back number 2016-06(June)

頻繁にエサを運ぶ子育て中のシジュウカラ(16.05)

06/30 つい先だってまで「私の任期中に憲法を変える」と公言していた男が、選挙に入ったとたん、「改憲」をいっさい封印、「見え透いた改憲隠し選挙」を進めています。

「福島原発事故の汚染水がダダ漏れでも、世界にむかって『アンダーコントール』と言い募る強心臓。戦争法制を平和法制と言い換えたり。自分の発した言葉を反すうしてみて、あとで跳び上がるほど恥ずかしいと思ったり、布団をかぶって寝たりとかないのか、とわたしは考えたりする」(鎌田慧「本音のコラム」、東京新聞28日付より)。

まったく同感。昔なら、チャンバラ遊びの子どもたちに、「ひきょーもの!」っと罵られたに違いありません。
ところで、「下駄の雪」などと揶揄されながらも、そんな「田舎芝居の脇役」を従順に演じ続ける公明党には、さぞかし頭の痛くなるであろう「古文書」が、このほど発掘されました(『日刊ゲンダイ』DIGITAL、30日)。
くだんの「古文書」とは、28年前に創価学会婦人部平和委員会の編纂で、同会系とされる第三文明社が出版した『まんが・わたしたちの平和憲法』。その描く世相が、今日と瓜二つなのです−。

「高校の卒業旅行に出かけた少年2人が1年後に帰国すると、憲法9条が改正され、日本が戦争を始めていた、というストーリーだ。そこには「平和憲法をなぜ変えてしまったんだーっ」と憤る少年に対し、母親がこう答える場面が出てくる。
 『ごめんよ 憲法ぐらい変わっても生活はたいして変わらないと思ってね』『だって新聞やテレビですごく宣伝してたのよ』『そしてすぐに選挙があったの 憲法改正の意味も分からないままに投票しちゃったのよ』
 最後は『夢』だったというオチがつくのだが、ストーリーは集団的自衛権行使容認の閣議決定から今に至る経緯とほぼ同じだ。」

近い将来、子どもたちからそんな詰問をされないよう、創価学会会員のみなさんにはぜひ、あの頃の平和への熱い思いを思い起こしていただきたいものです。

06/29 NHK経営委員会が、今月退任の浜田健一郎委員長(ANA総研会長)に代わる新経営委員長に、JR九州相談役の石原進氏を選出しました。
何を隠そうこのお方、3年前の会長指名のとき、あのモミイさんを強力に推した張本人。言ってみれば、「どこへ出しても恥ずかしい会長の製造物責任者」です。何でも「仕事上の接点から10年来の付き合いがあった」そうで、これが昨今のNHKスキャンダルの大モトとなったことを思えば、責任は重大。
何でそんなことになるかといえば、この「公共放送」組織が事実上、すべからく「トップダウン」の形で決められるところにあります。そして、その頂点には、国会の同意を得て経営委員を任命する首相、自ら言うところの「サイコー権力者」が君臨します。
けさの朝日新聞によれば、「政権・与党サイドの関係者から石原氏を推薦するよう求められた」と打ち明ける経営委員もいれば、「次の会長の人選を考慮すると、石原氏の方がより政府・与党の影響を反映しやすいと判断した」と語る政権幹部もいます。
石原氏は、「籾井さんについては是々非々で考えていきたい」などと言って、「再任の含み」もチラつかせているようですから、事態はきわめて危ういところ。
「臭いニオイはモトから断たなきゃダメ!」とか申します。トップダウンの大モトを辿っていくと…、ああ、やっぱり「アベ政治を断たなきゃダメ!」ってことか。

06/28 英国民投票が終わったのも束の間、「離脱派」主導者の間から早くも、投票運動中の公約を撤回したり、修正したり、果ては「そんなことは言っていない」と弁明するなどの動きが出ています。
けさの東京新聞によると、世論調査会社が投票翌日と翌々日に行なった調査では、「離脱」に投票した人の7.1%が「後悔している」と答えたそう。つまり、「離脱」に賛成した約1740万人のうち、100万人以上が「しまった!」と思っていることになるわけ。
何か「ポピュリズムの恐ろしさ」が、一気に噴き出たかのようです。名にし負う「熟議の英国民主主義」なんて、せいぜいこんな程度のものだったんですかね?
同じく東京新聞の社説で知ったのですが、さきの伊勢志摩サミット中、ユンケル欧州委員長の側近がツイッターに書いた、こんな書き込みが話題になったそうです−。

「トランプ、ルペン〔仏極右政党党首〕、ジョンソン〔英「離脱派」の前ロンドン市長〕が、来年の主要国首脳会議に顔をそろえるとしたら、それは恐ろしいシナリオだ。だからこそ、ポピュリズムと戦う価値がある」

まったく同感。けど、もうひとかた有力な「ポピュリスト」がいらっしゃるのを忘れちゃ困ります。我らがサイコー責任者「アベノ強シンゾー」氏も、国際的には「極右」の範疇として広く認知されているということを。

06/27 英国世論を二分した「EU」をめぐる国民投票で「離脱派」が勝利、英国のEU離脱が確定しました。「番狂わせ」とも思えるこの結果に、世界のマーケットは大わらわ。
先だってのG7で「リーマンショック以来の危機」をブチ上げたご仁は、「そうれ、見たことか」とドヤ顔なのかもしれませんが、それはチト見当違いのよう。残念ながら、今回の「危機」は「途上国経済の不振」の結果などではなく、「先進国」そのものに由来するものなのですから、事情はまるで異なります。
さて、問題はその先です。「船長にはふさわしくない」キャメロン首相は即、辞任を表明。後継には、この間「反自由貿易、反不法移民」を掲げ「離脱派」を主導してきた、同じ保守党のボリス・ジョンソン前ロンドン市長が有力視されています。
外見で人を判断するのはよくないとは思うのですが、このお方の風貌を拝見し、すぐさま、ドナルド・トランプ氏を思い浮かべてしまいました。事実、伝えられるところでは、過激な言動やポピュリズムなどの共通点から、彼の地でも「英国のトランプ氏」などと呼ばれているそうです。
しかも当のトランプ氏も、「英国民は主権を取り戻した。素晴らしいことだ」と言っているそうじゃないですか。
蛇足ですが、このお方のファーストネイムは「ボリス」。偶然にも、もう大方の記憶の彼方にある往年のロシアのポピュリスト、エリツィン氏と同じです。
何だか、地球全体が「不寛容主義」の坩堝にはまり込んでいくかのようです。ホントの「新しい危機」は、ここにこそあるのかもしれません。

06/24 選挙戦が始まってまだ2日しかたっていないというのに、けさの各紙は、早くも「参院選序盤情勢」のオンパレード。しかも、「改憲勢力3分の2うかがう」−。共同通信、朝日、毎日…どこも判で押したように、見出しは似たり寄ったり。
投票箱が閉まると同時に続々「当確」が出される開票日の夜のアレと同じ「ただの年中行事」。ああ、興ざめ!
でも、半数以上の人が「投票先を決めていない」というのですから、本当のところどうなるかは、まだまだ分かりません。
ところで、朝日新聞が今月初めに行なった世論調査では、投票先を決める重視政策に「憲法」と答えた人は10%しかいなかったそう。そもそもの「争点」からして、多くの選挙民は政権与党の言い分にノセられてしまっている、という現状が浮かび上がります。
なぜなら同じ調査で、「安倍政権のもとで憲法改正をめざす政党の議席が3分の2以上を占める是非」について問うたところ、「占めない方がよい」(47%)が「占めた方がよい」(30%)を上回っていた、というのですから。
事ほどさように、「争点設定」(=agenda-setting)というのは大事です。前回衆院選でも、政権与党による姑息な「争点外し」にまんまと騙され、「戦争法」強行によって平和憲法を骨抜きにされてしまったことを、いま真剣に思い起こすべきでしょう。

06/23 一昨年9月まで原子力"規制"委の委員長代理を務めた地震学者・島崎邦彦さんの発言が、波紋を呼んでいます。
「東洋経済オンライン」6月20日付の記事「元原子力規制委員が大飯原発の危険性を警告」(岡田広行記者)によると、島崎さんは16日の同委員会・田中俊一委員長らとの意見交換の場で、関西電力・大飯原発3、4号機の安全審査の根幹をなす基準地震動が「過小に見積もられている可能性がある」と指摘したそう。
なんでも、関電が大飯原発の基準地震動を計算するのに採用している「入倉・三宅式」という活断層評価のモデル式は、「西日本で多く見られる横ずれ断層(垂直型断層)や垂直に近い断層に用いた場合には、震源の大きさがほかの式を用いた場合と比べて3.5分の1〜4分の1程度の小さな値になる」というのです。
つまりは、実際の震源の大きさは同式による計算結果の3〜4倍にもなるって話。かりにこれを3倍以上だとすると、「短周期レベルの地震動は5割増しになる。これはかなり深刻な問題だ」と−。

「(東日本大震災と同じこと〔=想定外の大惨事〕が、日本海側で再現されつつある。今であれば〔対策の〕やり直しがきく。…専門家であれば計算し直すのに大して時間はかからないはず」

24日発売の岩波書店『科学』(7月号)の島崎論文で、詳しい問題提起がなされているそうですが、原子力"規制"委員会の面々は、もう「想定外」の言い訳は通用しないことを、強く知っておくべきでしょう。

06/22 参院選スタート。おそらくこの国の将来の命運を決する「天下分目の一大決戦」の始まりです。
自民・公明両党は、最大の争点はアベノミクスだ」なんて言っていますが、選挙が終わればまた、「憲法改正が支持された」と強弁するのは見え見え。だってこれは、狡猾さでは人後に落ちないアベ首相の「伝統芸能的特技」なのですから。
でも、その「アベノミクス」なるものからして、成果は怪しげ。きのうの朝日新聞オピニオン欄に登場した外国人投資家ジム・ロジャースさんですら、アベ首相がやったことといえば、「増税、そして税金で道路や橋を造り続け、お札をじゃぶじゃぶ刷り続けたことくらい…日本を破綻に追い込んでいると、私は思います」と酷評しているじゃありませんか。
この島の中にいる人々の目には、そのあたりの真実がかえって見えにくく、「アベ政治」が「欠陥車のアクセル」をふかすがままにさせているのかもしれません。
ところで、きのう開かれた2つの「9党首討論会」は酷いものでした。日本記者クラブのものも、テレビ朝日「報道ステーション」のものも、どちらも「全編コレ、ほぼ "アベ・シンゾー独演会"」。他人の発言にも、憚ることなく嘴を突っ込む…。
おまけに「報道ステーション」では、終了時間ぎりぎりまで早口の「独演」を続けておいて、その直後に司会者が、民進党の岡田克也代表に発言を促し、終了時刻が予定より約1分過ぎたことに腹を立て、「ちょっとフェアじゃない」と詰め寄る一幕も。
聞き分けのできない「駄々っ子」さながら、実に醜悪かつ後味の悪い「党首討論会」でした。

06/21 きのう原子力"規制"委員会が、運転開始から40年を超えた関西電力高浜原発1、2号機について、「寿命」を20年延ばして、60年までの運転延長を認可しました。
ところが、九州電力川内原発に続き、今回の"規制"委の認可条件も大甘−。電気ケーブルを燃えにくいものに交換しなければならないのに、全体の4割の「難しい部分」は防火シートで覆うだけの「お手軽対策」で済ませ、格納容器内の重要機器の振動試験も、「対策工事後に回す」ことでOK。
5年前の福島第1原発事故の苦い教訓から生まれた「40年廃炉原則」ですが、当初は「例外中の例外」とされていた「20年延長」を早くも適用。こんな"規制"委員会のもとでは、「例外中の例外」が今後続々、常態化してしまうのは、火を見るより明らか。
何度も吠えまくりますが、「原子力"再稼働"委員会」と化した「名ばかり"規制"委員会」なら、そんなものもういらない!

06/20 きのう那覇で開かれた「沖縄県民大会」。米軍属による女性暴行殺人事件に抗議し、犠牲となった女性を追悼するこの大会には、35度近くの炎天下、6万5000人もの人々が詰めかけました(沖縄へ:歩く、訊く、創るの著者、鈴木耕さんも、東京から駆けつけるとのことでした)。
けさの『琉球新報』社説によれば、喪服に身を包んだ大会共同代表・玉城愛さん(21歳)が、安倍晋三首相と本土に住む国民を名指しして、涙ながらに「『第二の加害者』はあなたたちだ」「再発防止や綱紀粛正などという幼稚な提案は意味を持たない」と訴えたそうです。
このメッセージについて、同紙社説子は、こんな「絵解き」をしています−。

「民主主義の手だてを尽くして示されてきた沖縄の民意に無視を決め込み、安倍政権は過重負担を放置した揚げ句、米軍属による凶行を防げなかった。
 地方自治を脅かす強権を発動して辺野古新基地建設をごり押しする安倍政権と、沖縄の苦衷を『人ごと』のように傍観する本土の国民に向けた痛切な叫びでもある。」

大会にメッセージを寄せた被害女性の父親が、「次の被害者を出さないためにも、全基地撤去、辺野古新基地建設に反対で県民が一つになれば、可能だと思っている」と綴っているように、県民が掲げるスローガンも、「基地の整理縮小」から「海兵隊の撤退」へと、一歩踏み込んでいることを見逃してはなりません。
本土の人々は、沖縄県民の怒りがもはや沸点を超えていることを、強く認識すべきでしょう。

06/17 福島第1原発事故で、3日後には、核燃料が溶け落ちる「炉心溶融」(メルトダウン)が起きていることが分かっていたのに、東電はこれを「炉心損傷」などと言い続け、その事実を公に認めたのは、実に2カ月以上も後になってのことでした。
これは、「損傷割合が5%を超える場合は炉心溶融」とする社内マニュアルがあったことを、何と事故から約5年後の本年2月になって認めたこととあわせ、同社の「度しがたい隠蔽体質」を露呈するものでした。
この問題の検証をしていた「東電の第三者検証委員会」(そう、昨今流行りの「第三者委員会」です!)がこのほど、「当時の清水正孝社長が『炉心溶融という言葉を使うな』と社内に指示していた」などとする報告書案をまとめました。
報告書案は、指示の背景には「官邸からの指示があったと推認される」としていますが、当時の官邸関係者はこれを真っ向から否定しているので、真偽のほどは不明です。
検証結果を知らされた新潟県の泉田知事は、県のHPにこんなコメントを寄せています−。

「〔第三者検証委員会の〕検証結果によると、当時の清水社長が『炉心溶融』という言葉を使わないよう社内に指示したとのことです。
 これは、これまで県の安全管理に関する技術委員会に対して虚偽の説明していたということであり、極めて遺憾です。」

このところ東電は「原発安全CM」を再開するなど、柏崎刈羽原発の再稼働へ向けての「地ならし」を着々と進めています。立地県としては、そんな信義にもとる東電の行状に対し、本当は「極めて遺憾」どころの話じゃないにちがいありません。

06/16 このところ連日テレビの「ワイドショーねた」を提供し続けた「マスゾエ問題」も、土壇場になってのご本人の「辞意」表明で、あっけなく一件落着…? えっ、冗談じゃない。肝心の疑惑の真相は、ほとんど分からずじまいじゃないですか。
それより何より、この手の人物を担ぎ出しては、じき「辞任」に追い込まれるといった「ドタバタ喜劇」を、この3年半の間に2度までも演出してくれた自民・公明両党の責任は限りなく大きい、と言えましょう(もっとも、舛添氏がしきりに責め立てられた「公私混同」の淵源は石原都政にある、との見方もあるのですが)。
問題発覚の発端は、『週刊文春』の一連の調査報道にありました。この種の報道の裏には、しばしばこんなことがあります−。大手メディア記者が掴んだ事実でも、自社メディアには載せられないとき、週刊誌などに情報を横流しするといったケースです。もっとも、今回の経緯がどうだったのかは、定かでありませんが。
けさの朝日新聞オピニオン欄でジャーナリストの江川紹子さんが、この間の「お祭り騒ぎ報道」に対して、「一刻も早く辞めさせなければならない問題なら、なぜ週刊誌が伝える前に大きく報道できなかったんですか」と、厳しい批判を投げかけています−。

「メディアの役割が権力監視というなら、それを果たせなかったのです。反省すべきだと思います。落ち目になった人をたたくのが権力監視というなら、中央の元気な政権の監視なんかおぼつかないです。人々のマスメディアへの信頼がどんどん後退していくでしょう。」

ごもっとも。アッシもそう思うところです。

06/15 いったんは「もうやめに…」と書いた話題で恐縮です。四面楚歌の中、なりふり構わず必死になって都知事の座にしがみつく「めちゃセコイヤ」氏のおっかない顔をテレビで拝見し、「きょうはやっぱりコレで行くか」と思った次第。
きょうの未明になって、猪瀬・舛添と2代続いて「製造物責任」を問われている自民党までもが、都議会に不信任決議案を提出したそう。もはや万事休す。囲碁や将棋なら、ここで「ツミ」(投了)となるはずなのですが、そこがそうならない不思議!
どうやら「元秀才」氏は、いまだにご自分の置かれている状況を、とんと理解できていないよう。「都政を混乱させるわけにはいかない」だの、「9月議会に私の身柄を託したい」だの、涙ながらに訴えたと伝えられますが、そうしたご本人の「無駄な抵抗」こそが、すでに都政を混乱させていることに、まるでお気づきでない。
きょうの議会で不信任決議案が通れば、どう転んでも「マスゾエ知事」は御陀仏必至。政治家たるもの、「覚悟」がなくちゃ務まりません。往生際の悪い奴ほど始末の悪いのはいません。
ついでながら、局長級の都幹部の一人が「知事は『なんで僕だけこんなにいじめられるんだ』って思ってるんじゃないか」と言ったそうですが(朝日新聞)、そう思って当然。零細出版人も、そこだけはマスゾエさんに深い同情の意を捧げるものです−。
だって、「僕」意外にも、もっと「いじめられる」べき男が、長ーい「睡眠障害」から突然目覚め、何の説明責任も果たさないまま、厚かましくも「政務復帰」を宣言しているんですからね。

06/14 きのうの都議会集中審議での「めちゃセコイヤ恥事」の相も変わぬ答弁。もはや絶体絶命、すぐお辞めいただくしかありません。
そんな次元の低い話題はやめにして、けさの朝日新聞オピニオン欄掲載の哲学者・柄谷行人さんのお話(「9条の根源」)に耳を傾けたいと思います。

柄谷さんは、「9条は日本人の意識の問題ではなく、無意識の問題」だとして、フロイトの「超自我」の概念を持ってきます。これは、「外に向けられた攻撃性が内に向けられたときに生じる」というものですから、「日本人の超自我は、戦争の後、憲法9条として形成された」と見ることができます。
こうして、「9条がその後も保持されたのは、日本人の反省からではなく、それが内部に根ざすものであったから」で、「9条こそが日本の『文化』」だということになります。
これは、いままで零細出版人には思いつきもしなかった視点です。でも、それよりもっと刮目させられたのは、その先です−。

「徳川時代には、成文法ではないけれども、憲法(国制)がありました。その一つは、軍事力の放棄です。…それによって…14世紀以後つづいた戦乱の時代を終わらせた。…それは、ある意味で9条の先行形態です。…徳川体制を否定した明治維新以後、70年あまり、日本人は経済的・軍事的に猛進してきたのですが、戦後、徳川の『国制』が回帰した。9条が日本に根深く定着した理由もそこにあります。その意味では、日本の伝統的な『文化』ですね」と。

なーるほど、これも説得力のある見方です。憲法9条が「無意識の問題」だという意味がよーく分かりました。改憲の動きへの楽天的とも思える柄谷さんの見方の原点は、そこにあったのですね。

06/13 きょうは新聞休刊日。ということで、『日刊ゲンダイ』DIGITALを覗いてみると、憲法学者・樋口陽一さんへのインタビュー記事「国民が求めるのは改憲ではない」に、惹きつけられました。
安倍首相は、今度の参院選の争点は「アベノミクスを加速するか、それとも後戻りするかだ」とか言って、またもや「経済政策」を「目くらまし」に使おうとしています。でも、その本当の狙いが「改憲」にあることは、大方の見方の一致するところ。
そのうえで樋口さんは、「抽象的に改憲が問題になっているわけではない」ことに、注意を喚起します−。

「いま問われているのは、2012年4月に自民党が発表し、現に掲げ続けている『憲法改正草案』に賛成か、反対か、それを作った人たちが描いているこの国の未来像への賛否なのです。」

そう、国民に「憲法を尊重する義務」や「常に公益及び公の秩序に反してはならない」と命じる、あの時代錯誤的な草案への賛否が問われているのだと。
そして、そのさいに考えなければならないのは、「長らく自民党に投票してきた有権者たちが支持してきた自民党と、現在の政権与党は同じ政党なのか」ということ、「ここが最も肝心な点」だと結論づけます。なるほど、納得。

06/10 世間の耳目が「マスゾエ恥事疑惑」騒動ばかりに向きがちな昨今、「巨悪」甘利明前経済再生担当相の「口利き賄賂疑惑」の方は、とかく陰に隠されがち。ひょっとして「めちゃセコイヤ恥事は、その「スケープゴート」にされているんじゃないか、とすら思えてこなくもありません。
そんな中、さすがは沖縄、『琉球新報』がけさの社説で、「甘利氏活動再開 国民が納得する『けじめ』を」とブチ上げています−。

「甘利明前経済再生担当相が現金授受問題の説明責任を果たさぬまま、政治活動再開を表明した。…
 国会も閉幕した直後の活動再開宣言である。疑惑が全て晴れたと考えたならば間違いだ。…
 甘利氏は1月の会見で『閣僚のポストは重い。しかし、政治家としてのけじめをつけること、自分を律することはもっと重い』と述べた。政治不信を招いた責任も重く受け止め、国民が納得できる『けじめ』をつけるのが筋である。現金授受問題の全容を明らかにした上で、議員を辞職すべきだ。」

まったく同感。
そうそう忘れちゃいけません。「やじ馬ジャーナリズム」の雄『日刊ゲンダイ』も、「甘利前大臣を不起訴にした "黒幕" 法務省幹部の名前と前歴」で、「次期事務次官候補」とされる黒川弘務官房長の一連の「黒幕活動」を暴いています。

06/09 「めちゃセコイヤ」−。ゆうべ寝床で思いついた「マスゾエ恥事の愛称です。
公私混同し放題のセコイ所業もさることながら、このお方の人並外れた特技は、通常の理性を持ち備えた人なら「アゴが外れてしまうような言い訳」を、目玉をぎょろつかせながら平然と言ってのけてしまうところにあります。
真偽のほどもすぐ割れてしまうような幼稚な弁解を続ける「往年の秀才」は、学校でいったい何を勉強してきたんでしょう? それら「傑作選」の数々を後世のために記録しておくのも、決してムダではないでしょう−。

◇家族旅行のホテル代を「会議費」として計上
 →「家族と泊まった部屋で会議をした」
◇そば打ちの本
 →「そばを打ちながら政治談義をしたから政治活動」
◇時代小説
 →「江戸時代の風俗研究のため」

そして、その白眉は、シルクの中国服を「書道の際に着ると筆をスムーズに滑らせることができる」と言ってのけた「めちゃセコイヤ」氏の苦しすぎる弁明を、「雇われ第三者」の「ヤメ検」弁護士が「具体的で説得力がある」と追認したことです。
あーあ、もうダメだ。冗談もいい加減にしていただきたい。

と、まあ、このお方にまつわる醜聞は、誰にもわかりやすい悪事。だから、自民党や公明党の都議会与党までもが、自分らが担いだ責任を忘れて「楚歌」を歌いはじめた、というわけ。
だけど、しつこいようですが、こんなもの所詮は「小悪党」。騒ぎの陰に隠れて「しめしめ」とほくそ笑んでいるホントの「巨悪」が、「長ーい睡眠障害」から突然目覚め、着々と「政務復帰」を進めていることを忘れちゃいけません。

06/08 「雇われ第三者」の調査結果にヌカ喜びしていた「セコイ小悪党」氏ですが、とうとう都議会与党からも総スカンを喰らって、四面楚歌。
で、きょうは「もっとみみっちい小悪党」のお話−。
というのも、従来「性善説」をとってきた零細出版人なのですが、今度ばかりは、「端から人を信じてはいけない」ことを痛感させらたからです。
小社では、読者が本の直送を希望される場合、あらかじめご送金いただくことを原則としているのですが、しばしば「急ぐから」とのことで、代金後払いでお送りしてしまうことがあります。
小社の本の熱心な読者には、約束を違えるような方はいないのですが、中には始めから人を騙すつもりで、「直送」を言ってくる不埒な者もいるのです。
そんな輩は、もともと自分が読みたくて本を取り寄せるのではなく、よそに売り払って小銭を稼ごうという、みみっちい魂胆から直送させるのです。何度請求書を送ったり、電話をかけたりしても、なしのつぶてで、結局は、当方が「泣き寝入り」するのを狙っているわけです。
きのう、ふと気になって、そんな人物の名をネットで検索してみて、びっくり。「後払い通販の代金未払い者リスト」「通販のコンビニ後払い未払い滞納者リスト」などを賑わす「常習詐欺犯」だったのです。
あれだけネットに住所・氏名を公開されたり、警察に逮捕されたりしても、犯行をを重ね、驚いたことに、「インターネット通販の悪い客」とかいうTV番組で「放送時には100件くらい未払いの踏み倒しを続けているとインタビューに答えていました」(ラーメン屋のおっさんBlog)というのですから、何とも許しがたい輩です。
これ以上の犯罪被害の拡大を防ぐため、ここでも男の素性を明かしておきましょう−。

 「石川県羽咋郡志賀町相神×の×× 森茂幸」という人物です。

みなさま、くれぐれもお気をつけください。

06/07 別に示し合わせたわけでもなさそうですが、きのう、「セコイ小悪党」と「巨悪」の記者会見が揃い踏み。

まずは「小悪党」の方から−。
会見のほとんどは、同席の「第三者」=「ヤメ検」弁護士2人の話でした。要は「多くの支出について不適切だが、違法性はない」という結論。政治資金規正法などには、支出内容に関する規定がないからだそうですが、またしても、「ザル法」にしてやられました。
生まれて初めて身銭を切って雇った弁護士の「調査結果」に気を良くした舛添氏、自らのセコさに「汗顔の至り」だとか言いながらも、「生まれ変わった気持ちで新たに都政に尽くせるよう説明責任を果たす」だの、「粉骨砕身、都政の運営に努める」だの、漢語や四文字熟語を連発して、ケムに巻こうという算段のよう。
でも、世間の常識からして、こんな見え見えの悪事が見過ごされていいはずがありません。早いところ都議会に「百条委員会」を立ち上げ、知事の道義的責任をしっかり追及してほしいものです。
そんなセコイ所業には、今後、「マスゾエる」という言葉をあてがいたいと思います。

一方、国会が閉会になるまで雌伏4カ月、長い「睡眠障害」からお目覚めの「巨悪」氏−。
こちらは東京地検の「不起訴決定」に気を良くし、傍目にも実に晴れやかな様子で、TVニュースですっかりおなじみになった相模原の甘利明事務所前で記者会見。「本日から少しずつ政務復帰させていただくことにしました」と、恥ずかしげもなく政治活動再開を宣言。

「あまりに国会と国民を愚弄する話だ… 私は国会議員になる前は医者をやっていたが、睡眠障害がこんなに都合よく治る人はあまり見たことがない。非常に珍しい症例ではないか」

共産党の小池晃書記局長の談話に座布団2枚!
そんな「巨悪」を蔓延らせてはいけません。まずは、検察審査会で強制起訴に持ち込みましょう。
で、こちらの厚顔無恥な振る舞いには、「アマリる」という言葉を進呈したいと思います。

06/06 先週末、出版者協議会(出版協)の仲間で、箱根町の「出版平和堂」を見学してきました。
そこは、出版クラブ、書籍出版協会、雑誌協会、出版取次協会、書店商業組合など、出版関連13団体が維持・運営する施設で、「日本の出版界を築き上げ、繁栄に導いた物故功労者のお名前と功績が刻まれた銅の記銘板が掲げられています」とのことでしたが、私たちが訪れた土曜日はあいにく休館日。しかたなしに、正面のガラス越しに先人らの名札を仰ぎ見ることしかできませんでした。
毎年秋には出版クラブ主催の「出版功労者顕彰会」が行なわれ、「出版界の先達の功績を讚え、感謝すると共に、業界の繁栄を誓い、世界の平和を祈願」しているそうです。
同じ敷地の奥には、平凡社の下中財団による「パール下中記念館」が併設されています。パール氏とは、東京裁判で判事を務め、「日本無罪論」を主張したインドのラダ・ビノード・パール博士のこと。
展示内容を詳しく見ることができなかったせいなのでしょうが、「出版」と「平和」とがどういう脈絡でつながっているというのかが、イマイチよく分かりませんでした。
「日祭日のみ開館」もさることながら、背高く生い茂る雑草も、昨今の「出版不況」を象徴するかのようで、何だか寂寥感ばかりが残りました。

06/03 きのう横浜地裁川崎支部(橋本英史裁判長)が出した「ヘイトデモ事前差し止め」の仮処分決定は、「差別的言動解消法」(ヘイトスピーチ対策法)制定後初の司法判断として、画期的な意味を持っています−。

「国外の国や地域の出身者で適法に居住する人が、国外の出身であることを理由に差別されたり、地域社会から排除されたりすることのない権利は、憲法13条に由来する人格権を持つ前提になるものとして、強く保護されるべきだ。…
 差別的言動はもっぱら差別的意識を助長、誘発する目的で、公然と生命や財産に危害を加えると告知することなどを考慮すれば、違法性は顕著で、もはや集会や表現の自由の保障の範囲外であることは明らかだ。」

明快で説得力のある論旨には、とても爽やかなものを感じさせられました。
わざわざ在日コリアン集住地域のド真ん中へ出かけて行って、「在日は大うそつき」などと書いたプラカードを掲げ、「朝鮮人をたたき出せ!」などと叫び、騒然とした状態を作りだすことを目的としたデモなど、「もはや集会や表現の自由の保障の範囲外」とされて当然です。
では何で、川崎市桜本地区に在日コリアンが集住するのでしょう? そんな疑問をお持ちの向きには、石坂浩一さんと竹内理恵さんが在日1世らからの聴き取りをまとめた、在日朝鮮人と「赤ひげ」群像をお勧めします。
在日コリアン集住地域で診療活動を続けた「赤ひげ」医師とコリアン住民たちによる「民族や国籍の違いを超えた大らかな共生物語」が繰り広げられます。

06/02 けさの東京新聞「筆洗」には、またまたしてやられました。昇太さんに代わって、「座布団2枚!」
きのうの夕方、「自分が悪い場合でも謝らなくても済む方法」というテレビ番組があったそう。「絶対にやると言っていた約束を一方的に破る場合に…謝らないで済む方法」を伝授してくれるという。
講師氏がご開帳してくれた「秘策」は、かいつまんでいえば、以下のようなもの−。

 1)絶対に「約束を破った」と認めてはならない。
 2)約束を破るのではなく、「新しい判断」「異なる判断をする」と言い換える。
 3)もし約束を守れば、世界の破滅が待っていると恐怖を煽る。
 4)世界のリーダーや立派な学者も自分を支持していると加える。
 5)決めぜりふは「どっちが正しいか、町の意見を聞いてみよう」。

これで、約束破りの事実は完ぺきにケムに巻ける、というわけ。なーんだ、この国の「最高権力者」が言ってることそのものじゃないですか。
ってことは、惜しげもなく「家伝の秘策」を公開してくださった「最高権力者」にも、「座布団3枚!」?

06/01 古来、「悪い奴ほどよく眠る」とか申します。
東京地検特捜部が「天下のザル法、あっせん利得処罰法」での立件を断念した甘利明・前経済再生相の現金授受問題ですが、「不起訴処分となったことを報道で知った」甘利氏が、きのう、国会を休んでの「長ーい睡眠障害」からムクッと起き上がり、厚かましいコメントを発表しています−。

「本件は私にとりまさに『寝耳に水の事件』であること、『あっせん』に該当するようなことは一切したことがない旨を調査結果に基づき真摯に、そして丁寧にご説明申し上げてきたところであり、本日不起訴(嫌疑不十分)と判断されたことで説明を受け止めてもらえたのかなと思っております。」

ケチ臭く、かつウソ臭い舛添都知事の言い訳に比べれば、さすがは「巨悪」、堂々たる開き直りぶりです。
だいたい、建設会社から甘利側に600万のカネが動き、その直後に、建設会社へ2億2000万もの「補償金」が流れたこと、秘書らと建設会社とのカネをめぐるその間のやり取りや接待の中身まで克明に分かっている。
なのに、「権限に基づく影響力の行使」がなかったなんて、論理的にも常識的にもありえない話じゃありませんかっ!?
甘利氏は、「中断していた調査を再開するよう弁護士に依頼した」そうです。そう、かの都知事氏が何度も繰り返していた「第三者」ってやつですね。
こんな悪事が見逃されてしまうのでは、国民の方こそ、オチオチ寝ていられなくなってしまいます。