back number 2016-07(July)

今年も渋くきれいに咲きました(16.06)

07/29 熊本地震直後、ネット上で芸能人に対する「不謹慎狩り」が横行したそうです。
けさの朝日新聞オピニオン欄「耕論」が3人の方に「それって不謹慎ですか?」と問うていました。零細出版人としては、ライター・武田砂鉄さんのお話「安っぽい『正義』、進む迎合」に、大変興味をそそられました−。

「自分の意見を発するために最も安易な方法が、ネットで『それは違うだろ』と吐き捨てることです。物陰から発する、レベル1の安っぽい『正義』です。こんなものに動じてはいけないはずですが、真っ先に大きなメディアが引っかかります。」

でも、メディアは別に「引っかかった」わけじゃなく、「悪乗り」しているだけのこと。だから、「番組自体は意見を発さず、『こんな意見が出ています』と提示するだけ」になるわけ。
要は、メディアそのものがクレームを怖がって、「フワッとした理由を投げて鎮めようと」しているのではないでしょうか?
こうして、「メディアが急いで作り上げた世間に、メディアが屈している」といった「堂々めぐり」が起こっているのだと思います。
そんな不埒なメディアが、政治的圧力に屈し、いとも簡単に「政権のポチ化」してしまうのは、あまりにも当然というもの。
そして、砂鉄さんの締めの言葉には心底共感!−。

「自分の意見を狭め、大多数が作る『正義』に迎合することを優先すればするほど、社会は均質化します。迎合するだけではなく、かき乱す意見も必要ではないでしょうか。」

07/28 おととい相模原市の知的障害者施設で起こった痛ましい殺傷事件を受けて、知的障害者とその保護者らでつくる「全国手をつなぐ育成会連合会」が、事件に怯える障害者たちに向け、会長名で励ましのメッセージを出しています(総ルビ付きのバージョンも)。
心に沁みるメッセージの一部を、ここに引かせていただきましょう−。

 「…容疑者は『障害者はいなくなればいい』と 話していたそうです。みなさんの中には、そのことで 不安に感じる人も たくさんいると思います。
 そんなときは、身近な人に 不安な気持ちを 話しましょう。みなさんの家族や友達、仕事の仲間、支援者は、きっと 話を聞いてくれます。そして、いつもと同じように 毎日を過ごしましょう。不安だからといって、生活のしかたを 変える必要は ありません。
 障害のある人もない人も、私たちは 一人ひとりが 大切な存在です。障害があるからといって 誰かに傷つけられたりすることは、あってはなりません。もし誰かが『障害者はいなくなればいい』なんて言っても、私たち家族は 全力でみなさんのことを 守ります。ですから、安心して、堂々と 生きてください。」

07/27  相模原市の知的障害者施設で19人が殺害されるという、忌まわしい事件が起きました。
始めは、「この頃ヘンな事件ばかり起こるなぁ」という程度の受けとめ方で、詳報を見聞きするのも避けていたのですが、一瞬耳を疑ってしまうような容疑者の思いを知るにつけ、どうにもそのままでは済ませられなくなってしまいました−。

「意思の疎通ができない人たちをナイフで刺したことに間違いない」
「障害者がいなくなればいいと思った」
「重複障害者を救ってあげたかった。後悔も反省もしていない」

同容疑者が事前に衆院議長公邸へ持参した手紙では、「私の目標は重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です」などとも書いていたそう。
ふと、ナチス・ドイツの「T4作戦」(Aktion T4)のことが思い浮かびました。言わずと知れた「優生学思想にもとづく安楽死政策」です。7万人とも20万人ともいわれる無辜の人々が、その犠牲となっています。
いざこの国で、このような狂気の行動が公然と起こされたとなると、身震いすら覚えます。
昨今、地球のあちこちで起きている凄惨な無差別殺人事件は、もちろんそれぞれに個別の事情があるのでしょうが、それらを串刺しにする原因を考えられなくもありません。
ひょっとしてそれは、「社会的弱者への思いやり」が全地球的規模で急速に失われつつある、ということなのでしょうか?
フランスやドイツでのISの犯行とされる事件にしても、その原因を突き詰めていけば、イスラム諸国からの移民や難民へのヘイト感情にぶつからざるをえません。
とすれば、私たちはやはり、「水辺に向かって集団遁走するネズミ」なのかもしれません。

07/26 「ケータイ持タナイシュギシャ」を標榜し、周囲からは「それで、よく生きていられるねぇ?」なんて珍獣扱いされたりする零細出版人が言うのも、まるで説得力を欠くのですが、「それでもこれは、やっぱり危ない!」
「ポケモンGO熱中注意報/交通事故、全国で36件/各地に殺到、住民困惑」−。けさの新聞には、そうありました。
「乗用車3台が絡む玉突き事故」も、「男子大学生がクマに気づかず、数メートルまで接近した」のも、何もかも「ポケモンGO」のせいにしてしまうわけにはゆきませんが、そんな「社会現象」を放置しておいてよいはずもないでしょう。
永田町の自民党本部が同ゲームのアイテムを入手できる「ポケストップ」のひとつとなっていて、その地図上に「自由民主党 永遠の与党」との説明文が出てくるというのは、「悪い冗談」として放っておくにしても、若者どころか、いい加減な歳をしたおっさん、おばさんまでもが加わって、スマホ画面を覗きながら、昼夜を問わずぞろぞろ徘徊する様子は、水辺に向かって集団遁走するネズミのように思えなくもありません。
それに、かのオリバー・ストーン監督が「これは冗談ではない」と前置きをした上で語ったという次の警告も、とても気になるところです−。

「〔ポケモンGOは〕プライバシーを企業に明け渡す、最新の監視資本主義を体現している…率直に言って、新しい形態のロボット社会が生まれるだろう。人々がどのように行動したがっているのかが把握され、その行動に合わせた枠組みが提供される。言ってしまえば、全体主義だ」と。

ついでながら、米民主党のアル・フランケン上院議員も、このゲームを開発したナイアンティック社に対し、「広範囲なユーザーデータを不必要に収集しているのでは?」と説明を要求している、という話です。

07/25 都知事選まで、あと1週間。けさの新聞に「小池氏優勢、増田氏追う/鳥越氏苦戦/都知事選情勢調査」とありました。
えっ、ホント? 「分裂」した自民党が、1、2位独占というわけです。しかもこの間、猪瀬、舛添と立て続けに欠陥候補を輩出させて、「製造物責任」を問われるべき自民党が、です。
先だって、「仕組まれた劇場型選挙のシナリオ」ということを書きましたが(Cf.07/15)、そんな見方も、どうやらまるで的外れでもなかったよう。
というのは、自民党東京都連が例の「悪代官のお触れ」のような締めつけ文書を出したものの、小池支持に動いている自民党議員の「厳正処分」に動き出す気配も見られませんし、何よりも「造反」して立候補したご当人ですら、処分されないできているのですから。
どうやら、「分裂」した2人の候補者をほどほど競わせることによって、この間の都知事の腐敗ぶりに強い憤りを覚えてきた「批判票」を、まんまとかっさらってしまおうという「小賢しい高等戦略」ではないか、と思えてならないのです。
都民のみなさん、しっかり目を見開き、自民党の騙しのテクニックにうっかり乗ってしまわないよう、くれぐれもお気をつけあそばせ。

07/22 「原告と被告は違法確認訴訟判決まで円満解決に向けた協議を行う」−。4カ月ほど前、福岡高裁那覇支部はそう和解を勧告し、国と沖縄県はそれを受け入れました。
なのにきのう、「米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡る訴訟の和解に基づく協議会」の席で菅義偉官房長官は、22日に沖縄県に対して新たな訴訟を起こす方針を翁長雄志知事に伝えました。
けさの琉球新報社説は、「話し合いで解決する考えなど、はなからなかったのだろう。安倍政権は選挙を念頭に、県民の気持ちに『寄り添う』姿勢を装っていたにすぎない」と、政府の姿勢に手厳しい批判を加えています−。

「和解が成立した3月は6月の県議選、7月の参院選を控えた時期である。安倍政権が選挙を強く意識して和解に応じたことは容易に想像がつく。それまでの強権姿勢を隠し、話し合うことで県に歩み寄ったとアピールすることが狙いだったと断じざるを得ない」と。

そして、その6月の県議選でも、7月の参院選でも、「辺野古新基地建設反対派」が圧倒的な民意を得たことは、記憶に新しい。それでも、「問答無用!」とばかり強行突破を図るという国の姿勢は、「専制政治」そのもの。
しかも、きのうの「和解に基づく協議会」で、県民の民意を背景に強く抗議する翁長知事と対峙する官房長官の脇に、先の参院選で「新基地反対派」候補に10万票以上の圧倒的大差をつけられ落選した島尻安伊子沖縄担当相が同席していたのは、「滑稽なブラックユーモア」そのものでした。

07/21 では、肝心のリオの方は、どうなっているのでしょう? 地元紙の世論調査では、「ブラジル人の50%が8月のリオデジャネイロ五輪の開催に反対している」と、共同通信がきのう伝えていました。
BRICsの一角を占め、右肩上がりの成長を見せていたブラジル経済ですが、皮肉なことに五輪招致が決まってから低迷。財政難から行政サービスにも影響が出始め、警察官の給料も滞りがちで、治安は悪化する一方。
同じ調査では、63%の人が「五輪はブラジル人に利益よりも損害を与える」と考えているそう。開催前からこの始末では、国家財政破綻した「アテネの宴の後のギリシャ悲劇」の再演となるのは必至。
「南米初の五輪」のそんな状況について、ハフィントンポストが「リオデジャネイロ・オリンピック目前のブラジルは、全てがおかしくなっている」と警告しています−。

 1)政治の危機:汚職スキャンダルでルセフ大統領が弾劾され、大統領代行に就いたテメル副大統領も国民の支持を失い、政治は大混乱。それに歩調を合わせるかのように、一時は7%もあった国内総生産も、ついにマイナスに。
 2)ジカ熱の危機:カナダの公衆衛学の教授がIОCに対し、「五輪の延期または会場移転をしなければ、世界中に拡散する可能性がある」と警告している。
 3)環境の危機:リオのグアナバラ湾は生活汚水と直結した病原ウイルス」による深刻な汚染が発生している。
 4)治安の危機:ブラジル警察の評価は世界最低。昨年リオで発生した殺人事件の5件に1件は警察によるもの。五輪に向けて「街を浄化」するため、貧しいホームレスの黒人少年を組織的に殺害している(アムネスティ)。
 5)住宅の危機:五輪に向け、7万7000人のブラジル人が強制退去させられた。その結果、6000世帯以上が住居を失うか、今後失う可能性がある。
 6)インフラの危機:五輪開催までに会場の準備が整うのか、主催者の間で疑念が生じている。

「国賊!」とのそしりが聞こえてきそうですが、それでも、ホントにやるんですか?

07/20 リオ五輪を前に世界反ドーピング機関(WADA)が公表したロシアの「国ぐるみドーピング」の実態は、恐るべきものでした。
けさの朝日新聞によると、2014年ソチ冬季五輪では、ロシア連邦保安庁(FSB=旧KGB)の手で、「007」も顔負けの、こんなやり方がとられたそう−。

「ソチの検査所は臨時施設だが、FSBの人物が待機する部屋を用意。FSBの人物は、施設の水道管の作業員を装って出入りした。夜になると、検査所の部屋の壁に開けた通称『ネズミ穴』から、すり替える検体を受け取って隣のFSBの建物に走り、尿検体の入ったボトルを特別な方法で開封すると同時に、保管していたきれいな尿を持ってくる。」

呆れるばかりの話ですが、これを「真実だろう」と認めるロシア・スポーツ科学界の重鎮、セルゲイ・サルサニヤ氏は、「国威発揚のためには、国家は何でもする」と言って、これが他の国々でも広く行なわれていることを示唆します。
先だっての「リオデジャネイロ五輪壮行会」で「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではないっ!」なんて吠えたてたシンキロー氏ですが、アスリートたちに無理やり「日の丸・君が代」を背負わせようとする、あの「サメの脳」を突き詰めていくと、こんなところに行き着くのではないでしょうか?

07/19 この12日、ハーグの仲裁裁判所が、南シナ海の領有権をめぐる中国・フィリピンの係争で、フィリピンの全面勝訴を発表しました。
この調停に始めから参加していなかった中国は、これを「ただの紙屑だ」と言い捨て、無視する構え。ところが、海洋法の調停には強制執行権はないし、これに従わない中国を国連安保理で制裁してもらおうにも、当の中国に拒否権があるので、決議はできない−。というわけで、問題はそこで膠着、にっちもさっちも行かなくなります。
ところで、中国に対して「海洋法条約を守れ。裁定に従え」と要求している米国ですが、田中宇さんの国際ニュース解説「逆効果になる南シナ海裁定」によれば、そんな米国自身は海洋法条約に入っていないし、批准どころか署名すらしていない、とのこと。
「敵もサルもの、引っ掻くもの」。な、何と、「戦後の世界で単独覇権国だった米国は、自国の国益に反する裁定をつきつけられて無視して権威を落とすぐらいなら、最初から加盟しない方が良いと考えて、海洋法条約に署名していない」そう(念のため、対する中国は加盟・署名している)。
こうして、

「中国は、2国間の話し合いで東南アジアの中小国を威圧しつつ経済援助で丸め込み、南シナ海を全部自分のものにしようとしている。それは政治的に汚いやり方だが(米国のイラク侵攻のような)軍事侵攻によるものでないので国際法違反でない。」

てなことになるんだそう。「覇権国(大国)のやりたい放題」−。それが国際政治の現実です。

07/15 先だって、都知事選突入にあたって自民党東京都連が出した「悪代官のお触れ」のような締めつけ文書のことを紹介しましたが(Cf.07/13)、このことについて、きのうの『日刊ゲンダイ』DIGITALが面白い論点を提供しています−。

「これは仰天だ。この書面通りなら、親族に1人でも自民党員がいれば、一族郎党すべてが党紀に拘束されるということだ。憲法19条は「思想・良心の自由」を保障しているが、完全無視である。仮に小池百合子元防衛相(63)の応援に石原慎太郎元都知事が駆け付けたら、都連会長の伸晃だって処分されるし、小泉純一郎元首相が例の調子で「頑張れ」なんてエールを送ったら息子の進次郎はすぐに除名処分だ。」

なーるほど。さすがの零細出版人も、そこまでは思い至りませんでした。「男は度胸…」なんて古めかしい文句を持ち出して、「女性」小池氏の「勇気」を称えた小泉鈍一郎氏ですが、細川護熙氏を応援した前回とは違い、それ以上踏み込まないのは、そんな事情からなんでしょうか?
でも、今回の「分裂選挙」、よーく耳目を研ぎすましていないと、したたかな自民党によって「仕組まれた劇場型選挙」のシナリオに、うっかり乗せられてしまうことともなりかねません。
用心、用心、ご用心。

07/14 東京都知事選への立候補を予定していた元日弁連会長の宇都宮健児さんが、昨夜、出馬とりやめを表明。有力候補者は、自公両党推薦の増田寛也元総務相、野党4党推薦のジャーナリスト・鳥越俊太郎さん、小池百合子元防衛相の3人に絞られることになりました−。

「市民運動の間にも悩ましい対立が生まれかねない。都政を良くする運動を進めるための苦渋の決断」

宇都宮さんはそう述べていますが、まったくそのとおりだと思います。候補者擁立ですったもんだした末、とにもかくにも野党側候補の一本化に漕ぎ着けたことは、歓迎すべきでしょう。
それにしても、公示前夜までこんな「ドタバタ騒ぎ」を演じているようでは、実のある論戦を聴くことができるのかどうか、いささか心配にもなります。
だいたい公営掲示板が、参院選用から知事選用のものへとスピーディに切り替えられたものの、実際そこに候補者の顔が並ぶのがいつになるのか、余計な心配もしてしまいます。
まっ、それもこれも、前任「メチャセコイヤ知事」の不徳の致すところ、なのでしょう。
ともあれ各候補、早急に重点政策を練り上げていただき、選挙の争点が明確になる論戦を繰り広げていただきたいものです。

07/13 混迷していた東京都知事選候補者選びの構図が、いくぶんハッキリしてきました。あとは、野党4党の統一候補の一本化を願うだけ。是が非でもそうしていただきたいものです。
「いちばんの後出しジャンケン」となったジャーナリスト・鳥越俊太郎さんではありますが、きのうの記者会見で語った出馬決意の動機は、何とも心に響くものでした−。

「憲法改正が射程に入ってきた。そうした流れを元に戻すため、首都東京から発信できればすばらしい。…戦争を知る世代の端くれとして都知事選で訴え、参院選とは違う結果が出ればうれしい」と。

世間では、「勝馬」に乗ろうとする輩はいくらでもいますが、圧倒的な大差で負けたばかりの側に肩入れし、「時代の流れを元に戻す力に」と訴える心意気は、実にあっぱれ。イヨーッ、大統領! いや、「都知事!」でした。
なかなか進まない候補者擁立にしびれを切らして出馬を表明、すでに着々と準備を進めてこられた元日弁連会長・宇都宮健児さんとの間で政策のすり合わせをしたうえで、ぜひとも候補者調整を図っていただきたいものです。
ところで、片や「分裂選挙確定」に頭を抱える自民党ですが、その東京都連(石原伸晃会長)が、「各級議員(親族含む!!!)が党公認・推薦候補者以外の者を応援した場合には、除名などの処分を科す」という「悪代官のお触れ」のような締めつけ文書を出したそう。
国民にやたら「国家への忠誠」を強いる噴飯物の「自民党改憲草案」といい、この党はどこまでアナクロニズムを地で行こうとするのでしょうかね?
参院選では、若い世代の多くが自民党に票を投じたと伝えられます。そんな党が目指す「1億ン千万総拘束(校則)社会」なんて、私ゃ金輪際ゴメンですが、若い人たちは果たしてそんな息苦しさに我慢して行けるんですかぁ?

07/12 南スーダン情勢の悪化を受けて、政府はきのう国家安全保障会議(NSC)を開き、現地PKОに派遣している陸上自衛隊による「邦人の陸上輸送」と、航空自衛隊のC130輸送機の派遣を決めました。
これは「PKO協力法」を根拠とした任務とされるのですが、同法の「参加5原則」の冒頭には「紛争当事者の間で停戦合意が成立していること」とあります。
だからなのでしょう。菅義偉官房長官はきのう、すかさず「武力紛争が発生したとは考えていない」などと述べています。
でも、どうなんでしょう? 現地メディアが伝えるところでは、「ジュバでは…銃撃戦で、市民を含む百数十〜数百人が死亡したとみられ、…(内戦のきっかけとなった)13年12月の戦闘よりも規模が大きい」(朝日新聞)そうです。
では、何でそんなことに? 「PKOのからくり」については、東京外語大の伊勢崎賢治さんが、つとに明らかにするところです。そのさいまずは、{PKО派遣」される自衛隊の施設部隊が実は、「PKFの工兵部隊」であることを確認しておかなければなりません−。

「歴代の政府は、自衛隊の活動は『武力の行使』と"一体化"しないという"いわゆる"一体化論を編み出し、9条と抵触しないという言い訳としてきた。…この一体化論の基礎となるのが、これもまたso-calledが付く『後方支援』『非戦闘地域』という、日本の法議論のためにつくられた、戦場における全く弾が飛んでこない仮想空間である。」
「『自衛隊が送られるのはPKОであり、PKFでない』がウソだけでなく、"いわゆる"一体化論もウソである。…つまり、自衛隊の派遣は、『武力の行使』と『交戦権』を禁じる9条に、20年以上前に自衛隊がカンボジアPKОに送られてた時から、ずぅーと、違反しているのだ。」

07/11 この国の行く末を決定づける参院選が終わりました。結局、改憲勢力が参院の「3分の2」(162議席)以上を確保。衆参両院で改憲発議要件が整ったことになります。
選挙が終われば、それまで固く封印してきた不人気政策がまたぞろ大手を振るって出てくるのは、「アベ政治」の常。「アベノミクスの破綻」の先に見えてくるのは、「アベ一族悲願の戦後レジームからの脱却」、すなわち、言わずと知れた「憲法改正」となるにちがいありません。
いまさら「そんなこと問われていなかったハズ!」なんて言っても、もう遅い。「衆参3分の2超え」という「前人未到の強大な権力基盤」を手に入れた「アベ政治」は、ますます情け容赦なく、傍若無人な振る舞いに出てくることでしょう。
私たちは、「覚悟」を持って事に当たらなければならなくなるでしょう。

07/08  きのうは、毎日新聞電子版のロングインタビュー「永田町の目(3)」を採り上げさせていただきました。で、2日後に投票日を控えたきょうは、続いてその(4)政治ジャーナリスト・鈴木哲夫さんの「政党にだまされるな、争点は有権者が決めるもの」を、パクらせていただきましょう。
鈴木さんによると、今回の参院選のキーワードは「ズレ」だそうです。たとえば、この間またもや前面に押し出されてきた「アベノミクス」ですが、「有権者はもう『アベノミクス』を見限っていますよ」と、鈴木さんは言い切ります−。

「安倍さんがいくら『アベノミクスは間違っていない。数字が上がったじゃないですか』と言っても、有権者は『いや自分は上がっていないよ』と…。経済政策を訴えれば訴えるほど、逆効果になる可能性がある。僕が今、安倍さんの指南役だったら、ここで一度頭を下げて、『アベノミクスは思ったようにできなかった。ゼロからもう一回やらせてください』という訴えにしますね」と。

では、アベさんはいったい何をやりたいのでしょう? 永田町を知り尽くした鈴木さんは、「3分の2を取れたら間違いなく憲法改正をやりますよ」と、これまたキッパリ断言します。
では、それが叶わなかったら?

「安倍さんのマインドも下がるし、求心力も落ちるでしょう。…ここで3分の2議席を取らないと憲法改正をやれない。安倍政権も一気に失速していく可能性があります。改憲を巡る最大の岐路が参院選だと思っています」と。

けさの東京新聞によると、参院選の低投票率を懸念する向きがあるそうです。「毒入りキケン!」 は、グリコ事件の「怪人二十面相」氏の警告でしたが、「棄権」はタップリ毒の入った「アベ政治」を延命させるだけのこと。あさっては、こぞって投票所へ足を運びましょう。

07/07  きのうの毎日新聞電子版「どうなる参院選5日連続ロングインタビュー」は、政治評論家の森田実さんでした。森田さんといえば、60年安保時の「ブンドゼンガクレン」の元リーダー。多彩な経歴の持ち主だけに、永田町を見る眼にも、一種独特の視角を感じさせられます。
そんな森田さんは、英国のEU離脱決定を踏まえ、「これで安倍政権の我が世の春は終わる」とブチ上げ、今度の参院選では「長期的視点で投票」するよう訴えます。
でも、リベルタ子がいちばん興味を覚えたのは、「『改憲勢力3分の2』でも、国民投票すれば負ける」との見方−。

「率直に言ってね、安倍首相も自民党も、憲法改正を叫ぶのをやめたら、攻撃されるから。結党以来の党是だから、やるやる、と。だから、叫ぶのはやめないんだけど、実際には、国民投票はできない、と思っているんですよ。国民投票をやったら、負けますから。負ける、というのは、その内閣が吹っ飛ぶようなものではないんですよ。つまり、55年以来の自民党の歴史そのものが否定されるわけです。できません、これ、怖くって。」

眉に唾しながら、読み進んでいくと、森田さんの達観した(?)見方が吐露されます−。

「9条を改正する国民投票は、(改憲派が)負ける可能性があるんです! …だから私は、自民党憲法草案でやりましょうよ、と言っている。否決してしまえば、55年以来の自民党の歴史まで全部吹っ飛び、憲法改正を主張していた人たちが、表に出て大きなことを言えなくなるわけですよ。もう日本の政治が根本的に変わっちゃいます。現時点で、5、10年の先を考えてみても、憲法9条を改正するという投票が勝てるわけがありませんよ。」

果たして物事、そこまで楽観していてよいものか? 「熱しやすく冷めやすい」といわれるわが国民性は、「一時の熱気で一気呵成に」なんてことも、考えられなくもない。
われらが歴史を振り返りつつ、英国の国民投票を「他山の石」としなければならない、と考える次第です。

07/06 「あー、やだやだ」なんて言っていたら、けさの新聞に、「改正憲法21条2項(自民党案)は、現憲法の『言論の自由』を否定!」との法律関係者らによる意見広告が載っていました。
問題の自民党改憲案21条とは、「表現の自由」をうたう現行憲法21条1項「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」をほぼ踏襲したうえで、新たに2項を起こし、以下の文言を付け足すというもの−。

前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。」

何てことありません。「前項の規定にかかわらず…」なんて付け足そうって話ですから、1項の文言は全否定されてしまうのです。
そうなりゃ、私ら「言論・表現」を生業とする者は、息の根を止められてしまうっていうわけ。「あー、やだ」どころの話じゃありません。
「能ある鷹は爪隠す」とか申します。かくもハチャメチャな改憲案を戴く自民党に「能」があるかは別として、少なくとも選挙中はこれを封印、「能がなくてもヘソ隠す」といった塩梅。
元朝日新聞コラムニストの早野透さんが、「新ポリティカにっぽん」にこんなことを書いていました−。

「安倍さん、この参院選、戦後71年目という現在をどう考えるべきなのか、どんな歴史意識をもって日本を導こうと政治に臨んでいるのかを語るべきではないか。それはとりもなおさず憲法を論ずることである。憲法を変えたいというならば、どこをどう変えたいのか、安倍さんからはっきり提示があってしかるべきだろう。よもや、かくれんぼみたいなトリックプレーはありませんね。」

今回の参院選での私たちの選択は、この国の命運を決定づけることになるでしょう。そう、「最後は国民が責めを負う」ことをお忘れなく。

07/05 16年前に「日本は天皇を中心とした神の国」などと発言し、「首相としての資質に欠ける」と批判が噴出して退陣せざるをえなかったご仁が、またまた時代錯誤的なことを言って顰蹙を買っています。
おととい都内で開かれた「リオデジャネイロ五輪壮行会」であいさつに立った「2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会」の森喜朗(シンキロー)会長、ステージの上のモニターにも「国歌独唱」とあった君が代演奏が終わったあと、苦虫をかみつぶしたような顔をして、苦言を一席−。

「どうしてみんなそろって国歌を歌わないのでしょうか?… 口をモゴモゴしているだけじゃなくて、声を大きく上げ、表彰台に立ったら、国歌を歌ってください!… 国歌を歌えないような選手は日本の代表ではないっ!」

「相も変わらぬアナクロニズム」に、めでたい席もげんなり。アスリートたちは、さぞかし士気低下したことでしょう。
こうして「老害」を撒き散らすだけの体育会系マフィアの「サメの脳みそ」には、「自民党改憲草案」がしっかりこびりついているのでしょう−。

「第三条 国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。
 2 日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。」

「第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。」

あー、やだやだ、そんな息苦しい社会はゴメンです。

07/04 異色の作家・米原万里さんが亡くなって、はや10年。けさの朝日新聞文化欄で「米原万里が今生きていたら 容赦なく言葉にする勇気」を読んで、お元気な頃の万里さんのことを思い出し、感慨にふけりました。
あの楽天的な、しかし「毒気たっぷりのユーモア」がどこからくるのかといえば、やはりスラブ文化圏に息づく「アネクドート」(小話)の伝統にあるというのは、大方の意見の一致するところ。
とりわけ感受性豊かな少女期を、「プラハの春」を前にしたチェコで過ごした原体験が、そうした知性と感性を育んだであろうことは、想像に難くありません。

「どこからも文句の来ない、一方的で閉じられた神の言葉であり続けようとする限り、一定の集団を代表する言葉である限り、言葉は不自由極まりないままなのである。偉くない『私』、一個人に過ぎない『私』の言葉が一番自由なのだ」(文春文庫『終生ヒトのオスは飼わず』より)

へぇー、そんなこと書かれていたんですね。恥ずかしながら零細出版人には、ご自宅の庭にほんぽんと翻るお父上のフンドシの話(「シモネッタ」?)ばかりが、妙に強く印象に残っているのですが…。
亡くなられる少し前、愛犬(おそらくオスだったのでしょうね)が死んだとのことで、「喪中」のご挨拶を頂戴したのが、最後の交友となりました。

07/01 けさの朝日新聞オピニオン欄「角栄とムヒカ」は面白かった。
まずは、田中角栄とホセ・ムヒカという、ある意味「好対照」、同時にある種「似た者同士」の組み合わせに共感。お二方の共通項は、「人々の心をつかむリーダー」ということのよう。
そして、いまなお角栄氏を「オヤジ」と慕う元衆議院副議長・渡部恒三さんと、若いころゲバラに魅せられメキシコに渡った社会運動家・太田昌国さんという、コメンテーター2人の組み合わせも、なかなかに面白い。
まずは、渡部さん初当選のときのエピソード。そこには、角栄氏の人となりが余すところなく出ています−。「大幹事長がふんぞり返りもせず、さりげなく、でもグイグイ入り込んでくる」、ついでに、「100万円の束三つをオレの上着のポケットにキュー」っと。
「オヤジは、大衆が何を求めているのか、何に困っているのかを腹の底から考えていた」と、渡部さんは言います。そしていま、「小選挙区になったら、…政治家がサラリーマンになってしまった。みんな心がないんだな」と嘆きます。
一方、「世界でいちばん貧しい大統領」の講演を聞いた太田さん。そのとき受けた衝撃を、こう語ります−。

「現代の文明が、どれほど大きな危機に直面しているか。過剰な消費社会が、いかに人間的な存在の根っこを掘り崩しているか。いまという時代と世界を、これほどわかりやすく説いてくれる政治家がいるのか…」と。

そんな太田さんも、昔の自民党の政治家にも「ある種の哲学があった」と言います。そしていま、「多くの政治家から、まっとうな言葉と論理が消え、…倫理も失われ…人臭さまでが感じられなくなった」と嘆きます。
昨今の「田中角栄ブーム」の理由は、ここらにあるようです。