永井荷風と部落問題

  野町 均 著 ...著者について

根っからの自由人として明治から昭和を駆け抜けた永井荷風の風変わりな人生に寄り添いながら、部落差別をめぐる彼の作品の運命を徹底追究。「差別用語」を隠したり言い換えたりするのは、歴史を削除し書き換えることに等しい、と訴える。

目次
第1部 永井荷風と部落問題
 1 随筆「傳通院」の改竄
  改竄されたテキスト
  閉ざされる議論
  土地の記憶
 2 鳥追いの光景
 3 荷風の社会認識と部落問題
  天皇直訴事件の波紋
  荷風による原稿削除
  水平社運動へのまなざし
 4 「ひかげの花」の女をめぐって
  のどにつかえた小骨
  被差別民への視線
  江戸の世の残像
 5 『断腸亭日乗』はなぜ訂正されたのか?
  荷風の時代意識
  著者校閲のゆらぎ
  筆禍への恐れ?
 6 出生の秘密を引きずる作家たち
  「人生の一悲惨事」
  紅葉の悩み、荷風の応答
  逍遥の「憂悶の情」
  野口冨士男、小林信彦の場合
  「憂悶の情」という心性
 荷風の東京をあるく(その1)
  団子坂と藪下通り
  傳通院
第2部 隠せば差別はなくなるのだろうか?
 1 歴史を削除してしまう罪
  河上肇『自叙伝』の〔七字削除〕
  漱石作品における「ヽヽ」
  『蘭学事始』の現代語訳をめぐって
  議論のプロセスを大事に
 2 ある大学入試の設問をめぐって
  伝統的思考の政治決着
  自分の頭で考える
  自他の意見を真摯に考える
  冷静に解答できる教育を
 3 議論を避ける歪んだ風潮
  歪んだ問題状況
  机に書かれた落書き
  社会運動団体か圧力団体か
  「対抗主義」的啓発
  不毛な対立軸
  「わかるようにしてやらないと」
  もうひとつの「対抗主義」
  他流試合をしたがらない通弊
  萎縮した精神
  うるさい問題は避けておこう
  「遠慮の構造」
 4 ある新聞寄稿記事とその反響
第3部 荷風のほとりで
 1 映画のなかの荷風
  荷風の映画をもとめて
  「踊子」を観たぞ!
  「四畳半物語 娼婦しの」
  「墨東綺譚」
  荷風と流行歌
  オペラ館のこと
  玉の井と亀戸
  荷風と刺青
 2 荷風の見たダンスホール
 3 洲崎パラダイス
  橋をはさんだ哀歓と余情
  水に浮いた島
  古い東京の面影
  洲崎の女へのまなざし
  落魄の街
 4 荷風ことはじめ
  宴会嫌い
  福沢流宴会の効用
  幸運なランティエ
 荷風の東京をあるく(その2)
  浄閑寺
  新 橋
  浅草と有楽町
 永井荷風略年譜
 あとがき
抜粋
あとがき
書評
出版ニュース
図書新聞
京都部落問題研究資料センター通信
関連書
在日朝鮮人と「赤ひげ」群像

購入案内
amazon.co.jp
リベルタ出版

¥1900(税込2052円)46判上製224頁12年03月刊
ISBN978-4-903724-31-7