間でこの豹変! 先だって「妻から…先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いている」と持ち上げていたご仁が、1週間後には、「非常にしつこい中において」などと、意味不明の日本語を口走りながら、森友学園への「大いなる不信」をあらわにする。
そればかりじゃありません。世間様がくだんの学園の異常さに気づき、疑惑の目を向け始めたからなのでしょう、せっかく「名誉校長」に就任あそばされたファーストレディを辞任させ、いつの間にか「名誉校長 安倍昭恵先生 安倍晋三内閣総理大臣夫人」の写真も挨拶文も、学園HPから削除してしまいました。
これを「隠蔽じゃないか」と国会で追及した民進党議員に、当のご仁はブッちぎれ─。

「隠蔽というのはですね、隠蔽というのは、隠蔽というのは、じゃあ、私が隠蔽したんですか! 私がですね、私が森友学園のHPに対して隠蔽しようがないじゃないですか!」

何言ってるの? 支離滅裂! というわけで、ここからは、『日刊ゲンダイ』の傑作な記事「名誉校長辞任でも終わらない "安倍晋三小学校" 異様の全容」に、中継のマイクを譲りましょう─。

「よっぽど触れられたくない話なのか、『レッテル貼りだ!』『公共の電波の前で私を侮辱した!』『私と妻を侮辱した!』と早口でまくしたて、『(隠蔽の言葉を)取り消さないと答弁できない』とダダをこね、揚げ句に『まるで私が関与しているかのごとくイメージ操作を延々と、それしかないのでしょうけど、だからあなたたち(民進党)は国民からの信用を得られないんですよ』と、公共の電波の前で民進党を侮辱していた。
まるで子どもだ。いっそ塚本幼稚園〔森友学園傘下のアナクロ教育幼稚園〕で教育を受け直した方がいいのではないか。幼児性丸出しのトップの醜態を見せつけられた国民は唖然ボー然である。」

02/24  きのうは朝からPCトラブルで大わらわ、この欄も休載を余儀なくされました。つくづく「コンピュータ社会の不便さ」を、身にしみて感じた次第です。
さて、きょうも、4月開校をめざす大阪の「アナクロ小學院」(森友学園)のお話─。

古来、「国有地払い下げ」には、とかく「疑惑」がつきまとうもの。今回の場合は、評価額9億5600万円のところ、8億2200万円も負けさせ、何と元値のたった1割ほどで払い下げてもらったというのですから、そこに何か強力な政治力のようなものが働いたとみるのは、ごく自然です。
あるいは直接、政治力は行使しないでも、少なくとも「 "広告塔" として強力な政治力が利用された」とみることは可能でしょう。
8億からの値引きの名目は「敷地地下のゴミ撤去費用」だそうですが、実際にそれがなされたかどうかは不明です。そこで、零細出版人のへたな一句─。

 「小學院のお庭を掘り返してみれば、
      8億の"疑惑のゴミ" がザックザク」


で、そこかしこにちらちら見え隠れするのが、昨今「飛ぶ鳥を落とす勢いのアベ一族」の面々。
そのひとり、くだんの「小學院」の「名誉校長」にめでたく就任された安倍昭恵氏が、同学園傘下の幼稚園で行なった講演から─。

「こちらの教育方針は大変、主人〔シンゾー氏〕も素晴らしいと思っている。(卒園後)公立小学校の教育を受けると、せっかく芯ができたものが揺らいでしまう」

とんでもない物言いです。マスメディアがしばしば「家庭内野党」などと持ち上げてきたこの夫妻、政府専用機のタラップを乗り降りするときだけでなく、どっこい実は、「共通の価値観」で強く結ばれていることが、よーくわかるというものです。

02/22  そもそも名前からして、十分すぎるほどいかがわしい。いいえ、大統領補佐官を辞任したフリン氏の話(Cf. 02/15)をむしかえそうってなわけではありません。
財務省近畿財務局が大阪の学校法人・森友学園に、国有地を通常の約1割の値で払い下げたという「国有地払い下げ疑惑」のことです。疑惑の解明は、国会や大阪地検特捜部に期待するとして、ここで問題にするのは、同学校法人が「疑惑の土地」に今春から開校しようとしている私立小学校そのものです。
その名を「瑞穂の國記念小學院」と言い、小学校だというのに難しい旧字を宛てがっています。もっと傑作、かついかがわしいのは、寄付金を募ったときのその名です。ナなんと「安倍晋三記念小学校」ですって!
「悪い冗談」というのはふつう、このへんでお終いとなるのですが、これにはさらに「悪い冗談」の続編があるのです。ナナなんと、記念に名を冠された宰相の妻・安倍昭恵氏が「名誉校長」を務めるんだそうです。
このことを国会で質された「記念政治家」氏、血相を変えて「関係していれば総理も国会議員も辞める」などと息巻いていましたが、「妻から学園の先生の教育への熱意はすばらしいという話は聞いている」などともおっしゃっています。
と聞いて、いったいどれほど「すばらしい教育」をしようとしているのか知りたくて、同「小學院」のHPに当たってみました。「教育の要」は、次のようなものだそう─。

・ 天皇国日本を再認識。皇室を尊ぶ。伊勢神宮・天照大御神外八百万神を通して日本人の原心(神ながらの心)、日本の国柄(神ながらの道)を感じる。
・ 愛国心の醸成。国家観を確立。
・ 教育勅語素読・解釈による日本人精神の育成(全教科の要)。道徳心を育て、教養人を育成…etc.

なあーんだ、つまりは戦前の軍国主義教育をそのまま復活させようってな話じゃないですか! 現にそのあとには、「明治23年10月30日 御名御璽」のついた「教育勅語」が仰々しく掲げられていました。
かの「ファーストレディ」氏の「すばらしい教育」とは、こんなものだったんですね、ゲッ。

02/21  世界の耳目がクアラルンプールに釘付けになっていたきのう、トランプ政権が発足1カ月を迎えました。
ご当人はこの間の「成果」をしきりに自画自賛して憚りませんが、実態はといえば、「大混乱」の様相。その混乱ぶりについて、けさの朝日新聞はワシントンからこう伝えています─。

「政権の多くの重要ポストも空席のままだ。約4千とされる政治任用ポストのうち、議会の承認が必要な重要ポストは約1200。ただ、閣僚を含め、トランプ氏が議会に諮ったポストは59ポストにすぎない。『副長官』はわずか3人しか指名されていない有り様だ」

1カ月もたっても足元がまだこの様子では、まともな行政機能を果たせるとは思えません。
その一方で、大統領の「暴言・虚言癖」だけは、一向に止まるところを知りません。18日のフロリダ州の支持者集会では、堂々、何の根拠もない「自家製フェイク(偽)ニュース」を流して、顰蹙を買っています(Doubt!)─。

「あなた方はスウェーデンで昨夜、起きたことを見ている。誰が信じられるだろう。彼らは(移民を)大勢受け入れ、考えもしなかったような問題を抱えている」と。
トランプ氏にとっては、それは「ポスト真実」("Post truth") であり、「オルターナティブ・ファクト」("Alternative fact") だなんて言って居直るのかもしれませんが、もちろん、スウェーデンでそんな事件など起こってはいません。
そんな男を世界はいつまでも、まともに相手にするとは思えません。お膝元の米国でも、ジョージ・ワシントンの誕生日のきのう、例年ならば歴代大統領の功績をたたえる「プレジデンツデー」のはずが、今回は、トランプ抗議デモとなったそう。
突然ですが、ところで先だっての鳴り物入りの「日米首脳会談」って何だったのでしょうね。そういえば、その後、どこかの国の「首脳」が「トランプ詣で」に駆けつけたって話は、とんと聞きませんがねぇ。

02/20  国会質疑でしばしば苦し紛れに「トンデモ答弁」を繰り返しながら立ち往生している稲田防衛相。金田法務相ともども、「稲も金も永田の中の一本足の案山子」とでも歌われそうな「反知性主義内閣を代表する劣化閣僚」のお二人。
そんな稲田大臣に、北沢俊美元防衛相が『日刊ゲンダイ』紙上で「南スーダンPKОは『撤収すべき』」と提言しています─。

「稲田さんは即刻、辞任すべき。国会対策ありきで事実を正確にとらえず、言葉を弄して危険性をごまかす。…稲田さんは自衛隊の行動原理も、それを担保する法律も自分の都合のいいようにねじ曲げているね。そもそも憲法上、武力行使につながる駆け付け警護は認められない。自衛隊の行動実態からいって、できるはずないんだから」

おまけに南スーダン派遣陸自の「日報」問題を見ても、大臣閣下は防衛省の役人たちにナメられていると言います。というのも─、

「これまで彼女がやったことといえば、自分のメンツのために動いただけでしょう。(終戦記念日の)8月15日には必ず靖国神社に参拝するからと。でも防衛大臣の立場でのお参りはマズイから、アリバイづくりで(16年の)ジブチ訪問を段取りさせたわけでしょう。個人的な政治信条を防衛大臣の仕事に持ち込んだわけだ。防衛省の人たちは分かっていますよ。それでも、中国や韓国を刺激せずに大臣の職務を果たしてくれるのであればと、その時は従った。ところが、(16年12月に安倍首相に同行した)真珠湾から帰ってきた途端、靖国へ行った。『政治家・稲田朋美』の立場を保つために、防衛省は使われ、動かされた。そりゃあ、省内の信頼は失墜する」と。

なーるほど、内部事情に詳しい人は、目のつけどころがチト違うようです。

02/17 「事実の軽視、まるで中世」─。うーん、ごもっとも。けさの朝日新聞「月刊安心新聞」での神里達博さん(千葉大教授)の言い分に共感。
神里さんは、南スーダン派遣陸自部隊の「日報」をめぐる稲田防衛相の国会答弁(Cf.02/09「『愚かなアクロバット行為』を演じる防衛大臣」)を採り上げ、いまこの国で一世を風靡する「事実の軽視」という社会的雰囲気を摘出します。
でもこれは、日本だけでなく、「ポスト真実」(post-truth)という形で「先進諸国で同時多発的に」生じている現象で、「かなり真っ正面から『事実』が無視され、しかもそのことを多くの人々がさほど気にとめないという状況」になっている、と警告します。
そして、ここからが科学史家・神里さんの本領発揮。中世ヨーロッパの『健康全書』に架空の植物「マンドラゴラ」が収録されていたことを引き合いに出して、こう言います─。

「ここから見えてくるのは、当時を生きた人々が重視したのは、対象が実在するかどうかではなく、集合的な主観において、リアリティーを共有できているかどうかだったのではないか、ということだ。…いつの間にか私たちが生きる時代が、…中世に似てきているということはないだろうか」と。

で問題は、「『事実行為としての殺傷行為』はあっても、これは『戦闘行為』ではなくて、『武力衝突』である」などと言い繕って涼しい顔をしている稲田大臣の「愚かなアクロバット行為」だけではありません。
その「上司」たるアベ首相には、そんな手口を「得意芸」としている節すら見られるのです。たとえば昨年6月の、かくも厚かましい弁明も記憶に新しいところです─。

「現在直面しているリスクは、リーマンショックのような金融不安とは全く異なるが、危機に陥ることを回避するため、内需を腰折れさせかねない消費税率の引き上げは延期すべきだと判断した」

しかもこれは、「これまでのお約束とは異なる、新しい判断」なんだってさ。

02/16 「町の工務店のおっさん」のような風貌をした、善良そうな男が片手を挙げています─。北朝鮮の故金正日総書記の長男・金正男氏です。
そういえばこのお方、16年前に突如成田空港に現われて、拘束・収容ののち、超法規的措置で「退去強制処分」となったことがありました。「いったい何しに来たんだろう?」と訝しがっていたら、「東京ディズニーランド見物にやって来た」と聞いて、「エッ、偽パスポートまで使って、そんなことに…!? バッカみたい」と呆れたことがありました。
そんな正男氏が、クアラルンプール国際空港で「暗殺された」ということです。5年前にも北京で「暗殺未遂事件」に遭ったことがありますので、今回もまた北朝鮮が放った「刺客」に襲われた、とみるのが自然でしょう。
それにしても、見るからに「権力欲のなさそうな人」が、いったい何で殺されなければいけないのでしょう? 「金正恩委員長が正男氏を自分の権力を脅かす存在だと警戒し、除去しようとした」というのが、もっぱらの解説ですが、裏を返せば、かの世襲体制の権力基盤はそれほどに脆弱だということです。
そうなると、権力者が猜疑心で固まって行くというのは、どうやら「歴史の必然」のようです─。晩年のスターリンを見ればよくわかります。猜疑心が猜疑心を呼び、誰も信用することができなくなり、容赦ない「粛清の嵐」が吹きすさんだのでした。
やたら虚勢を張る金正恩氏の心中も、実はそんなものなのかもしれません。

02/15 つい3カ月前、「軍事や情報分野で、この国の最高位の専門家の一人。政権にとって貴重な人材になる」と持ち上げられ、国家安全保障担当の大統領補佐官に指名されたばかりのマイケル・フリン氏が、政権発足前の対ロ協議疑惑から、早くも辞任に追い込まれました。
日本では、「コレ(小指)で辞めた」閣僚や議員なぞ、掃いて捨てるほどいますが、ひょっとして「フリン」さん、名前が悪かったのかもしれません。冗談はともかく、発足早々のトランプ政権にとって、これはさぞかし大きな打撃となるでしょう。
で、そんなフリンさんを「トランプ大統領の全面的な信頼を得ている」とかばったのが、コンウェイ大統領顧問です(朝日新聞)。
ところが悪いことは続くもので、こんどはそのコンウェイ大統領顧問が、「トランプ米大統領の娘イバンカさんが手掛けるファッションブランドの商品をテレビ番組で『宣伝』した」ということで、政府倫理局が「懲戒処分が必要」と、ホワイトハウスに書面で勧告していたことが明るみに出ました(共同通信)。
叩けば埃ばかり出てくる政権の親玉から、「外国首脳で唯一のよき理解者」として「異例の厚遇」を受け、目下ルンルン気分の「ポチ首相」ですが、「親密11時間の率直な話」の中身を、国民に明かす責任があるのじゃないですか?

02/14 先だっての日米首脳会談で、通商や為替についてトランプ側からこれといった言及がなかったことから、「お騒がせ大統領」への市場関係者の警戒心が緩んだということなのか、日経平均株価は2週間ぶりの高値、東京外国為替市場でも一時1ドル=114円台の円安ドル高水準に。
一方、NHK世論調査では、「トランプ大統領との初めての首脳会談で、日米同盟と両国の経済関係を一層強化していくことで合意したことについて」その評価を問うたところ、「大いに評価」が13%、「ある程度評価」が55%と、合計7割近くの人が日米首脳会談を評価しているといいます。
同時にそれは、最近の習わしで、さっそく内閣支持率にも跳ね返ります。同じ調査によると、アベ内閣を「支持する」人は先月より3ポイント上がって58%、「支持しない」人は6ポイント下がって23%になったんだそう。
マスメディアが揃って、連日あれだけ「めでたし、めでたし…」と「ご祝儀報道」を振る舞えば、読者・視聴者がすっかり「目くらまし」されてしまうのも道理というもの。
「お祭り騒ぎ」が一段落したところで、各メディアが胸に手を当て、冷静かつ真剣に「ファクトチェック」されることを、心から願います。

02/13 鳴り物入りの日米首脳会談が、つつがなく終わったようです。
きのう開かれた日本ジャーナリスト会議(JCJ)緊急講演会(「メディアを蝕む報道の自己規制」)で、講師の上出義樹さんも言及していましたが、NHKを始め日本のメディア報道には、今回もまた「ご祝儀報道」が目に付きました。
たとえば、きのうの朝日新聞朝刊─。
せっかく社説や個別記事の中で、今回の首脳会談の「『蜜月』演出が覆う危うさ」を衝きながらも、1面の見出しで、「尖閣に安保、共同声明」「経済対話、枠組み新設」「日米首脳、同盟強化を確認」「親密さを国際協調への礎に」などと畳みかけられては、何だか「日本むかし話」の結末「めでたし、めでたし…」を聞かされているような気分にもなります。
で、一方の米国メディアはといえば、さすがは「権力のウォッチドッグ」を自任するだけあります。同じファクトを観察しても、遠慮会釈なく「吠える」ことを忘れません─。あまりに卑屈で見苦しい日本政府の「朝貢外交」の本質を鋭く見抜き、これを「おべっか」と伝えています。
上出さんは、今回の一連の報道も、「日本のマスメディアの根深い負の体質・構造」としての「自己規制」の一種ではないか、と指摘しています。

02/10 首相、外相、財務相の我らが「反知性主義内閣3首脳」が、ガン首そろえてワシントンへと旅立ちました。
「親分の呼出しを受けた舎弟」さながら、日付変更線を越える政府専用機の中ではきっと、「親分がああ言ってきたらどうしよう? こう言ってきたらどうしよう?」なんて話が続いてたんでしょうね。
もっとも、「親分のご意向」を忖度して、マティス国防長官には「わが国は防衛力を質も量も強化します」とお約束をお伝えしておいたし、インフラ整備とやらで「米国の雇用にも貢献します」と、親分のご機嫌取りも、手回しよく済ませておいた。
だから、「おっかない話し合いは早々に切り上げ、あとはフロリダの "ゴルフ三昧" で "個人的な信頼関係" を構築したい」というのが、今回の訪米の動機なのでしょう。
でも、あまりに乱暴なトランプのやり方に世界中の批判が高まっているこの時期の「個人的な信頼関係の構築」が、いったいどんな意味を持つことになるのかは、はなはだ怪しげ。ひょっとして、「世界の笑いもの」になるだけなのかもしれませんよ。

そんな矢先、サンフランシスコの連邦控訴裁判所が、イスラム圏7カ国国民の入国を一時禁止する大統領令の効力停止を維持する決定をした、との速報が入ってきました。つまりは、政権が「鳴り物入りで導入した看板政策について、司法が改めてストップをかけた形」(朝日新聞)です。
「トランプ親分」のご機嫌は最悪。さぁてどうする「日出ずる国の従順な舎弟」たち。

02/09 国会での質疑を恐れ、「恥の上塗り」を重ねる法務大臣がいるかと思えば、「事実行為としての殺傷行為」はあっても、そうなると「憲法9条上の問題」になってしまうから、これは「"戦闘行為" じゃなくて "武力衝突" なのだ!」などと強弁して、「愚かなアクロバット行為」を演じる防衛大臣もいる。
さすがは「反知性主義内閣の劣化閣僚の面々」、よくもこれだけの「逸材」を集めたものだと、ただただ感心するばかりです。
それにしてもあんまりじゃないですか? 昨秋、フリージャーナリストの布施祐仁さんが南スーダン派遣陸自部隊の「日報」の情報開示請求をしたときには、「廃棄した」として「不開示」にされていたものが、自民党の河野太郎衆院議員に再調査を求められて、「ありました、ありました、別のところに…」となる不思議。
しかも、その文書を隠し続ける一方、国会ではアベ首相が、「戦闘行為ではなかった。衝突、いわば勢力と勢力がぶつかったという表現を使っている」などと、きわめて不誠実な答弁を繰り返していたのですよ。
そして、このたび発見された(!)「日報」には、「宿営地5、6時方向で激しい銃撃戦」「直射火器の弾着」「戦車や迫撃砲を使用した激しい戦闘」…などと、「戦闘」の様子も生々しい現場リポートが続いているのです。
なのに、これを「武力衝突」などと言い換え、涼しい顔をして、愚かしい言葉遊びに興じている。これじゃ、「戦闘」現場に投げ出された自衛官が、あまりに気の毒ではないのか!? 彼らのいのちを弄んでいることにはならないのか!?
「福井のメガネ」の奥にきらりと光る冷たい視線を見て、押し止めようのない「愛国心」に燃える零細出版人なのでした。

02/08 政府が今国会に上程しようとしている「共謀罪」(「テロ等準備罪」)について、小社も加盟する日本出版者協議会(出版協)がこれに反対する立場を明確にしています─。

 「…『合意』や『準備行為』などの『共謀』に関する捜査は、その集団の構成員の内心やその集団の内部におよばざるを得ない…
 『共謀』の疑いを理由とする早い段階からの捜査が可能となれば、盗聴や捜査協力者を使った潜入捜査が多用されることが高まることが予想される。そうした捜査は、市民団体や労働組合の活動やそこに参加する市民や労働者の『内心の自由』に踏み込むおそれがある。それは、市民団体や労働組合やその構成員の自由な表現活動などを萎縮させたり侵害することにつながる」と。

おまけに、かくも危険千万な法案提出を目論む法務大臣の言うこと、なすことが、法案同様これまた怪しい。
衆院予算委員会での野党質問にまともに答えられず、頻繁に立ち往生していたかと思ったら、こんどは、まるで「質問封じ」まがいの文書を報道機関に配布─。

「導入のための法案が国会に提出された後で、担当局長も加わって、法務委員会で議論すべきだ」と。

ぶっちゃけて言えば、「いま何を聞かれたって答えられないから、質問は法案が上程されてからにしてくれ。そうすれば、官僚がソツなく答えてくれるだろうし、そうこうする間に数の力で押し切ることができる」ってな魂胆。
さすがにそんな呆れるばかりの目論見は通用せず、「国会に対して審議のあり方を示唆するものと受けとめられかねず、不適切だった」なんて言って朝令暮改、つまりは「恥の上塗り」。
そして、言わなきゃいいのに、「自分自身に向けたメモ」だったなんて弁解は、「漆職人の向こうを張ったかのご丁寧な恥の上塗り」

02/07 「沖縄差別のヘイト放送」と批判された「ニュース女子」(東京MXテレビ)をめぐり、東京新聞と中日新聞が論説主幹名で「お詫び記事」を出したこと(Cf.02/03)に対し、こんどはくだんの番組の司会を務める東京新聞の長谷川幸洋・論説副主幹が、ラジオ番組で「反論」をしています。
きのうの産経ニュースによると、長谷川氏は6日、ニッポン放送のラジオ番組「ザ・ボイス そこまで言うか!」に出演し、東京新聞が謝罪記事を掲載したことについて、「はっきり言って、とんでもない問題だ。私に対して処分をするということは、言論の自由の侵害になる」などと反論し、さらにこう述べています─。

「東京新聞は〔今回の問題と〕何の関係もないし、私が社外で発言することが東京新聞の報道姿勢と違っていても、何の問題もない。それを保障すること自体が言論の自由を守ることだ。…論説主幹の意見を忖度し、他の意見を排除していたら、北朝鮮と同じになってしまう」と。

でも、どうでしょう? 問題の番組内容は、「意見の違い」などということで済まされるものではありません。論説主幹の深田実氏が問題としたのは、それが「偏見を助長して沖縄の人々の心情、立場をより深く傷つけ、また基地問題が歪められて伝えられ皆で真摯に議論する機会が失われかねない」ということでした。
事実を重んじるべき新聞社の幹部が、反対運動を「テロリスト」扱いするような番組の司会を務めたうえ、何の反省もすることなく、「いろいろ騒ぎになりましたけど、まあ、盛り上がっているということですよ」などと吹聴しているとは、「言論の自由」が聞いて泣きます。
「Post truth」などと称し、公然と「虚偽」が大手を振るい、「真実」や「事実」が蔑ろにされる世界的な風潮のもとで起きた今回の事件は、いささかもゆるがせにしてはならないと考えます。

02/06 イスラム圏7カ国国民の米国入国を一時禁止する「トンデモ大統領令」をめぐって、米司法当局を交え面白い展開が出てきました。
この3日、くだんの「大統領令」の「無効」を求めた米西部ワシントン州の司法長官らの訴えをシアトルの連邦地裁が認め、命令の効力を停止させるよう決定。翌日、米司法省は「入国禁止は大統領権限の範囲内だ」と、地裁決定を即時停止するよう連邦控訴裁に控訴したものの、「即時」退けられたという話。いやあ、快哉!
これに怒り心頭のトランプ氏、毎度おなじみツイッターで、「裁判官が国土安全のための入国禁止を止めることができ、悪意を持った人を含め、誰でも米国に入国できるようになるとは、どうなっているのか」などと地団駄踏んだばかりか、「いわゆる(so-called)裁判官の決定はばかばかしく、覆される!」(Cf.02/02)などと司法に八つ当たりする始末。
「三権分立」は民主主義の基本中の基本。政権に飼い馴らされた日本の司法も、たまにはそのくらいの気概を示してほしいものです。

02/03 東京MXテレビ1月2日放送の「ニュース女子」に、「沖縄差別のヘイト放送」との批判(Cf. 01/30)が高まる中、番組の司会者が東京新聞の現役論説副主幹だったことが波紋を呼んでいます。
そのことに関して同紙論説主幹の深田実さんが、きのうの同紙1面で、お詫びの言葉を書いています─。

「〔番組は〕事実に基づかない論評が含まれており到底同意できるものでもありません。
 残念なのは、そのことが偏見を助長して沖縄の人々の心情、立場をより深く傷つけ、また基地問題が歪めて伝えられ皆で真摯に議論する機会が失われかねないということでもあります。」

そして、読者からの批判に答え、「権力に厳しく人に優しく」という東京新聞のスタンスは「もちろん変わっていません」と。
また、同じ日の東京新聞は、この問題について識者に聞くシリーズ「『沖縄ヘイト』言説を問う」をスタートさせています。第1回は、ジャーナリストの津田大介さん─。

「『ニュース女子』は、一から十まで事実に基づかない、ひどいものだった。…メディアが、間違いだらけで、偏見と憎悪に基づく番組を放送してしまった。…根底にあるのは沖縄への差別意識以外のなにものでもない」

と手厳しい。
さて、そんなとき、今回の問題の真相に迫る番組を毎日放送が制作・放送しています。斎加尚代ディレクターによる「沖縄 さまよう木霊(こだま)〜基地反対運動の素顔〜」です。
東京MXの番組がいかに事実に反する偏向報道だったが、よーくわかります。ご関心の向きは、ぜひご覧あれ。

02/02 きのう触れた「入国禁止の大統領令」に抗議する米国務省職員の署名は、900筆にも上ったそうです。
これは、「ディセント・チャンネル」という国務省の内部異論表明制度を通じて行なわれたということですが、これだけ多くの職員が政府の政策に異議申し立てするとは、日本の外務省などでは想像すらできません。
さて、「お騒がせ大統領」は、こんどは連邦最高裁判事に「右筋」で知られるニール・ゴーサッチ氏を指名すると発表しました。これが通れば、連邦最高裁は5対4で保守派優勢となり、「銃規制」や「妊娠中絶」などの問題に大きな影響を与えることとなります。
そしてなによりも、この間つぎつぎ発令された「怪しげな大統領令」を、司法の力で撤回させることができなくなってしまいます。トランプ氏の狙いは、おそらくそこにあるのでしょう。
と書いて、あっ、そうか、日本でもそんなことがあったことに気がつきました─。
アベノ強シンゾー氏が再び政権に返り咲いてからというもの、内閣法制局長官、日銀総裁、NHK経営委員会・会長… etc. の重要な人事に、「政府が右と言うのを左と言うわけにはゆかない」連中ばかり送り込んだのでした。その結果がどうなったかは、まだ記憶に新しいところです。
その意味では、「アベ政治はトランプ政治を先取りしていた」と言えるのかもしれません。だから、トランプの長女イバンカは、アベ氏を「非常にクレバーな人だ」なんて言っているんじゃないですか?

02/01 イスラム圏7カ国からの入国を一時禁止するという「大統領命令」への抗議が、世界各地に広がっています。
批判の声は、ついに米国司法府からも噴出し始めました。ニューヨーク州など15の州と首都の司法長官が、入国禁止措置は「危険で憲法違反だ」と非難する共同声明を発表し、司法省トップのイエーツ司法長官代理は「大統領命令を擁護しないよう」省内に通達、大統領から即刻、解任される騒ぎにも。
国務省職員のあいだでも、今回の禁止措置の対象とされる7カ国で反米感情が高まり、テロ防止どころか、かえって「若者が急進主義に向かう転機になりかねず、現在や将来の指導者の(対米)姿勢に直接的な影響を与える」と訴える意見書が準備されているそう。
ドイツやフランスなど各国の政府も、トランプ政権の今回の措置に大きな懸念を示すコメントを出しています。
で、われらが日本国政府は?というと─、

「大統領令という形で米政府の考え方を示したものだろう。私はこの場でコメントする立場にはない」(30日の参院予算委で民進党・蓮舫代表への首相答弁)

と、これだけ重大な人権侵害に対して、どこまでも「他人事」。一方で、2回目の「トランプ詣で」用の「ご機嫌取りの手土産」(米国の雇用創出への協力策の目録)の準備に大わらわだというのですから、呆れたものです。